院長インタビュー

栃木地区の医療再編の中核病院である、とちぎメディカルセンターしもつが

栃木地区の医療再編の中核病院である、とちぎメディカルセンターしもつが
中間 季雄 先生

とちぎメディカルセンターしもつが 院長/整形外科部長

中間 季雄 先生

この記事の最終更新は2017年09月12日です。

とちぎメディカルセンターは、地域住民の方々がお住いの地域のなかで、必要なときに必要な医療・介護・福祉のサービスを受けられる「地域包括ケアシステム」の実現を目指し設立されました。そのなかで、急性期病院として高度医療を提供する、とちぎメディカルセンターしもつがでは、どのような取り組みを行っているのか、同センターの院長である中間 季雄先生にお話を伺いました。

 

これからの地域の医療ニーズに応えるため、栃木地区の基幹病院であったJAの開設する「JA栃木厚生連下都賀総合病院」と、下都賀郡市医師会の開設する「下都賀郡市医師会病院」、そして医療法人陽気会の開設する「とちの木病院」の3病院を「とちぎメディカルセンター」として統合しました。公的病院と民間病院を統合再編し、新しく一般財団法人を設立したことは、全国でも珍しい取り組みであり、非常に注目されています。この統合により、予防、急性期から回復期、慢性期、在宅医療、介護に至るまで、一貫して切れ目のない地域包括ケアシステムの構築を目指しています。

 

当院は、二次救急の患者さんを中心に受け入れている急性期病院です。病床数は307床、手術室は6室あります。ヘリポートを整備し、地域における脳卒中心筋梗塞の急性期専門医療機関であり、がんの専門診療機能を担っています。急性期を脱した患者さんには、最適なサポートを行う後方支援が必要となってきますが、とくに同じ法人内の「とちぎメディカルセンターとちのき」では、急性期治療を終え、その後も継続的な治療を必要とする慢性期・回復期の患者さんを受け入れています。当院と密接に連携して,当院からの転院だけでなく,他病院からの患者さんも受け入れています。それにより、当センターの患者さんの平均在院日数は大幅に短縮され、現在は11日前後になりました。

 

当院には、日本ではじめて「スポーツ健康科」という診療科を開設しました。同科は、スポーツ選手のケガの治療だけではなく、青少年期に発症しやすいスポーツ障害の予防、検診なども行っています。また、中高年やご高齢の方への運動療法のアドバイスなども行っており、健康寿命を延ばすための診療として、多くの患者さんからご好評をいただいております。

 

新病院を建設するにあたり、「急性期治療のなかでも特に手術ができる病院」であるよう注力してきました。そのため、当センターには6つもの手術室があり、実際に手術室のほとんどが稼働しています。新病院になってからは、救急車搬送台数、救急患者数が激増し、同時に手術件数も倍増する勢いです。当センターが栃木県南地域の急性期医療の基幹病院として中心的な役割を担っていると自負しています。

外科には9名の医師がおり、診療科のなかではもっとも医師数が多い科です。同科の重点診療は、がん治療ですが、ヘルニアや胆のう結石なども症例が多く,内視鏡も用いた手術も数多くこなしています.その他の整形外科、泌尿器科、脳外科など外科系医師たちがそれぞれの得意分野をいかし、互いに協力して外科治療にあたっています。がん治療に関しては、手術を中心に、抗がん剤治療、がん緩和治療、栄養療法、がんリハビリテーションなど、今後は包括的に行っていく考えです。

 

現在、日本人の3人に1人が、がんで亡くなる時代といわれております。当センターにおいてもがん治療の体制を整え、がん治療の流れを確立すべきと考えています。がんの予防、早期発見から手術、早期リハビリ、また在宅からホスピスまで一連の流れを整え、医師だけではなく、看護師、栄養士、リハビリ技師、薬剤師、事務職員など、当センター全体で一人の患者さんを支える体制を作ります。

