【院長インタビュー】

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呼吸器疾患や重症心身障害の治療に全力を尽くす国立病院機構和歌山病院
国立病院機構和歌山病院は、伝統的に結核医療に貢献してきた歴史を持つ病院です。呼吸器内科と呼吸器外科が一体化された同院呼吸器センターでは、COPD(ChronicObstructivePulmon...
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呼吸器疾患や重症心身障害の治療に全力を尽くす国立病院機構和歌山病院

公開日 2019 年 03 月 12 日 | 更新日 2019 年 03 月 12 日

呼吸器疾患や重症心身障害の治療に全力を尽くす国立病院機構和歌山病院
南方 良章 先生

独立行政法人国立病院機構和歌山病院 院長

南方 良章 先生

目次

国立病院機構和歌山病院は、伝統的に結核医療に貢献してきた歴史を持つ病院です。呼吸器内科と呼吸器外科が一体化された同院呼吸器センターでは、COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)や気管支喘息、睡眠時無呼吸症候群、結核、肺がんなどあらゆる呼吸器疾患の診療を行っています。また、セーフティネット医療の一環として重症心身障害児(者)病棟と神経難病病棟を設け、医学的フォローと生活支援の双方から、幅広い年齢の患者さんを支えています。

和歌山病院の歴史と現在の取り組み、将来の目標について、院長の南方良章先生にお話を伺いました。

沿革―結核療養所として開所した呼吸器疾患中心の専門病院

国立病院機構和歌山病院外観
国立病院機構和歌山病院外観

国立病院機構和歌山病院(以下、和歌山病院)の前身である日本医療団延寿浜園は、当時日本に蔓延していた結核の専門の療養所として、1944年に開所しました。1947年4月に国に移管され、1969年に重症心身障害児(者)病棟を開設します。それから2004年まで国立病院として、結核をはじめ神経難病や重症心身障害に対する医療を担ってきました。2014年には法人化し独立行政法人国立病院機構和歌山病院となりました。2018年現在、当院では結核、重症心身障害児(者)、神経難病といったセーフティネット医療と、呼吸器疾患を中心とした一般診療を行っています。かつての療養所時代の面影は払しょくされ、診療・教育・災害対策・街づくりを包括的に行う病院を目指して、和歌山県の医療に貢献しています。

和歌山病院における診療の特徴

呼吸器センターであらゆる呼吸器疾患に対応

呼吸器カンファレンスの様子
呼吸器カンファレンスの様子

当院は結核療養所を基盤にして開設されたという背景もあり、特に呼吸器疾患の診療に力を入れています。

呼吸器内科と呼吸器外科を一体化した呼吸器センターには、複数の日本呼吸器学会認定呼吸器専門医・日本呼吸器外科学会認定呼吸器外科専門医が在籍し、結核、COPD、気管支喘息、肺がん、肺炎、気胸、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患全般に対応しています。当院で行える治療の幅は広く、急性期患者さんに対する手術から慢性期患者さんに対する緩和ケアに至るまで、患者さんの病気と症状に応じて医療を提供します。

乳腺外科における乳がん治療

外科分野では、乳がん検診および乳腺外科治療を積極的に進めています。乳がんは近年増加の一途をたどる病気で、早ければ30代で発症します。また、治療後5年や10年以上経ってから再発する可能性もあるため、乳がん患者さんに対する長期的な支援が必要とされます。当院は、時間をかけて病気と闘う乳がん患者さんの力になりたいと考えています。

乳がん検診は外来受診(事前予約制)が可能で、マンモグラフィーの立体版とも呼ばれている乳腺トモシンセシスを用いて検査を行います。万が一乳がんがみつかった場合は、引き続き当院で治療を受けていただくことができます。

セーフティネット医療―結核や神経難病の患者さんの受け入れ

結核治療におけるDOTS(Directly Observed Treatment,Short-course:直視監視下短期化学療法)の実施

DOTSカンファレンスの様子
DOTSカンファレンスの様子

和歌山病院では、拠点型結核相談支援センターでの相談受付、入院治療や在宅治療支援など、幅広く結核への診療を行っています。特に結核治療では、結核の再発と蔓延を防止するためにDOTS(Directly Observed Treatment,Short-course:直視監視下短期化学療法)を推進しています。

