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2018年度 YCU病院経営マネジメントプログラム 最終発表会 レポート~後編~

2018年度 YCU病院経営マネジメントプログラム 最終発表会 レポート~後編~
後藤 隆久 先生

横浜市立大学附属病院 病院長

後藤 隆久 先生

目次
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2019年2月23日(土)、横浜市立大学 福浦キャンパスにて、横浜市立大学による「2018年度 YCU病院経営マネジメントプログラム」の最終発表会が開催されました。本プログラムは、病院経営に携わる方・興味を持たれている方を対象に、医療経営学や政策学などの理解と考察のトレーニングを行うことを目的として開設されたプログラムです。

最終発表会では、受講者たちが1年間かけて研究した各自のテーマの結果や課題などを発表しました。各発表の後は全員でディスカッションを行い、新たな課題を見出した受講者もいらっしゃいました。

本記事では、プログラムの最終発表会(後編)の様子をお伝えします。

本プログラムの前編はこちらをご覧ください。

本プログラムの最終発表会に参加された受講者のインタビューは、こちらをご覧ください。

横浜市立大学 救急医学教室 市民総合医療センター 高度救命救急センター 主任教授 センター長 竹内一郎先生
横浜市立大学 救急医学教室 市民総合医療センター 高度救命救急センター 主任教授 センター長 竹内一郎先生

横浜市立大学 救急医学教室 市民総合医療センター 高度救命救急センター 主任教授 センター長である、竹内一郎先生による発表が行われました。

竹内先生:

横浜市では、今後も高齢者が増えることで救急車の搬送数が増加していくと考えられます。

そのような状況を受けて、既存の救急システムだけではなく、新たなシステムを加えることが必要だと考えて現状分析を行った結果、以下のことが分かりました。

  • 横浜市における現状の高齢者搬送システムは適切
  • 今後高齢者の増加に伴い救急搬送の増加が予想される中、現状のシステムに加えて新たなシステムが必要

研究ではまず、横浜市で唯一の高度救命救急センターとして機能する、市民総合医療センター病院(以下センター病院)に求められる役割を検討しました。

センター病院の、救急車で搬送され入院した患者の疾患をみると、外傷・熱傷・中毒・循環器系疾患などの重症患者が圧倒的に多いことがわかりました。

つぎに、横浜市における65歳以上の搬送パターンを特定し、現在の搬送システムを検証しました。多数のデータから一番大きな因子をみつける「CART方法」によって検証すると、管内搬送では死亡や重症患者が多く、管外搬送では軽傷が多くみられました。このことから、重症患者を管内で受け入れるシステムが整っているということが分かりました。

しかし、今後高齢者の増加に伴って救急車の搬送が増加すると予想されるため、新たな取り組みを検討する必要があると考えます。検討する際には、ほかの都市でも利用可能な基礎的資料を作成し横浜市との比較を行うことで、判断材料のひとつになると思います。

横浜市立大学附属病院 看護部 患者サポートセンター 武田理恵先生
横浜市立大学附属病院 看護部 患者サポートセンター 武田理恵先生

つぎに、横浜市立大学附属病院 看護部 患者サポートセンター 武田理恵さんによる発表が行われました。

武田さん:

患者さんの治療終了後の健康レベルや在宅での生活を想定すると、患者さんがセルフケアできるような退院支援が必要だと考えていました。そこで、退院支援の機能の充実を図るため、退院前と退院後に医療従事者が患者さんのご自宅に訪問する、「退院前・退院後訪問」というシステムを実施しました。その結果、退院前・退院後訪問を行うことによって多くのメリットがある一方で、看護師の日々の業務の見直しが必要だということが分かりました。

今回の退院前・退院後訪問の対象となった患者さんは、退院前カンファレンスが必要とされる方です。

退院前・退院後訪問を実施すると、訪問看護士やケアマネジャー、訪問医などと直接入院中の情報共有を行うことができました。ご自宅のベッドの配置などを、ご家族と一緒に調整ができることも大きなメリットであると感じました。また、患者さんのご自宅で発生する問題や、ご自宅と病院での患者さんの表情の違いを実感できたことは、非常に価値があることだと思いました。

