【院長インタビュー】

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地域のニーズに合わせ進化する、仙台西多賀病院の未来
2004年に独立行政法人へ移行、そして2013年に現在の病院名となり、地域と共に歩んできた「仙台西多賀病院」は、地域の歴史と共にその診療内容を変化させてきました。 その歴史は古く、1934年に当...
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地域のニーズに合わせ進化する、仙台西多賀病院の未来

公開日 2018 年 07 月 24 日 | 更新日 2018 年 08 月 29 日

地域のニーズに合わせ進化する、仙台西多賀病院の未来
武田 篤 先生

独立行政法人国立病院機構仙台西多賀病院 院長

武田 篤 先生

2004年に独立行政法人へ移行、そして2013年に現在の病院名となり、地域と共に歩んできた「仙台西多賀病院」は、地域の歴史と共にその診療内容を変化させてきました。

 

その歴史は古く、1934年に当地に開設された市立西多賀療養所と1941年に今の仙台空港近くに開設された第二陸軍病院の2病院をルーツに持ちます。

 

その歩みを振り返ると、当院は全国に先駆けて小児患者を対象としたベットスクールを実施したり、全国で初めて筋ジストロフィーの長期療養患者の受け入れを行ったり、それぞれの時代のニーズに先駆けて進化してきました。

 

時代のニーズに合わせ進化するという「アイデンティティ」は現代にも受け継がれ、地域のニーズに合わせて現在も進化し続けています。今回は、武田院長先生へ、歴史的な背景と「仙台西多賀病院」の未来について、お話をお伺いしました。

 

歴史とともに歩んできた仙台西多賀病院

仙台西多賀病院ご提供

仙台西多賀病院は、戦後の混乱期を経て、国立療養所として大きな役割を担うために歴史をスタートしました。当時、結核の診療がとても重要で、当院もその治療を行う機能を有していました。

 

当時の画期的な取り組みとして、小児の結核患者の受け入れを行うと同時に、全国に先駆けてベットスクールを実施し、長期入院をしている小児患者の学習環境を整備しました。この活動は、その後の全国の養護学校・支援学校の源流といえるものです。

 

また、1960年には全国で初めて、筋ジストロフィーの長期療養が必要な患者の受け入れを開始し、その後の筋ジストロフィー患者を対象とした当院を含む全国の専門病棟の開設につながりました。

 

その後も地域のニーズや国全体での役割を担いながら歩んでまいりましたが、医療の進歩とともに結核の患者は激減し、1995年には結核病棟を閉鎖してその歴史的な役割に終止符を打ちました。

 

そして結核感染にともなう脊椎カリエスの治療に取り組んでいた整形外科はその後、変性性脊椎疾患の診療に取り組む様になりました。また、筋ジストロフィーの診療を行うなかで、当院には小児神経や脳神経内科の診療領域が発展して来ました。

 

歴史が育んだアイデンティティ

この様に当院は歴史的にも時代のニーズを先取りしながら、その診療内容を変化させて来ました。

 

そして現在、脳神経内科は、筋ジストロフィー症、パーキンソン病など神経筋疾患を診療する基幹施設として、神経筋疾患の遺伝相談、神経難病のリハビリテーション、在宅医療を含めた専門医療の提供を行っています。さらに重症心身障害児(者)医療でも、小児科を中心とした専門医療と社会支援の提供を行っています。

 

また整形外科は、変性性脊椎疾患の外科治療に於いて専門性を高め、国内のみならず、アジアの各国から幅広く研修生を受け入れるなど、指導的な立場で発展して来ました。

仙台西多賀病院ご提供

 

