【院長インタビュー】

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「日本の臨床研究を牽引する大学病院」京都大学医学部附属病院の理念と構想
京都市左京区に位置する京都大学医学部附属病院は、地域医療の中核を担う大学病院として、多くの患者さんとそのご家族をサポートしています。1899年に京都帝国大学医科大学(現京都大学医学部)の創設とと...
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「日本の臨床研究を牽引する大学病院」京都大学医学部附属病院の理念と構想

公開日 2017 年 11 月 06 日 | 更新日 2018 年 08 月 29 日

「日本の臨床研究を牽引する大学病院」京都大学医学部附属病院の理念と構想
稲垣 暢也 先生

京都大学医学部附属病院 院長 京都大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌・栄養内科教授

稲垣 暢也 先生

京都市左京区に位置する京都大学医学部附属病院は、地域医療の中核を担う大学病院として、多くの患者さんとそのご家族をサポートしています。1899年に京都帝国大学医科大学(現 京都大学医学部)の創設とともに開設された同院は、2001年に、わが国においていち早く探索医療センターを設置(2013年に、他の部門を統合・整備して臨床研究総合センターに改称)するなど、長らく医療研究にも力を注いでいます。京都大学医学部附属病院の理念や構想について、院長の稲垣暢也先生にお話を伺いました。

京都大学医学部附属病院の概要

京都大学医学部附属病院は、1899年に京都帝国大学医科大学(現 京都大学医学部)の設置とともに開設されました。2017年現在、病床数1,121床、36の診療科を備え、3,000名以上の職員が在籍しています。当院は診療(安心・安全な医療を行う)、教育(人材を育成する)、研究(先端的な医療研究を行う)を3本の柱に掲げ、地域医療を支えています。

京都大学医学部附属病院

京都大学医学部附属病院の外観 画像提供:京都大学医学部附属病院

日本有数の臨床研究中核病院として先端的な研究を担う

当院は診療・教育・研究を3本柱にしていますが、なかでも特に研究には大きな力を注いでいるのが特色です。我々は大学病院として最先端の医療を開発し、臨床(実際に患者さんを診察・治療すること)の現場で応用することを目標にしています。

2015年、厚生労働省は日本発の革新的医薬品・医療機器等の臨床研究・治験を促進するため「臨床研究中核病院」の設置を開始しました。2017年には当院も、日本で11ある臨床研究中核病院の1つとして承認を受けました。今後さらに病院の機能分化が進むなかで、臨床研究中核病院である当院には、日本における先端的な臨床研究の中心を担っていく使命があります。

iPS細胞研究所と協力し応用研究を進める

京都大学は数多くの研究を行っていますが、なかでも山中伸弥先生をはじめとするiPS細胞に関する研究が世界をリードしています。当院は、その特徴を生かし、iPS細胞を臨床に応用するための研究を積極的に行っています。たとえばiPS細胞研究所と連携して、iPS細胞を用いたパーキンソン病の治療研究や、iPS細胞から血小板製剤を作製する研究などを進めています。このような先端的な新規医療を、より安全に医療現場で活用するために、我々は日々研究を進めています。

医療における統計学の専門家を育成し臨床研究を円滑に

医療研究を円滑に進めるためには、研究を行う人材(研究者)と、医療における統計学の専門家など、それをサポートする人材の両輪が必要です。医療における統計学は、臨床研究におけるデータの収集・整理・解析を中心とした学問ですが、我が国では十分な人材が育っていない現状があります。そこで文部科学省は、統計学の人材育成のための拠点を、東京大学と京都大学の両大学院に設置しました。京都大学では2018年度から学生募集をスタートする予定です。東京大学と協力し、計画的に医療統計学を専門とする人材を育成することで、日本における医療研究の中心的な役割を務めたいと考えます。

臨床研究を行うには、まずこのような人材を確保しなければなりません。そしてこれらの人材をいかに安定的に雇用するかは、多くの病院が抱える課題です。国立大学附属病院長会議では将来像検討ワーキンググループを設置し、10年後を見据えたアクションプランを実行するチームを作っています。そのなかで京都大学は、研究に関するプロジェクトチームの主担当として、率先して臨床研究を支える人材の雇用・育成を目指します。

