院長インタビュー

患者さんの立場に立った医療を提供したい-富士宮市立病院の取り組み

患者さんの立場に立った医療を提供したい-富士宮市立病院の取り組み
佐藤 洋 先生

富士宮市立病院 院長、浜松医科大学 臨床教授

佐藤 洋 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年11月21日です。

静岡県富士宮市にある富士宮市立病院は、1943年に沼津海軍共済病院富士宮分院として開設しました。終戦にともない富士宮市に移管し、1945年に市立富士宮病院として開院。1948年に現在と同じ錦町に移転しました。1986年には現在の富士宮市立病院に名称変更し、今に至ります。

地域を支える公立病院として、他医療機関と連携しながら、多くの患者さんの診療にあたる富士宮市立病院では、現在どのような取り組みが行われているのでしょうか。

同院の院長である佐藤 洋先生にお話を伺いました。

病院外観 富士宮市立病院ご提供

富士宮市立病院は、富士宮市の公立病院でありながら、市内だけでなく隣接する富士市や山梨県などからも患者さんを受け入れています。

また、富士宮市及びその周辺地域では医師が不足傾向にあります。そういった中でも、浜松医科大学と連携しながら多様な医療機器をそろえ、高齢化の進む地域の医療ニーズに応え続けています。

当院は、内科系の診療科に強みを持っています。先代の院長が腎臓内科を専門分野としていたため、透析医療にも力を入れているほか、心筋梗塞狭心症などの循環器内科の治療も積極的に行っています。これからは、アブレーション治療などの不整脈治療にも注力していきたいと考えています。

消化器分野に関しては、外科と内科が協力して治療を行っています。消化管から肝臓・胆のう・すい臓まで、消化器全般に生じる疾患を診療することが可能です。また、消化器出血などの急性期治療から消化器がんに対する化学療法や緩和ケアまで、多様な病期の患者さんに対応していることも特徴です。
整形外科では、四肢末梢から脊椎まで幅広く外傷に対応しています。また、運動器疾患や脊髄・脊椎疾患の診察も行っています。特に脊椎の手術は浜松医科大学病院と連携しながら、積極的に実施しています。

当院は350床と大規模な病院ではないこともあり(2018年6月時点)、診療科間の垣根が低いところが特徴です。ほぼ全員が顔見知りのため、部署が違っていてもコミュニケーションを取りやすく、働きやすい環境だと思っています。

また、さらに職場環境をよくするために、働き方改革に取り組んでいます。医師や看護師などの働きすぎを改善するため、全診療科・全病棟にヒアリングを行い、課題を洗い出しました。

多くの部署で課題として挙がったのが、業務の進め方が非効率的であることでした。今後は業務を分担したり、業務方法を検討したりすることで効率化を図り、職員一人ひとりの負担を減らしていければと考えています。

和気あいあいとした雰囲気の職員たち 富士宮市立病院ご提供

地域住民の方へ向けて、2か月に一度、市民健康講座を開催しています。医師を含めたさまざまな職種のスタッフがテーマに沿った講義を行っており、地域の皆さんに健康について知っていただく機会となっています。

年に一度のふれあいフェスティバルも開催しています。このイベントでは、住民の方に自由に病院へお越しいただき、手術や調剤業務などの疑似体験をしていただいています。

地域の高校生に向けては、病院で働く職員の実際を体験してもらう機会を設けています。毎年1~2回、夏の開催です。医師や薬剤師、看護師、臨床検査技師などが普段どういったことを行っているか体験してもらい、将来、医療従事者を目指すきっかけになればと考えています。

当院は公立病院であるため、一部の診療科が機能していないという状況は避けなくてはなりません。地域の方のニーズに対応するためにも、幅広い領域の医療とサービスが提供できるような病院にならなくてはと思っています。

現在、医師不足から救急搬送に十分対応できない診療科があります。地域の中で患者さんの搬送先が見つからないといった状況に陥らないよう、将来的には二次救急で搬送される患者さん全てに対応できる体制を構築していきたいと思います。
また、当院では2014年から地域包括ケア病棟を設置しており、2019年には地域包括ケア病棟専用の新病棟が開設します。当院は急性期病院ではありますが、回復期や慢性期の一部の患者さんを受け入れる地域包括ケア病棟を活用しながら、患者さんが自宅に戻るための支援を一貫して行っていきたいと考えています。

佐藤院長 富士宮市立病院ご提供

若手の医師には、ひとところで安定せず、多くの医師のもとで学んでほしいです。

大学で研究に取り組んだり、海外留学に行ったり、さまざまな経験をしてもらえればと思います。若いうちに多くを経験して、大きく成長してください。
当院は、2002年から臨床研修病院として指定され、初期(前期)・後期研修医を受け入れています。総合医療を重視した、充実した指導体制の構築に努めていますので、ぜひ学びに来てもらえれば嬉しいです。

当院のスタッフが不足していることは、地域の方々にもご理解していただけていることと思います。しかし、そうした中でも患者さんの立場に立った医療を提供できるように心掛けています。

これからも地域に貢献していけるよう、スタッフ一同で努力してまいります。

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  • 富士宮市立病院 院長、浜松医科大学 臨床教授

    佐藤 洋 先生

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