地域のニーズに応えるこれからの仙台西多賀病院

2014年4月に院長に就任しましたが、病院の進むべき方向について、思案を重ねてきました。筋ジストロフィーなど未だに根治的な治療法の乏しい疾患について、長期療養を支える診療機能はもちろん今後も必要ですが、かつては病院での長期療養が必須だったこれらの疾患も、医療の進歩で在宅療養が中心となりつつあります。また少子高齢化の流れのなかで、患者数自体も次第に減少傾向にあります。かつては全校生徒200名を超えていた当院に隣接する西多賀支援学校の在学生徒数は、今や十分の一まで減少しました。一方で当院の位置する仙台医療圏では、高齢者が激増しています。地域のニーズに応えようとすると、やはり、高齢者医療の充実を目指して行くべきであると考えるに至りました。

 

こうした背景から、院長就任翌年の2015年には、認知症疾患医療センター(地域型)開設を行い、翌2016年には、東北大学連携大学院 高齢者認知・運動機能障害学講座開講し、治療の開発や研究、そして専門医師の育成にも力を入れています。

 

もうひとつ、地域のニーズに十分に応えるために必要なことがあります。それは、最新の治療法や医療機器を迅速に導入するということです

 

こうした地域に対する使命を全うするために、2016年には神経難病等の患者さんの歩行障害を改善する治療の一環として、「医療用下肢タイプロボットスーツ」を、東北で初めて導入、また2017年には、東北初となるSPECT-CT装置を設置し核医学検査を導入。パーキンソン病や認知症などのより正確な診断に活用しています。

 

今後は、今まで以上に筋ジストロフィーやパーキンソン病などの神経難病の治療の充実や重症心身障害児(者)の積極的な受け入れがもちろん、認知症や整形外科疾患などの高齢者医療にもますます力を入れて行きたいと思っています。また、患者さんの負担軽減にもなる内視鏡による低侵襲脊椎手術なども積極的に導入してまいります。

 

地域のニーズに応え、地域医療にこれまで以上に貢献できる様に、専門的な医療提供、治療の開発や研究、医師の育成を行い、そして、最新医療の導入を中心に、「良い医療を安全に、心を込めて」の病院理念に基づき診療内容をさらに充実させたいと思っています。

仙台西多賀病院ご提供

 

選ばれる病院になるために

 

仙台西多賀病院は仙台駅から10km圏内と市の中心部に位置しているものの、公共交通の便が良い立地、というわけではなく、むしろ少し不便な場所にあります。また、歴史的背景も含めて、筋ジストロフィーやパーキンソン病など専門性の高い医療を提供してまいりました。

 

今後も当院が地域の方々に選ばれるためには、やはり、広報活動を積極的に行い「知っていただくこと」が大切だと思っています。

 

地域住民の皆さんには、パーキンソン病や認知症への理解を深める一助として、市民公開講座を年に3~4回実施したり、地域の開業医の先生方との連携を強めるために「病診連携の会」を開催したりしています。

 

また、患者さんやご家族、地域の方々が、インターネットで検索をする機会が増えてくると思います。適切な情報を提供できるよう、インターネットでの情報発信も検討を重ねていきたいと思っています。

 

地域の高齢化に伴い、高齢者医療の需要はその必要性が高くなっています。未来の医療を担う若い医師には、まだまだ専門家の不足しているこの分野の専門性を磨き、地域に貢献できる様に育って頂きたいと思いますし、病院としてもその研修をサポートしていきたいと思っています。

 

これからの仙台西多賀病院は、今まで以上に、障害を持った患者さんへの良い医療の提供と、脳神経内科や整形外科を中心に、高齢者に対する医療の提供を充実させるために、最新の医療を積極的に導入しながらも、患者さんやご家族の立場に立って、心を込めた医療を提供していきます。

東北大学在職中より一貫してパーキンソン病とその関連疾患の診療と研究に打ち込んで来ました。なかでも重度の嗅覚障害がパーキンソン病における認知症発症を予測し、その早期発見・早期治療に役立つ可能を示したことが世界的に注目されています。また、パーキンソン病治療ガイドライン2011では委員の一人として、続くパーキンソン病診療ガイドライン2018では副委員長として改訂に従事しました。パーキンソン病治療に関する著書や論文も多数発表しています。