地域連携を強化しよりよい医療を提供できる環境をつくる

2015年から、病床の機能分化・連携を目的として、地域医療構想が全国的に進められています。現在は各都道府県が先導し、2025年に向けて病院ごとの役割を明確にして、高度急性期・急性期・回復期・慢性期それぞれの病床数を確定する段階にあります。そのような流れのなかで当院は、京都府の行政、医師会、京都府立医科大学などと連携をとり、積極的に地域医療の充実を図っています。たとえば京都府の行政や医師会と定期的に情報交換を行い、お互いに議論を重ねています。このような活動により、地域の患者さんを実地医家の先生方にスムーズに紹介・逆紹介し合うことで、よりよい医療を提供できるよう環境を整えています。

2016年に母体胎児集中治療室(MFICU)を新設

例えば、当院では、リスクの高い妊娠患者さんの治療についての機能強化を目的に、2016年に京都府で2番目となる母体胎児集中治療室(MFICU)を新設しました。この母体胎児集中治療室(MFICU)には個室が6床備わります。医師1名・助産師2名が24時間常駐し、病院内の新生児特定集中治療室(NICU)や各部署と連携しながら、母体と胎児のケアを集中的に行っています。当院では今後も、京都府内の周産期(出産前後の期間)医療の体制を強化し、地域の方々が安心して生活できるようサポートします。

京都大学 MFICU

京都大学医学部附属病院のMFICU 画像提供:京都大学医学部附属病院

病院機能を再整備し効率化と設備・環境の向上を図る

当院は、京都大学医学部の教育施設および研究施設と同じ敷地内にあり、これまで病院機能が分散されていました。しかし、最近になって、2010年にがんを中心とした積貞(せきてい)病棟、2015年には生活習慣病を中心とした南病棟が新設されるなど、病院敷地内の再整備が進んでいます。今後も、2019年に高度急性期医療を安全に提供すべく中病棟(Ⅱ期病棟)が完成する予定です。その後、さらに、北病棟や中央診療棟のリノベーションも計画しています。このような再整備により、病院設備・環境の向上とともに、分散された病院機能を集約することで、効率化が進み、診療水準の向上が実現できるものと考えています。

また、2019年に中病棟と同時に完成予定のiPS等臨床研究センターでは、臨床研究・応用を円滑に行うことが可能になるため、当院の主軸である研究にもよりいっそう力を注ぐことができます。

京都大学医学部附属病院

再整備後の完成予想図 画像提供:京都大学医学部附属病院

病院全体で品質目標5つの「あ」を実現する

京都大学医学部附属病院は、2017年にJQA(日本品質保証機構)によるISO9001(品質マネジメント・システム)の機能評価を受ける予定です。その機能評価に向けて、当院は品質目標5つの「あ」を掲げています。これらがきちんと実行されれば、自ずと高品質な医療を患者さんに提供でき、当院は地域を支える大学病院として、また日本の臨床研究を牽引する病院としてのニーズに応えることが可能であると考えます。

【品質目標5つの「あ」】

  • 新しい医療の開発
  • 安心安全な医療の実現
  • アメニティの充実
  • 足元(地域の行政・医師会との連携)を大切に
  • 安定した経営

地域の方々へのメッセージ

稲垣先生

先述のように当院は臨床研究に大きな力を注いでいますが、地域を支える中核病院としての診療機能、そして大学病院としての教育機能を兼ね備えた医療機関です。臨床研究においては専門性・先進性を高めつつ、診療や教育においては高度急性期医療のみならず一般疾患に対しての治療、そしてニーズの高まりつつある在宅医療まで、幅広く対応する機能が必要です。

日本、そして世界の医学発展のために率先して臨床研究を進めること、地域の方々が安心して暮らせるようサポートすること、優秀な人材を輩出すること。これらの軸を大切にして、我々は今後もよい医療を提供し続けます。

1984年に京都大学医学部を卒業後、京都大学医学部附属病院内科、田附興風会北野病院にて研修を行い、1986年から田附興風会北野病院にて医員を務める。1987年に京都大学大学院医学研究科へ入学。修了後に千葉大学にて助手、講師、助教授、1997年からは秋田大学医学部にて教授を務めた。2005年より現職。地域の高度急性期医療を支える中核病院の長として、患者さんの目線に立った医療の構築、新たな医療開発を積極的に行っている。