このように多くのメリットがある一方で、退院前・退院後訪問の実施にあたり、多くの業務が発生するという課題もあります。

たとえば、退院前・退院後訪問を行う前に、患者さんやご家族の同意を得たり、医師に報告して指示を得たりする必要があります。また、訪問する前のカンファレンスも必要であり、これらの業務に多くの時間を要することが分かりました。そのため、今後も退院前・退院後訪問を継続していくためには、看護師の日々の業務の見直しが必要になると考えます。

この退院前・退院後訪問を通じて地域連携の一部分に私たちが貢献することで、在宅医療の質向上に貢献できればと思っております。

聖隷横浜病院 事務長 中村知明さん
聖隷横浜病院 事務長 中村知明さん

つぎに、聖隷横浜病院 事務長である、中村知明さんによる発表が行われました。

中村さん:

2025年問題に向けて、厚生労働省はさまざまな政策を進めています。また横浜市では、「よこはま保険医療プラン」を策定しており、医療業界は今後も変化していくでしょう。本研究では医療業界の未来を見据えて、地域医療に貢献するための病院づくりや、聖隷横浜病院のあり方を考えました。

横浜市の将来人口推計や聖隷横浜病院の患者状況などを読み解くと、今後患者は高齢者を中心にさらに増加していくことが分かりました。

また、聖隷横浜病院を取り巻く内部環境と外部環境を列挙してクロス分析を行い、今後聖隷横浜病院がどうあるべきかを考えました。

今後、地域包括ケアシステムにおける急性期医療の果たす役割は、「治す医療(病院完結型)」から「治し支える医療(地域完結型)」へと変化していくと考えられます。そのようななかで、急性期医療から在宅医療まで横断的につなぎ、地域完結型医療をどこまでも支えていくことが、当院の果たすべき機能であることがわかりました。

今後も当院の計画にあわせて、地域医療とのすり合わせを行っていきたいと思っております。

横浜市立大学附属病院 看護部 がん看護専門看護師 畑千秋さん
横浜市立大学附属病院 看護部 がん看護専門看護師 畑千秋さん

つぎに、横浜市立大学附属病院 看護部 がん看護専門看護師である、畑千秋さんによる発表が行われました。

畑さん:

当院では、がん相談支援センター・がんサロン・緩和ケアチーム活動などを整備し、がん患者さんを多方面から支援しています。そうした支援のなかで、病状や治療についてよく理解されておらず、不安を抱えているがん患者さんが多いと感じていました。

そこで、さらにがん患者さんに情報提供を行っていく必要があると思い、オリエンテーションプログラムを作成しました。

オリエンテーションプログラムは、国立がん研究センター東病院の小川朝生先生が作成したがん患者のサポートプログラムをもとに(許可済)、以下の7つの項目に加え当院のがんゲノム検査の情報も提供できる内容としました。

  • 問題の整理
  • 情緒的サポート
  • オリエンテーション(病気について、治療について、生活について、家族のこと、こころのこと、今後のこと、医療者とのコミュニケーション、お金のこと)
  • 問題解決アプローチ
  • 孤立の予防
  • セルフマネジメントの強化
  • 専門的支援への確実な引継ぎ

オリエンテーションプログラムに併せて、一連のがん治療のプロセスや、患者さんやご家族が疑問を抱きやすいことを確認できる、トラジェクトリーマップと質問促進パンフレットを活用しています。

4名の患者さんにオリエンテーションプログラムを提供した結果、「医師の説明の理解が深まった」「不安が緩和された」「今後のイメージができた」といったお声を頂いています。

課題としては、1人の患者さんに平均40分程の時間がかかってしまったため、業務調整時間の確保が必要であることです。また、面談を行うがん看護専門・認定看護師のトレーニングや情報提供ツールの整備を行う必要もあります。