さらに、2017年7月には「蔵の街がん医療連携の会」を発足させました。これをきっかけに地域の開業医の先生方との連携を強化し、当センターとの充実したがんのチーム医療、すなわちがん治療の新しい「とちぎモデル」なるものを作りたいと思っています。そして、それを全国に発信していくことを目指しています。

 

とちぎメディカルセンターの本部内には研修センターが整備されるなど、これまでよりも医師・職員の研修体制が強化されました。当センターにおきましても、若手の医師たちの医療技術や手技の向上のため、国内留学を積極的に勧めているところです。また、当院に「自治医科大学地域臨床教育センター」を設置しました。これにより,大学からの医師の派遣や,若手医師や研修医の教育、医学部学生の実習の受け入れを行っていく予定です。このように卒後研修や、学生教育、職員研修まで、幅広く勉強できる環境を充実させます。現在は、大学病院だけではなく、ほかの病院との医療連携も強化し、他病院の医師が当センターで実際手術も行っています。「医療は伝授するもの」と私は考えます。ベテランの医師が若手の医師に医療現場の生の声を伝える機会を作ることは、ベテランの医師たちにとっては緊張感が高まり、若手の医師にとっては刺激になったり、視野が広がったりと、相互にとってよい影響があります。

当センターの医師や職員全員にとって、誇りを持って働ける職場環境を構築し、常に資質向上と次世代の人材育成ができる環境・研修体制を充実させてまいります。

 

とちぎメディカルセンターは,「切れ目のない医療を提供する」ことを目標としていますが,なかでも強化しているのがリハビリテーションです。毎年多くのスタッフを採用し、急性期、回復期および老健施設のリハビリテーションに力を入れています。

さまざまな病気やケガにより、日常生活を営むことが難しい患者さんの思いに寄り添い、これからの生活の場へ安心して向かっていけるようお手伝いをしていきます。

当院は急性期病院であり、診療する患者さんは病気や怪我をして間もない方が多く、全身状態が変わりやすい時期です。そういった時期は患者さんが、今後の生活を再構築していくためにとても⼤切な時期となります。そのため、患者さんの状態を確認しながら、少しずつ機能回復していけるようお手伝いしていきます。各担当が責任を持って患者さんを受け持ち、医師・看護師・医療相談員などのチームで連携しながら取り組んでいます。当院を退院した後も、住み慣れた地域で治療を続けられるよう、同法人内の連携をさらに強化していきます。

もう一つ強化したいのが,栄養サポートチーム(NST)の活動です。患者さんの食事を工夫すると、疾患の経過が大きく変化,改善していきます。栄養状態がよければよいほど、治りも早くなります。そのため、栄養サポートチーム(NST)がより活躍できるよう、体制を強化していきます。

 

中間 季雄先生

当センターは、地域のみなさまに対し、当センターだけで完結できる医療体制を提供できると考えています。現在、外科系の診療科においては大学病院と同等の手術が受けられます。そのほかのほとんどの疾患についても当センターで診療が可能ですので、安心してご来院ください。

 

私が研究生だったころ、実験がうまくいかないときに、私の師である先生がおっしゃった言葉があります。

「実験動物や器具や機械、とにかくすべてを愛しなさい。

そうすれば必ず自然は、裸になって真の姿を見せてくれる。

なぜなら、自然は、女神が創ったものだから」

この言葉は、私が医師としてずっと大切にしているものです。

「すべてのものを愛す」ことができる人でないと医療はできません。

患者さんとの出会いは一瞬のものではなく、その出会いから逃げてしまう人は医療人にはなれない、と私は思います。

当センターでは、患者さんに密接に向き合い、丁寧に診察する、「心の通う優れた医療」をご提供したいと考えています。地域のみなさまから信頼され、愛されるメディカルセンターを目指し、これからも努力してまいります。

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  • とちぎメディカルセンターしもつが 院長/整形外科部長

    中間 季雄 先生

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