DOTSとは、結核の再発と耐性菌の出現防止のためにWHOが打ち出した世界的戦略です。

結核は服薬で完治が望める病気ですが、きちんと薬を飲まないと結核菌に対して薬が効きにくくなり、再発や他者への感染を招いてしまう恐れがあります。結核治療の服薬期間は最短でも6か月と長いことから、これまで薬の飲み忘れが問題とされてきました。DOTSでは、結核患者さんが継続して薬を服用できるようにするために、患者さんの服薬を医療従事者が定期的に確認することが定められています。当院では、地域の保健医療に貢献するため、県内各保健所の保健師や放射線技師などを一堂に集めた「DOTS会議」を毎月開催して、入院中の結核患者さんの服薬状況や在宅の結核患者さんの状況などについて情報交換を行っています。

重症心身障害児(者)さんと神経難病患者さんを受け入れる

重症心身障害児(者)病棟では、重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した患者さんを受け入れています。医療面では、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など多職種が関わり診療を行っています。一方、療育面では児童指導員、保育士、療養介助専門員が中心となり、一人ひとりの年齢や障害の程度に応じて治療や生活訓練の計画を立てていきます。入院中は、トランポリンやバルーンを利用した運動、音楽に合わせた遊び、散歩、日光浴など、感覚を刺激するアクティビティを生活に取り入れた療育を行っています。神経難病病棟では、パーキンソン病やALS(Amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)などの神経難病患者に加え、重度の意識障害の患者さんなどを受け入れています。

重症心身障害児(者)および神経難病の患者さんの中には、自分で呼吸がうまくできず人工呼吸器装着や気管切開を要する方もいるため、脳神経内科のみならず必要に応じて呼吸器内科、外科の医師が患者さんの管理に関わります。また、短期入所や通所支援、ご家族が何らかの事情で一時的に患者さんを介護できなくなった場合のレスパイト入院なども積極的に受け入れています。

和歌山病院がこれから目指すもの

教育機関としての病院づくり

和歌山県内では呼吸器内科医の不足が問題とされています。この地域を支える呼吸器内科医を育成することも、呼吸器疾患の治療を積極的に行ってきた当院の重要な役割です。

2019年2月現在、当院は和歌山県立医科大学から臨床実習生や研修医を受け入れています。

研修中、研修医は日本呼吸器学会指導医のもとで主治医として責任をもって患者さんを担当します。また、外来では用意されたトレーニングシステムに基づいて診療を経験します。技術面では胸腔穿刺や気管支鏡挿入など、基本から応用まで細かく訓練を行い、さまざまな要素から呼吸器疾患の診療の方法を学んでいただきます。

こうした研修生の受け入れは、教える立場に就く先輩医師にもよい刺激をもたらしており、相乗効果で活気のある病院に近づいていると感じています。

今後はさらに研修制度を充実させ、臨床のみならず教育を行う医療機関として、地域医療に貢献していくことが目標です。

呼吸器疾患の遠隔診療

遠隔診療の様子
遠隔診療の様子

遠隔医療支援システムを導入した遠隔診療を行っています。このシステムは、和歌山県立医科大学地域医療支援センターと県内各地の医療機関がネットワークを結ぶことで、地域診療所からの相談に応じ、地域医療を支援する仕組みです。たとえば、地域で救急が発生した際には、このシステムを用いることで医療機関同士の素早い情報共有と質問・回答が可能になります。当院は、ネットワークに加盟している医療機関から寄せられる、呼吸器疾患に関する相談受付を中心に行っています。

こうした遠隔診療の充実は、患者さんと地域、病院を結びつけ、和歌山県全体の医療に寄与すると考えます。

南方良章先生からのメッセージ

南方先生

地域の方々へ

和歌山病院は、地域にお住まいの方々のためにある病院です。呼吸器疾患・乳がん・神経疾患を中心にした日々の診療はもとより、医師の教育や地域医療の発展にも尽力して、和歌山県の医療に貢献したいと考えています。地域の方にとって役立つ病院になるため、これからも地道な努力を続けていきます。

若手医師の方々へ

医療は人ありきの行為です。目の前の課題にひたむきに取り組み、臨床経験を積んで自分自身を高めていってください。また、どのような診療においても科学的な視点を忘れず、物事を論理的に分析する力を養ってほしいと考えています。

1986年より呼吸器内科医師としてキャリアをはじめる。1995年にカナダ・モントリオール大学留学。2004年和歌山県立医科大学内科学第三講座助教授(准教授)に就任し、2014年独立行政法人国立病院機構和歌山病院院長に就任。県内の呼吸器疾患診療のリーダーとして、慢性閉塞性肺疾患診療の第一人者として、臨床・研究ともに日本をリードしている。