宮崎県宮崎市にある医療法人社団晴緑会 宮崎医療センター病院は、“消化器・肝臓病センター”“生活習慣病センター”“緩和ケアセンター”“リハビリテーションセンター”の4つのセンターからなるケアミックス型の病院です。
一般病床と療養病床を併せ持ち、急性期から慢性期、在宅医療や介護まで幅広く地域医療を支える同院の役割や取り組みについて、病院長の田畑 直人先生にお話を伺いました。
宮崎医療センター病院は宮崎市の中心部に位置し、1984年の開設以来、地域への医療提供に尽力してきました。2003年に施設や設備を一新し、現在の名称である“宮崎医療センター病院”として再出発を果たしました。
現在は、肝臓疾患と消化管疾患の専門的な医療を提供する“消化器・肝臓病センター”、慢性疾患を有する患者さんに医療・介護を提供する“生活習慣病センター”、がん患者さんの症状の緩和と心身ケアに取り組む“緩和ケアセンター”、身体機能の回復と社会復帰をサポートする“リハビリテーションセンター”の4つのセンターを有し、一般病床と療養病床を併せ持つ292床のケアミックス型病院として、急性期医療から慢性期医療、在宅医療、介護まで幅広いサービスを提供しています。
また、これからの高齢化社会を見据え、しっかりとした医療を提供できる介護施設を地域に提供するという目的で、58床の介護医療院を院内に併設しています。
消化器・肝臓病センターでは、消化器内科(消化管、肝臓、胆膵)と消化器外科が協力してそれぞれの専門分野に分かれてグループを編成し、専門的な医療を提供しています。診療しているのは食道・胃・小腸・大腸などの消化管と、肝臓・膵臓・胆嚢に関連する疾患で、内視鏡や血管造影法を用いた治療や手術なども行います。
主に内視鏡を用いた消化管の検査や治療を行っています。また、ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡といった先端技術を駆使した小腸疾患の検査治療も可能です。
肝臓グループではさまざまな肝臓病疾患の診療を行っており、特に力を入れているのが肝炎や肝がんの治療です。中でも肝炎については、肝炎ウイルスによる急性肝炎や、B型、C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎・肝硬変・肝がんの患者さんの診療実績が多く、最近増加傾向にある非B型、非C型の肝硬変や肝がんの患者さんに対しても、さまざまな治療を行っています。
また、肝がんに対しては、化学療法をはじめ、血管造影やラジオ波を用いた低侵襲(体への負担が少ない)な治療から外科的治療まで、患者さんの状態やがんの進行度にあわせた治療を提供しています。
生活習慣病センターでは、主として療養病棟に入院されている患者さんの診療を行っています。療養病床に入院している患者さんの多くはご高齢で、高血圧や糖尿病などの生活習慣病をはじめ、さまざまな疾患を併せ持っている方も少なくありません。そこで同センターでは複数の診療科の医師が協力し、それぞれの専門性を生かすことで、幅広い患者さんに対応できる体制を整えました。
また、地域医療を考えたとき当院がある医療圏では、急性期の治療を終えた後に引き続き入院が必要な患者さんを受け入れる“ポストアキュート機能”(後方支援機能)が不足しています。そこで当院では周辺の病院と連携し、生活習慣病センターが中心になって急性期治療を終えた患者さんを積極的に受け入れています。高度急性期病院に搬送される高齢者救急患者は急増しており、後方支援機能を強化して地域医療への貢献に努めていきます。
リハビリテーションセンターでは、高齢者の機能維持やがん患者さんのリハビリテーション等を提供しており、患者さん一人ひとりに目標を設定していただくことで、理学療法や作業療法、言語聴覚療法を通して高い効果が得られるよう取り組んでいます。モットーは“365日切れ目のないリハビリテーションを提供する”ことで、土・日・祝日も休まずサービスを提供できるように努めています。
また、通院でのリハビリテーションが難しい在宅介護の方々については、居宅でも自立した生活を送ることができるよう訪問リハビリテーションも提供しています。
当院の緩和ケアセンターが目指しているのは、“がんによる痛みと症状を緩和し、最後までその人らしく過ごせるようなケアを提供すること”です。終末期の患者さんとご家族が心おだやかに過ごしていただけるよう、医療スタッフがチームを組んでサポートしています。入院が必要な患者さんは緩和ケア病棟(30床)で療養いただき、在宅での療養を希望される方には外来や訪問診療でケアを提供しています。また、在宅での看取りにも対応しています。
当院では「患者さん方に安全で快適な療養環境を提供できているか」ということを常に念頭において、医療安全管理委員会や感染対策委員会、給食委員会等をはじめとするさまざまな委員会・会議で問題点を協議し、改善に努めています。また、業務改善委員会等で職員の業務環境の改善にも力をいれています。これは、職員に生き生きと安心して働いてもらうことが、提供する医療や介護の質向上につながると考えているからです。こうした取り組みを通して、地域の皆さんから「宮崎医療センター病院がなくなったら地域医療が成り立たない」と言っていただけるような病院になるように努力しています。
当院の療養病床では、合併症を持った高齢者の方や寝たきりになった患者さんが入院しており、病院で最期を迎える方が多数おられます。中には、ご自身が望まない形で最期を迎える方も少なくありません。そこで当院では、元気なうちに人生の最期を“どこで・どのように迎えたい”のか、意思表示をしていただくことをおすすめしています。患者さんのご意向をもとに、ご家族と治療方針についてしっかり話し合い、患者さんの希望がかなえられるよう尽力いたします。
また、宮崎市では市民の皆さんに自分らしい終末期を迎えていただけるよう、宮崎市版エンディングノート『わたしの想いをつなぐノート』を配付しています。もしものときの医療やケアについてご家族と話すきっかけになるかと思いますので、是非ご活用ください。
私たちは、常に目の前の患者さんが“自分自身だったら”“自分の家族だったら”ということを考えながら、当院が掲げる理念にできるだけ近づけるように日々研鑽を重ねてきました。今後は緩和ケアにも注力し、地域の皆さんから「この地域には宮崎医療センター病院が必要だ」と思っていただけるよう、一層の努力をして参ります。
一方、地域の皆さんには、ご自身の人生をどのように終えたいのか、日頃からしっかり考えてまわりの人に伝えていただけたらと思います。ご意向をもとにご家族を含めて話し合い、患者さんの願いがかなえられるよう最大限の努力をいたします。
繰り返しになりますが、地域の皆さんに「宮崎医療センター病院はこの地域にとってなくてはならない病院だよ」と言っていただけるよう、当院の理念のもとにスタッフ一同努力してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
*写真提供:宮崎医療センターよりご提供
*病床数や診療科、提供する医療の内容についてなどの情報は全て2024年11月時点のものです。
医療法人晴緑会 宮崎医療センター病院 病院長
田畑 直人 先生の所属医療機関
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