院長インタビュー

地域とともにある病院を目指す春江病院

地域とともにある病院を目指す春江病院
嶋田 俊之 先生

医療法人博俊会 理事長

嶋田 俊之 先生

目次
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福井県坂井市に位置する医療法人 博俊会 春江病院は開院から70年以上もの間、春江町で医療を提供しています。地域のニーズを感じ取りさまざまな改革を行ってきた同院は高齢化の進む春江町のことを考え、新しい医療提供の形を確立していかなくてはならないと考えています。同院の現在や今後の展望について理事長の嶋田俊之先生にお話を伺いました。

春江病院 外観
春江病院 外観

春江病院は1946年に春江医院として開院しました。春江町にある病院として地域の一部であるという思いから病院名に「春江」を入れています。現在は地域に根付いた公立病院的な存在として地域の皆さまに親しんでいただいていると思います。2016年には春江町の針原地区に新築移転し、病院建物を一新して新たなスタートを切りました。

新たなスタートを切ったことで、当院の地域における役割を改めて考えてみました。当院で提供ができる医療の中にも、スタッフの充実などによって十分な医療を提供できるかは異なります。その中でも得意としている診療科の診療を強化していく必要があると思います。もちろん、患者さんを総合的に診療することができる医師も必要です。得意な分野を少しずつ伸ばしていき、総合的な診療も可能な病院として地域の一部になっていきたいと思います。つまり大きく2つの特徴と役割があると考えています。

当院の1つめの特徴は、手術室を3室有し充実した急性期医療を提供できることです。無駄なく良質な医療を提供して、地域の急性期医療の一翼を担うことは、坂井地区における当院の重要な役割であると考えています。現在その中心は整形外科、消化器科・外科です。

2つめの特徴は、回復期病棟を有していることです。地域包括ケアシステムの構築に貢献することが当院の役割だと思っています。

春江町も高齢化が進み高齢者の骨折なども増え、整形外科分野の充実をしていかなければならないと思います。その中でも整形外科ならではの診療を提供していき、地域の病院との機能分化を図っていきます。

春江病院 内観
春江病院 内観

当院が提供している診療は、急性期医療、回復期医療、慢性期医療の3つです。

急性期医療の柱の一つが整形外科、回復期医療を地域包括ケア病棟と回復期リハビリテーション病棟で展開し、慢性期医療を訪問看護・診療で展開しています。

整形外科を中心に急性期医療を提供し、急性期の治療がひと段落した患者さんには地域包括ケア病棟でのケアや回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーションを実施し、ご自宅や社会復帰を目指します。慢性期の患者さんには訪問看護や訪問診療などにより、ご自宅や施設に戻られたあとのサポートも行っています。

また、回復期リハビリテーション病棟でのリハビリテーション後でも在宅復帰に不安が残る方や、在宅医療を受けている方で病状が悪化した際には当院で受け入れ、治療を行える体制を整えています。急性期から回復期、在宅医療まで一貫した医療を提供できるように多職種連携を深め、地域のサポートができるように尽力しています。

地域の高齢化も進み、今後は在宅診療を受ける方も増加していくことが予想されます。急性期から在宅診療までしっかりと提供することで、地域の皆さまに頼りされる病院でありたいと思います。

回復期や在宅医療による慢性期の患者さんのサポートを充実させていくことはもちろんですが、病院の機能として急性期医療も地域にとって役立つ医療として維持していきたいと思います。その中でも幅広い疾患に対応し、地域からのニーズも高い整形外科分野での診療をより充実させていきたいと考えています。

整形外科では一般外傷の診療からスポーツ障害変形性関節症などの診療を行っています。また指の再接着を得意とする医師も在籍しており整形外科分野でのさまざまな疾患に対応することができます。(2019年4月現在)

たとえば膝関節症の治療では、可能な限り患者さんの関節の機能を維持するために膝骨切り術を提供することがあります。骨切り術とは、関節を温存するために骨を切り体重のかかり方を改善して痛みを取るための手術です。患者さんの中にはこの骨切り術を受けるために、県外からいらっしゃる方もいます。また、当院に在籍する医師の治療を受けたいと思ってくださる方も多くいらっしゃると聞いています。

高齢化が進む一方で、地域の役に立つ医療を提供していかなくてはならないと思います。骨切り術で言えば、人工関節置換術をしないため人工関節の入れ替えなどが発生せずに快適に過ごせる期間が延長できます。もちろん、人工関節置換術には人工関節置換術のメリットが多数あります。関節に人工関節を入れることで、痛みや動かしにくいといったことが解消され、生活の質(QOL)を低下させることが減ります。

カンファレンスの様子
カンファレンスの様子

地域の皆さまに研修ホールを一般開放しています。ヨガ教室や、ベビーマッサージ教室を開催しています。もともとは当院の患者さんが会議室を利用して何かをしたいと言ってくれたことがきっかけです。その患者さんがヨガのインストラクターをされていたこともあり、当院でのヨガ教室を主催してくださっています。ヨガ教室は一般の方にも好評で、多くの方がヨガを体験しています。

また、患者さんのご友人にベビーマッサージを行える方がいらっしゃり、その方も当院の研修ホールを利用してベビーマッサージ教室を主催してくださっています。

今後もこのような一般の皆さまとの交流を継続していきたいと考えております。

がんは日本人の2人に1人が罹患するといわれているほど身近な病気です。しかし、健康な方の中には、がんに対する知識が不足している方も少なくありません。そのため、文部科学省は小学校や中学校でのがん教育を推奨し、さまざまな地域で実施を開始しています。春江町も例外ではありません。近隣の小学校を乳がんの患者さんとともに訪問し、がんのお話をしています。

これも患者さんの提案から始まった取り組みです。ご自身ががんになったことで感じたことや周りの方々のサポートについてなどを中心にお話しされています。がん治療は薬の開発や手術方法の確立が進み、検査で早期発見することも増えてきたため、がんは治る病気として認識されています。

早い内からがんの知識を学び、周りのがん患者さんをサポートしていけるようになってほしいと思います。

嶋田先生

 

病院の移転に際して病院の理念を新しくしました。新しい理念は「地域にあってよかった 患者さんがかかってよかった 職員が働いてよかった」です。

地域の中に春江病院があるからこの地域に住むのは安心だ、春江病院があってよかったと思ってもらえるように地域との交流も深めています。そして、地域の一員となれるように尽力していきます。また、職員が働いてよかったと思えるように自身のキャリアアップやスペシャリティを磨くためのバックアップを充実させていくつもりです。たとえば、最近では福井県済生会病院の研修に当院の職員も参加させていただいています。このように他施設のご協力を得ながら、より多くの教育の機会を提供できるよう尽力しています。他の医療機関とも人的交流や勉強会の共同開催なども取り入れていくことも検討しています。職員の能力が高まれば提供できる医療の幅も広がり、地域の皆さまにも当院があってよかったと思ってもらえる機会が増えると思います。

当院が地域においてできることを明確にして、得意な分野を伸ばしていけるように職員一同努力を重ねていきます。

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