社会医療法人福島厚生会 福島第一病院(以下、福島第一病院)の位置する福島県福島市では少子高齢化が進んでおり、東日本大震災以降は特にその傾向が強まっています。このような環境の中で、福島第一病院は地域の患者さんを中心とした医療を大切に考え、地域性に特化した医療を提供してきました。高齢化が進む地域の中でどのような医療を行っているのか、福島第一病院の病院長である小川 智弘先生にお話を伺いました。
当院では、高齢の方へ向けた健康管理や医療を中心に提供しており、特に急性期疾患に対する一貫した治療を積極的に行っています。患者さんの状況に応じて、手術をはじめ多様な治療の選択肢を用意しています。現在は、とりわけ心臓血管病センターと整形外科に力を入れており、心不全、狭心症、心筋梗塞を中心とした循環器疾患、下肢静脈瘤やリウマチ性疾患の治療は当院の柱となっています。また、外科では、乳がんをはじめとしたさまざまな病気に対応しています。
心臓血管病センターは、1999年に心臓血管外科と循環器内科を統合する形で開設されました。心臓血管病センターでは、循環器疾患に対して多角的に治療を行っており、特に下肢静脈瘤など、末梢血管の病気に対する治療には力を入れています。末梢血管の病気に対する治療の際には、複数の選択肢の中から、患者さんの症状に応じてバイパス手術やカテーテル治療などを選択しています。また、下肢静脈瘤に対する治療としては、体への負担が少ないレーザー手術も取り入れています。このほか、当院では透析治療も行っているため、透析を要する患者さんに起こりやすい血管の病気にも迅速に対応することが可能です。
当院では、リウマチ性疾患の患者さんを積極的に受け入れています。
リウマチ性疾患に対しては、日本リウマチ学会認定のリウマチ専門医のもと、診断から治療まで幅広く対応し、外科的治療だけでなく内科的治療も行うことで病気のコントロールを行っています。
高齢化が進む地域に位置する当院では、内科において地域性に特化した医療の提供を行っています。たとえば、高齢の方の場合、誤嚥性肺炎や脳卒中といった病気を急に発症されることもあります。内科ではこういった事態をあらかじめ想定し、状況に応じた適切な治療法を見極めて、患者さんに提供しています。
当院では患者さん向けに、糖尿病や狭心症、下肢の血管疾患などの講座を開き、患者さんに病気について理解を深めていただく場を設けています。また、病気の予防に関する講座も積極的に行っています。
当院では、共に地域の患者さんを守っているほかの医療機関との連携強化や情報共有も大切にしています。具体的な取り組みとしては、当院と連携している病院の医師や医療従事者の皆さんと協力してフォーラムを開催したり、講師として当院にお招きしたりすることで、交流を深めています。
医療は日々進歩しているため、私たち医療従事者は皆、常に新しい情報を把握し続ける必要があります。より新しい情報に接し続けるためには、他院との医療連携や、外部から新しい医師を迎え入れることが大切であると考えています。
医師確保が難しくなっている現代においても、当院は課題意識を持って新しい情報を取り入れ、患者さんに提供する医療に還元していきます。
当院では患者さんに信頼されることを第一に考え、患者さんのニーズに応えられる病院となることを理想としています。このような理想像に近づくためには、今まで以上に医師や看護師などの医療スタッフを増やしていくことが大切だと考えます。
また、新しい診療科を立ち上げて診療科の分野を広げるのではなく、現在ある診療科の強化を図ることも重要だと考えています。
スタッフの拡充や診療科の強化により医療環境を整えることで、患者さんに信頼していただける病院となれるよう、今後も病院一丸となり努めていきます。
体調面で不安なことがある場合には、どのような内容でも構いませんので、すぐにご相談ください。当院では、全ての患者さんの声に親身に耳を傾け、治療の方向性を見つけていくために力を尽くしています。ご相談いただいた場合には、当院での治療ができるかどうかを適切に判断し、他院への紹介が必要な場合には紹介状をお渡しします。当院で治療が可能な場合には、患者さん一人ひとりに適した治療を選択し、提供していきます。
健康に関する不安を抱えていたり、心身の不調を我慢されていたりする場合には、ぜひ相談するところから始めていただければと願っています。
特に学生の期間には、困難なことを避けず、あえてチャレンジすることをおすすめします。たとえば、対応しにくいとされる病気を自らの手で治すことができたときの喜びは、医師を目指す皆さんにとって非常に大きなものになるはずです。
医師になるための勉強は簡単なものではありませんが、目の前にある壁と真剣に向き合い努力することで、その先にある喜びを手にしてほしいと考えています。
福島第一病院 院長/心臓血管病センター長/心臓血管外科部長
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現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。