今後も効果を検証しつつ、部署の看護師も実施できる標準プログラムにするなど、より効果的な支援につなげる必要があると感じました。

横浜市立大学附属病院 看護部長 濱崎登代子さん
横浜市立大学附属病院 看護部長 濱崎登代子さん

つぎに、横浜市立大学附属病院 看護部長である、濱崎登代子さんによる発表が行われました。

濱崎さん:

医療従事者の働き方改革が進むなかで、二交代制勤務を希望される学生さんが多いことなどから、看護師の二交代制勤務のシミュレーションに取り組みました。

今回のシミュレーションは、就業規則を守ること、診療報酬上の要件を守ること、看護師の数は変えない、などの条件のもとで行いました。

結果、日勤(実働7時間45分)、長日勤(実働11時間30分)、夜勤(実働11時間45分)の3つの勤務パターンを組み合わせることで、二交代制勤務は可能です。しかし、勤務パターンを変更すると勤務時間管理ができなくなるなどで、二交代制勤務の実施は困難であるという印象を受けました。

現時点で取り組める、働きやすい勤務体制にするための方法としては、看護職員夜間12対1配置加算2から1の要件に取り組むことです。そのためには、「勤務間インターバル11時間以上」をいかに確保するかが次の課題です。

3交代制と2交代制の勤務パターンの混合型にすることも考えられます。今後も引き続き職員の働きやすさのために、実施できることを考えていきたいと思います。

横浜市立大学附属病院 手術部 水野祐介先生
横浜市立大学附属病院 手術部 水野祐介先生

つぎに、横浜市立大学附属病院 手術部の水野祐介先生による発表が行われました。

水野先生:

当院の手術件数は増加傾向にあり、手術部の業務量も増加しています。そこで、手術室の効率的運営について研究しました。

まずは、手術関連業務を細分化し、各病院の業務形態と比較することで、より効率的な運用プラン、移管方法を検討しました。

その結果、これまで多職種で行っていた術前診察・評価の業務である「持参薬・中止薬チェック」は、多職種ではなく薬剤師のみの運用で問題がないことがわかりました。ほかにも、業務において効率的な運用プランがみつかりました。

さらに業務の標準化・集約化・機械化を行うことで、より効率的に業務が行えると考えました。

また本研究では、手術部の業務をタスクシフトすると、看護師にシフトされる業務が多々あることも分かりました。そこで、看護師の負担増加を防ぐために、看護師の業務を時間ごとに把握し、改善点を探りました。

その結果、看護師の業務は多くの病院で必ずしも看護師が行う必要がない業務は、業者へシフトされており、概ね効率的な運用ができているものの、早朝・夜間の業務は改善の余地があることが分かりました。

しかし、効率化には限界があります。そのため、医療需要の増加によってキャパシティを超える前に、どのような患者の診療を行うかを、各病院が考えることが必要であると考えました。

医師の働き方改革の検討会では、「医療機関のキャパシティを超えて医療ニーズが発生しているのであれば、それは地域医療計画の話」といわれています。ですから、本当に必要なのは円滑な地域連携による、病院間のタスクシフトでもあると考えます。

横浜市立大学附属 市民総合医療センター 病院長 後藤隆久先生
横浜市立大学附属 市民総合医療センター 病院長 後藤隆久先生

最後に、横浜市立大学附属 市民総合医療センター 病院長である後藤隆久先生より講評がありました。

後藤先生:

非常にクオリティが高い発表ばかりで、これほど充実した研究が1年間でできるのかと非常に驚きました。本プログラムに参加したことで、さらに研究を深めようと考えていただけたらとても嬉しく思いますし、医療業界にとっても意義のあることです。

研究だけでは終わらせず、ぜひ研究内容を実現していただき、フィードバックをお聞かせいただければと思います。1年間お疲れ様でした。

こうして2018年度 YCU病院経営マネジメントプログラム 最終発表会は閉会しました。

 

本プログラムの前編はこちらをご覧ください。

本プログラムの最終発表会に参加された受講者のインタビューは、こちらをご覧ください。

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