つるぎ町立半田病院は徳島県西部に位置する美馬郡つるぎ町にあります。地域にとって必要な診療科を拡充し、提供するために尽力しています。また、若手医師の研修の場としても体制を整えており、次代の地域医療の担い手を育てるために研修プログラムを組んでいます。同院の診療科や若手医師の研修について、日本医療機能評価機構認定病院 つるぎ町立半田病院 病院長 須藤泰史先生にお話を伺いました。
つるぎ町立半田病院は1949年4月に町国保組合直営施設として創立されました。開院時は外科のみで診療を行っていました。同年11月に産婦人科を新設し、地域のお産や婦人科疾患に対応する体制を整えました。また、1950年1月に病院名を町立半田病院と改称し小児科診療を開始しました。その後も、診療科の拡充や病院建物の改築などを行い、現在に至ります。さらに、2005年には町村合併が実施され、当院の名称も現在の「つるぎ町立半田病院」となりました。
時代によって変わる地域の医療ニーズに対応してきた当院だからこそ、現在地域が求めている診療科で地域に貢献していきます。
当院がある徳島県美馬郡は徳島県の西部医療圏(美馬市・美馬郡・三好市・三好郡)と位置付けされています。西部では産婦人科を併設している病院や開業医が減少し、当院が唯一の分娩可能施設となっています。開院して間もなくから産婦人科を開設している当院は、当地域の産婦人科を守っていかなくてはならないと考えています。また、常勤小児科医師が勤務する唯一の公的病院でもあります。子どもを安心して産み、育てる環境を維持できるように努力を続けないといけないと感じています。
1951年に開設した内科は、主には総合内科としての診療がメインとなっていますが、ここ数年、消化器内科を専門とされる先生方が集まってくれたことを受け、内視鏡センターを立ち上げました。また、徳島大学からの支援で、循環器内科、糖尿病専門外来も開設し、専門性の高い医療にも取り組んでいます。
内視鏡を用いた検査や治療を提供する内視鏡センターを2010年に開設しました。内視鏡検査では、胃や大腸、気管支に対する検査を行います。また、経内視鏡的治療は胃や大腸、総胆管の治療の際に行います。
2002年に開設した泌尿器科では、泌尿器疾患の治療だけでなく透析治療の提供も行っています。泌尿器科の手術治療では、高齢者に多い膀胱腫瘍切除や経尿道的前立腺切除、また、尿路結石の治療(体外衝撃波による破砕・経尿道的尿路結石砕石)などを行っています。腎不全関係の手術では内シャント形成や腹膜透析カテーテル留置などを行い、当院で透析治療を行えるようにしています。
透析治療は2004年から開始しました。当院で提供している透析治療は血液透析と腹膜透析の二種類です。
血液透析とは、血液を機械に通し、血液中の老廃物や不要な水分をろ過して血液をきれいにし患者さんに戻す治療方法です。透析治療のなかでは血液透析を選択する患者さんも多く、当院でも外来では53名、入院は15名の患者さんが血液透析を受けています。(2017年12月末日)
もうひとつの透析治療である腹膜透析とは、患者さんのお腹のなかにある腹膜を利用した透析治療です。腸などのお腹のなかの臓器を覆っている腹膜には、網目のように毛細血管が張り巡らされています。腹膜透析では、先に手術でお腹にカテーテルを挿入し、このカテーテルを使って透析液を腹腔内に入れます。腹腔内にこの透析液を入れることにより、老廃物や不要な水分などが透析液へ移動し血液をろ過します。腹膜透析は、外来では4名、入院は1名の患者さんが受けています。(2017年12月末日)
当院では診療科による治療だけでなく、健康診断や人間ドックを実施することで地域のみなさまの健康維持に貢献しています。
健診の結果はご自宅に郵送し、就労されている方でも気軽に健診を受けることができるようになっています。また、健診結果で気になる項目がある場合には、毎週火曜日に行っている結果説明会で内科の医師より詳しい説明を受けることができます。
当院は、いくつもの病気を抱えた患者さんを全人的に診療する総合診療医研修に必須な内科・外科・小児科・産婦人科が開設されております。そして、山間部の診療所にも医療支援を行っており、総合診療医の研修に必要な基本的な部分がそろっています。このため、2007年に自治医科大学の地域研修(後期)医療機関に認定され、そして2017年10月に「四国・美馬 総合診療専門医後期研修プログラム」も認定されました。また、海外で医療支援活動を行いながら当院で総合診療医として働きながら研修する「国際総合診療研修プログラム」も立ち上げ、2014年4月~2018年3月までの4年間総合診療医に赴任してもらい当院での総合診療とアフリカ・ザンビアそしてカンボジアでの医療支援活動をして頂きました。
そして、当院は、徳島県地域枠医師の赴任先としても認定されており、この春から、消化器内科と放射線科に若い研修医1名ずつ迎えることもできました。
このような体制ができていることから、当院での卒後臨床研修医の地域医療研修では、総合診療医研修のダイジェスト版ともいえるような研修を行っています。
当院の理念は、「安心と信頼、そして地域と共に歩む」であります。地域のみなさまと一緒に今後の地域医療を考えていきたいと思っています。徳島県西部は地域住民の人口減少だけでなく医療従事者の減少も起こると考えられます。そのなかで地域にとって必要な診療科や当院が最低維持していくべき部分を見極め対応していかなくてはなりません。
地域には周産期医療を提供している病院もなく、県西部の周産期医療、そして小児医療を守っていかなくてはなりません。また、地域にニーズのある消化器疾患や人工透析治療など、当院の強みである診療科をさらに強化し、また、若い医師達にも研修先として選んでもらえるような体制も整えながら、地域医療に貢献してまいります。
つるぎ町立半田病院 病院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。