院長インタビュー

地域とともに創る地域医療と恵寿金沢病院の未来

地域とともに創る地域医療と恵寿金沢病院の未来
上田 幹夫 先生

社会医療法人財団董仙会 恵寿金沢病院 病院長

上田 幹夫 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年01月15日です。

恵寿金沢病院の歴史は古く、1928年に名古屋逓信診療所支所として診療を開始してから90年、金沢の地域住民と共に、歴史を刻んできました。

その間運営母体は、旧郵政省からNTTを経て、現在の社会医療法人財団董仙会と移りましたが、地域に根付いた病院への信頼は、今も昔も変わりません。

恵寿金沢病院は、「地域の身近な病院」としての役割と、血液がんや手外科、涙道治療など、専門性の高い病気を治療する役割を担っています。

企業立病院から民間病院へ、そして、地域密着の「身近な病院」と「専門性の追求」という大きな2つの役割について、上田院長先生にお話を伺いました。

 

病院外観

恵寿金沢病院の歴史は古く、1928年の旧逓信省を母体とする診療所の支所として、金沢に開院しました。運営母体は、逓信省から戦後、郵政省に変わり、NTTの民営化に伴い企業立病院となり、そして2014年に、社会医療法人財団董仙会に事業譲渡となり「恵寿金沢病院」と名称変更しました。

以前は「NTT西日本の病院」という意識が、地域の皆さんの中にあったと思いますが、純然たる民間病院となり4年、そういった感覚も少しずつ薄れ、「地域の身近な病院」として利用いただいていると感じています。

当院は在職歴の長い職員が多く、患者さんだけでなく、近隣の病院や地域の皆さんとも顔なじみ、というつながりを持っています。4年前の事業譲渡の際、多くの職員が残ったことも、病院と地域との絆がしっかり続いているひとつの要因と考えています。

また、企業立病院から民間病院となったことで、医療提供や患者サービスが飛躍的に向上しました。

社会医療法人財団董仙会は能登・七尾市に、全国的にも有名な「恵寿総合病院」を中心に、病院、診療所、介護施設など、先端医療から福祉まで、地域住民の暮らしを支える「けいじゅヘルスケアシステム」を独自に構築し展開しています。

こういったノウハウを恵寿金沢病院に蓄積することが、さらに質の高い医療の提供や患者サービスの向上につながると考えています。

 

上田院長と病院を支える職員の皆さん

歴史の長い病院ではありますが、規模は89床と、周辺の病院と比較すると小回りの利く小さな病院です(2019年1月時点)。ですから、すべての診療科がある総合病院とは、性質が異なります。

まずは「地域の身近な病院」として、地域の開業医の先生や周辺の病院からご紹介いただいた患者さんの、病気やけがに対応する最低限の診療機能を維持することが大切です。

そして、当院の歴史の中で、今でも地域から求められている「血液内科」など、専門的な医療に対する診療機能を高めることも重要です。

血液内科では、血液悪性腫瘍、悪性リンパ腫骨髄腫白血病、骨髄不全症など、悪性疾患を中心に治療をしています。また、造血幹細胞移植などの移植医療にも対応しています。

血液内科は専門性の高い診療科であるので、金沢市内だけでなく、石川県を中心に隣県からも患者さんを受け入れています。また、血液内科を有する近隣の病院とも密に連携をしながら、患者さんの治療にあたっています。

特に、金沢大学付属病院との連携では、医師の派遣や医師教育の協力に加え、当院の患者に対して教授回診を行うなど、連携して治療を進めています。

また、当院では、整形外科の中でも、「手」を専門に診る「手外科」や、眼科の中でも、涙の管「涙道(るいどう)」が詰まってしまう病気を専門的に診ることができます。

相対的に患者さんが少ない診療領域で、大きな病院ではなかなか展開しにくい診療科目だからこそ、当院のような小さな病院が、フットワークよく診療を継続することができると考えています。

 

カンファレンスの様子

当院の血液内科は、専門医を中心に、大学の医師、当院の看護師やスタッフが、一丸となってチーム医療を推進しています。

当院の患者さんの特徴は、悪性疾患が多く治療期間が長い。そして、予後も決して良いとは言い切れない患者さんも多く入院しています。根治することが困難な患者さんには、緩和医療や終末期医療を提供する必要があります。

また、血液内科で専門性の高い医療を提供するには、医師だけの力では不十分であると考えています。看護師やケアスタッフと医師の連携を密に行い、患者さんに寄り添う姿勢が求められます。

特に、状態のよくない患者さんやそのご家族は、病気と闘うだけでなく、不安と葛藤しながら治療を進めています。そういった患者さんに日々向き合うなかで、チームで一丸となって治療する「チーム医療」が根付きました。

また、先ほどお話しした「けいじゅヘルスケアシステム」のノウハウを注入することで、患者さんへのサービス向上はもちろん、暮らしを支える視点でのケアが可能になりました。

 

職員の皆さん

 

 

恵寿金沢病院は、社会医療法人財団董仙会の一員として、今後も地域の身近な病院としての役割と、専門的な医療が必要な疾患に引き続き対応できるよう、病院機能の維持と強化を図っていきたいと思っています。

地域の身近な病院としては、近隣の病院の先生方と、連携の集いを通じて当院の活動をご理解いただきつつ、継続して「顔の見える連携」を継続したいと思っています。

たとえば、在宅での介護を中断する必要があるときや、主治医の先生が学会参加などで不在時に、一時的に病院に入院するレスパイト入院を実施していることや、病診連携を強化していることなど、より一層ご理解いただける努力を重ねていきます。

また、血液内科や手の外科、涙道治療など専門性の高い診療領域については、地域の先生方はもちろん、近隣の病院とも連携をさらに強化し、患者さんとそのご家族に寄り添う医療を提供したいと思っております。

大学病院との連携はこれからも維持しながら、若い医師の教育を支援する役割も担っているため、さまざまな機会提供を継続します。

特に、血液内科では、専門性を磨き続けるプロフェッショナル性を身に着けることと並行して、さまざまな合併症に対応できる総合内科的なスキル、そして、患者さんとそのご家族に寄り添える全人的な医療の取得ができるよう支援したいと考えています。

こういった人材育成も継続しながら、将来的には血液内科の在宅医療へ広げていければと、少しずつ思案しているところです。

地域の身近な病院として、また専門性の高い医療を提供する病院として、恵寿金沢病院の未来を、地域のみなさんとともに、積み重ねていきたいと思っています。

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