社会医療法人 大道会 森之宮病院は、2006年に開設された急性期医療とリハビリテーション医療の両方を提供する、「未来志向の病院」という新しいコンセプトを持った病院です
急性期医療においては、心臓血管外科の設立や、循環器科の強化など、地域の中核病院として地域医療のモデルとなることをめざしております。また、こども病棟、回復期リハビリテーション病棟では、日本屈指のリハビリテーション医療を提供しています。
未来を見据えた医療を展開する同院の取り組みについて、同院の院長である大道道大先生にお話を伺いました。
大阪府は、東京都、神奈川県に次いで国内第3位の人口を有する地域です。
1954年、大阪府のなかでもっとも人口の多い大阪市に、「大道医院」(のちの大道病院)を開設したのが、当院の始まりです。1971年に医療法人大道会を設立し、人工腎センターを開設するなど、病院のハード面の施設・設備・サービスの充実を図りました。1982年に同法人は、脳卒中や脳性まひなど中枢神経障害に対するリハビリテーション医療を実施する「ボバース記念病院」を開設しました。脳科学に基づいたボバースアプローチを実践し、患者さんの機能回復、社会復帰の支援を始めました。そして、2006年、大道病院の「急性期医療」とボバース記念病院の「リハビリテーション医療」を集約・高度化した新しいスタイルの病院として、森之宮病院を開設しました。
同法人は、森之宮病院以外にも10か所の病院・施設を運営しています。急性期医療や回復期リハビリテーション、障がい者リハビリテーション、PET/CT検査施設、人間ドック、透析医療、介護施設、在宅部門などの事業を運営し、地域のみなさまから信頼される病院・施設づくりに努めています。
当院は、急性期医療とリハビリテーション医療をあわせもつ、新しいスタイルの病院として、誕生しました。急性期医療においては、心臓血管センターを中心に、地域の中核病院として高度で安全な医療の提供に努めています。リハビリテーション医療においては、国内トップレベルの規模を誇る約200名の療法士が質の高いマンツーマンのリハビリテーションを行い、より高い機能回復を目指しています。当院の病床数355床のうち、小児障害者病棟が47床、それ以外は一般病棟と回復期リハビリテーション病棟の病床数が約150床ずつです。病院全体の紹介率は約93%で、回復期リハビリテーション病棟のほぼ100%が関西一円の基幹病院からご紹介いただいた患者さんです。
当院の心臓血管センターは、心臓血管外科と循環器内科の医師が中心となって、難易度の高い大動脈瘤や大動脈解離、末梢血管に対するカテーテル治療といった、血管疾患に対して体への負担が少ない治療を行っています。
心臓血管外科では、血管疾患、特に大動脈瘤治療に専門化した形態をとっています。ステントグラフト治療を中心に、そのほかの外科手術を組み合わせて、患者さんにとって最小の負担で最大の効果が得られるように考えております。
循環器内科では、血液の流れが悪くなる動脈硬化性疾患(虚血性心疾患・閉塞性動脈硬化症)に対する最先端のカテーテル治療を専門的に行っています。カテーテル治療は、体に傷を残すことなく局所麻酔で血液の流れが悪くなった箇所を風船で広げたり、ステントという金属の筒を入れたりして血液の流れをよくする治療です。
当院にはステントグラフト治療の第一人者である医師や、下肢カテーテル治療のエキスパートである医師が在籍しており、全国から患者さんがいらっしゃいます。また、国内外から多くの医師が技術指導を受けにいらっしゃっています。
当院には約200名の療法士がおり、患者さんに最適で質の高いリハビリテーションを提供しています。すべての病棟内にリハビリテーション室を配置し、看護部と協力してつくりあげた質の高いリハビリテーションを、365日休まず実施しています。
神経内科・リハビリテーション科では、長年にわたりボバーズ病院で培ってきた成人脳卒中を中心とした回復期リハビリテーションを行っており、神経学とリハビリテーション医学を融合した神経リハビリテーションを特徴としています。
また、外来では脳性麻痺などの小児患者さんのリハビリテーションを実施しています。将来は当院が障害児医療や脳卒中リハビリテーション医療の中心となることを目指しています。
当院に入院されている患者さんに対し、「クックチルシステム」という調理システムを導入しています。通常の方法で調理した食品を急速冷却し、細菌の繁殖を抑える低い温度で保存、食べる直前に75度以上で再加熱する方法を用いることで、厳密な衛生管理ができます。食中毒などを防ぎ、患者さんへ安全なお食事を提供できます。また、浸透圧により減塩効果が得られるため、塩分・糖分のコントロールが必要な患者さんからも非常に評判がよいです。
