静岡市にある社会福祉法人 恩賜財団済生会 静岡済生会総合病院(以下、静岡済生会総合病院)は、戦後間もない1948年に開設された病院です。静岡県が三菱重工静岡三菱病院を買い上げ、済生会に経営を委託したことが始まりでした。
静岡市内において、地域の他医療機関と連携しながら、よりよい医療を提供できるよう努めています。
静岡県済生会総合病院で、現在行っている取り組みについて院長である石山純三先生にお話を伺いました。
静岡済生会総合病院は、全国40都道府県に支部がある社会福祉法人 恩賜財団 済生会が経営する病院です(2018年11月時点)。静岡市駿河区内の総合病院として、急性期医療を中心に地域住民に提供しています。
その一方で、1958年より医療ソーシャルワーカーの導入をはじめ、1973年には訪問看護の開始など、患者さんが地域で暮らすためのサポートにも注力してきました。
古くから地域に根付いている病院として、住民の医療ニーズに広く応えられるよう、機能の充実を図っています。
当院は、総合病院として多くの診療科を構え、地域住民の皆さまへより専門的な医療の提供に努めています。
また1人でも多くの患者さんのニーズをくみ取れるよう、たとえば突発性難聴やダイビングで減圧症になった方への高気圧酸素治療を実施するなど、多様な治療法の提供を目指しています。
当院は、1980年に救命救急センターを開設するなど、救急医療に力を入れてきました。現在は、日本救急医学会認定の救急科専門医を配置し、各診療科と連携する形で救急搬送の受け入れを行っています(2018年6月時点)。ICU(集中治療室)を備え、一次救急から三次救急までに対応できる病院として、地域の皆さまの健康を支えています。
当院では、不整脈に対するアブレーション治療に長きにわたり力を入れてきた歴史があります。
2014年からは、不整脈科として独立した外来を開設しました。頻脈性不整脈に対する経皮的カテーテルアブレーション治療や徐脈性不整脈に対するペースメーカーの植え込み治療など積極的に取り組んでいます。
手外科・マイクロサージャリーセンターは、四肢の病気や外傷を専門とする診療科です。主に、しびれなどの神経疾患や骨折、腱鞘炎などのほか、手や指の切断といった重症外傷にも対応しています。
また、手や指の切断や挫滅損傷などを含む、血管・神経の切断を伴う外傷の治療に関しては、手術用顕微鏡下で行うマイクロサージャリーによる再建手術を積極的に実施しています。
血液内科では、白血病などの血液疾患の診療を行っています。
全国的に問題となっている医師の地域偏在・診療科偏在による地方の医師不足は、静岡県も例外ではありません。当院の血液内科も決して人員に恵まれた診療体制ではありませんが、できる限り地域の方が住み慣れた場所で治療を受けられるように努めています。
小児科では、一般的な小児疾患を診る小児科外来から、新生児の集中治療を行うNICUまでを備えることで、幅広い分野の新生児・小児医療を提供しています。また静岡県の地域周産期母子医療センターに指定されており、産婦人科と連携して地域の周産期医療の充実を図っています。
当院の所在する駿河区においても少子化は進行しています。しかし、子どもの医療を行うことは、地域の未来にとって非常に大切なことです。近隣の静岡県立こども病院と協力しながら、これからも地域のお産と子育てに必要な医療を提供していきたいと考えています。
泌尿器疾患の場合、女性と男性では発症に至る原因や求められる対応が異なることが多いです。そのため当院では、2017年2月から女性泌尿器科を設けました。
また、より女性の患者さんが相談しやすいよう、日本泌尿器科学会認定の泌尿器科専門医の女性医師を配置して診療を行っています(2018年6月時点)。
私が日頃から当院のスタッフに伝えていることは、医療の質の向上と心のあり方を大事にすること、そして健全な経営を目指す大切さです。これまでも我々は社会福祉法人であることを忘れることなく、あたたかい思いやりの心を持って患者さんに接することを大事にしてきました。
そして、やさしさだけではなく、医療の質は常によりよいものを目指さなければなりません。社会の高齢化が進むにつれて、患者さんのニーズの幅も広がってきています。常に地域のためのよりよい医療を提供するという意思を持ち続けることが重要だと考えています。
最近の研修医を見ていると、非常に基礎能力が高い方が多いと感じます。学生時代に多くを学んできているのだと思います。当院での研修を通じ人間性を涵養する努力もしてもらえればと思います。
秀でた技術があれば、それだけで生きていくことはできるかもしれません。しかし社会的には、医師は患者さんに寄り添う人間性を期待されている職種です。確かな知識と専門性を身につけていく過程でも、積極的に社会に踏み込んで人間性を磨いていってほしいです。
高齢化が進み、自分自身、あるいはご家族の人生の最期について考えなくてはならない場面も多い時代になりました。
かつては、「できることはなんでもやる」というのが医療に求められていることでした。しかし今は、患者さん1人ひとりの考え方や気持ちに寄り添って、必要とされる医療や介護を提供することが望ましいと言われています。
ただ救命することだけが、全てではありません。「治す医療と支える医療」をキーワードに、当院のスタッフも、日々、患者さんそれぞれが満足できるその人らしい生き方について考えています。ぜひ、今後は積極的に地域の皆さまと意見交換をしていきたいと思っています。
皆さまから遠慮のないご希望やお考えをお聞かせいただき、当院がそれに応えていくことで、患者さんやご家族に「よい医療だった」と思っていただけるように、日々邁進してまいります。
静岡済生会総合病院 院長
静岡済生会総合病院 院長
日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医・脳神経外科指導医
1981年より脳神経外科医師としてキャリアをはじめる。名古屋大学で脳腫瘍の研究後、碧南市民病院での勤務を経て、1998年より静岡済生会総合病院に勤務。同院で高気圧酸素治療を導入していることから、2000年に現在の日本高気圧環境・潜水医学会認定の高気圧酸素治療管理医となり、2009年に同学会の管理医制度が廃止、専門医制度が開始されてからは、日本高気圧環境・潜水医学会認定 高気圧医学専門医となった。
2014年より静岡済生会総合病院の院長に就任し、地域に必要とされる医療を提供する病院づくりに尽力している。
石山 純三 先生の所属医療機関
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現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。