病院機能を維持するために、もっとも大切なものは電気と水です。大規模災害時などの非常時に、電気を確保できるようにするため、当院の地下にコージェネレーション・システムを設置しました。コージェネレーション・システムとは、ガスを燃料に発電して発生する熱を給湯や冷暖房などに利用することで、エネルギー効率を改善させるシステムです。現在、当院の電気の約30%をまかなっています。また、停電などの非常時にも電力を供給でき、災害に強い病院を実現しました。
貯水システムについては、非常時に必要とされる量の水を十分に溜められる地下水の浄水システムを設置しました。通常は、地下水を散水・トイレ・クーリングタワー(冷却塔)に使用しています。
開院当初から導入した診察券はリライタブルカードとなっており、電子カルテに入力されている患者さんの診察や検査などのスケジュールが一覧で表示され、診察券を見れば、いつ・どこに行けばよいかがすぐにわかるようになっています。また、会計後には次回の予約日時に書き換えられます。電子化システムの導入で、患者さんに利便性と快適さを提供しています。
また、院内には、色や形でわかりやすいサインを導入した外来や、星マークや動物の絵で子どもたちが楽しめる小児病棟など、「小さなお子さんからご高齢の方まで、すべての患者さんにわかりやすく、やさしく」をめざした工夫がたくさんあります。ご高齢の方や体の不自由な方が出入口・廊下・階段・エレベーター・トイレなどを支障なく利用できる建物であるとして、2004年に「高齢者、身体障がい者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(通称「ハートビル法」)の認定も受けました。
新しい病院を建てるにあたり、患者さんにとって使いやすい病室づくりにとことんこだわりました。そのために、さまざまな医療機関のトイレや病室の見学にも行きました。別の場所に病室のモデルルームをつくり、ベッド・シャワー・トイレ・洗面台など、すべての設備をモデルルームに設置し、職員とともに使い勝手を検証してできたのが、当院の病室です。とくにこだわったのが、洗面台です。車イスの患者さんが使いやすく、リハビリテーションもしやすい形状・高さ・奥行などを自分たちで設計し、試作品を実際に使いながら試行錯誤を重ね、ほかにはない洗面台が完成しました。当院には、病室以外にも、患者さんが治療に専念し、患者さんの自立を促す仕組みが、随所にあります。
当院の神経リハビリテーション研究部では、世界に先駆けて導入した光イメージングをはじめとして、さまざまな先端技術を取り入れて研究を進め、治療にいかしています。近赤外線光を用いた脳機能画像装置や磁気共鳴画像(MRI)装置を使って、リハビリテーションによりどのような脳活動の変化が起こるか、またどのような変化が回復によい影響を与えるかを研究しています。
当院の神経リハビリテーション研究部部長の磁気共鳴画像(MRI)などを用いた研究が、文部科学省が定めた戦略的創造研究推進事業の「さきがけ」研究として認められるなど、当院の研究活動は社会的に大きく期待されています。
最近では、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの海外の研究機関との共同研究も積極的に行っています。これからも、医学的根拠に基づいた神経リハビリテーションの方法を当院から世界へ発信していきます。
当院は、「当院が提供できる医療」、「当院が挑戦したい医療」、そして「患者さんから求められている医療」、これら3つの視点を大切にしています。
ときには社会的にまだ評価されていない研究分野にも挑戦しながら、私たちにしかできない医療を実践してまいりました。
高齢社会から超高齢社会に突入し、これからの医療・福祉はどんどん変化していきます。
当院はこの変化に対応するためにも、これまで大切にしてきた、患者さんから求められている私たちにしかできない医療の提供に、よりいっそう努めてまいります。
社会医療法人大道会 森之宮病院 理事長・院長、一般社団法人 日本病院会 副会長
大道 道大 先生の所属医療機関
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まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。