院長インタビュー

7つのセンターで地域の方々に包括的な医療を提供―福井県立病院

7つのセンターで地域の方々に包括的な医療を提供―福井県立病院
橋爪 泰夫 先生

特定医療法人社団勝木会 やわたメディカルセンター 健診センター 健診センター長

橋爪 泰夫 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年07月09日です。

福井県福井市にある福井県立病院は、県民に信頼される病院を目指して医療を提供しています。福井市や坂井市周辺の中核病院としての役割を担っており、2017年度には、4,757件の救急搬送の受け入れを行いました。

今回は、福井県立病院が提供する医療や、地域の方々に向けたメッセージなどについて、院長である橋爪泰夫先生にお伺いしました。

福井県立病院の外観
福井県立病院の外観

当院は1950年に開院しました。1957年に総合病院として承認され、その礎を築いてきました。2000年には、当院と同年に開院した福井県立精神病院を統合し、精神科病棟としての機能を備えた総合病院となりました。2007年に厚生労働省より、都道府県がん診療連携拠点病院に指定されています。

2011年には、陽子線治療施設の運用を開始しました。これによって、従来のがん治療に加え陽子線治療の提供が可能になりました。がん治療ではさまざまな治療方法から選択できるように取り組んでおり、地域がん診療拠点病院としての役割を担っています。また、地域の医療機関の先生方と密な連携を図ることで、地域医療支援病院としての役割も担っています。地域の医療機関から紹介された患者さんに、必要な医療を当院で提供し終えたのち、できる限り早くもとの医療機関へ逆紹介できるように心掛けています。

手術中の様子
手術中の様子

当院には、7つのセンターを備えています。本項では、そのうちの3つのセンターについてご紹介します。

1983年に救命救急センターが設立されてから、当院は救急医療に尽力してきました。

当院は、軽傷の患者さんから、集中治療室への入院を必要とする重症患者さんまで、幅広い患者さんの受け入れを行っています。そのため、遠方から搬送されてこられる患者さんもいらっしゃいます。

当センターの特徴は、北米型のER方式で救急医療を行っていることです。北米型のER方式とは、救命救急の担当医が搬入された患者さんの緊急度や重症度を判定し、緊急手術や入院治療を行うシステムのことをいいます。必要な場合は、待機している各診療科の担当医師に連絡をとり、診療をしてもらいます。この北米型のER方式は、当院の各診療科の担当医師が24時間365日、当院にすぐに来ることができるように待機をしているからこそ成り立っているシステムといえます。

当院の大きな柱となっている中央医療センターには、20を超える一般的な診療科があります。一般的な診療科とは、内科、外科、小児科、産婦人科などの診療科のことです。当センター内には脳心臓血管センターも設けており、頭から足の先までの全身の血管病を診療しています。また「なんでも相談窓口」も備えており、診療科がたくさんあってどの診療科を受診してよいのか分からない、入院生活で困っているなど、患者さんから寄せられるさまざまな疑問や相談にお答えしています。

こころの医療センターは、精神科医療を提供するセンターです。精神科、心身医療科、デイケア科、作業医療科から構成されており、救急医療にも注力しています。

当院のメリットは、総合病院のなかに精神科医療が提供できる当センターを有していることです。これにより、1人の患者さんに対して、心身両面から切れ目のない治療を提供することが可能です。昨今、精神疾患を有する患者さんの高齢化が進んでおり、さまざまな病気を患うことが多くなってきました。また、精神疾患や認知症ではない一般病棟の高齢患者さんでも、入院などによる環境の変化がきっかけで、せん妄や認知症を発症することもあります。そのようなときにも、当センターの担当医師と、ほかの診療科の医師が連携して、ひとりの患者さんの心と体をトータル的に診療することが可能となっています。

多職種で行われるカンファレンスの様子
多職種で行われるカンファレンスの様子

当院は2つのセンターを備えており、がん医療センターと陽子線がん治療センターを開設しています。

がん医療センターでは、手術療法、化学療法、放射線療法などのがん治療を、チーム医療で提供しています。チーム医療とは、複数のスタッフが連携をとり、1人の患者さんの治療やケアにあたる制度のことです。チームは医師、看護師、理学療法士、管理栄養士などのスタッフで構成されています。がん医療センターでは、臓器別のチームをつくり診療にあたっています。たとえば、肺がんであれば肺がんの知識に長けているスタッフで、肺がんチームを構成しています。そのチームで、一人ひとりの患者さんの症例を熟考し、治療方針を決定しています。手術の際は、内視鏡手術を積極的に行うなど、患者さんの体に負担が少ない手術方法を可能な限り選択しています。また、緩和ケアセンターやがん患者サロン、がん相談支援センターを設立しており、がん患者さんに対して包括的なケアができるようにしています。一人ひとりのがん患者さんを、多方面から支えるという意識を持ち、職員一同でがん治療に取り組んでいます。

陽子線がん治療センターでは、放射線の一種である陽子線を用いたがん治療を提供しています。陽子線治療は、従来のX線治療よりがん病巣に対してピンポイントな照射が可能であるため、正常組織への副作用が少ない治療です。2018年4月より、前立腺がん骨軟部腫瘍などが陽子線治療の公的医療保険の対象となりました。それ以前の公的医療保険の対象は小児がんのみでしたが、対象が広がったことで陽子線治療を希望される患者さんが増加しました。

橋爪先生

私は、医療サービスの核心部は人対人であり、信頼がとても大事だと考えています。患者さんや患者さんのご家族、そして共に働くスタッフからの信頼を得るために、勉強に励み、経験を積み、技術を身につけましょう。人対人ということを常に頭に置きながら、自己研鑽していただきたいと思います。

地域の方々には、かかりつけ医をお持ちいただきたいと思っています。かかりつけ医とは、病気になったときや、体の調子がおかしいなと思ったときに気軽に通えて、相談できるような医師のことです。かかりつけ医を持てば、不調を感じたときにどの医療機関を受診すればよいのか明確になります。診療の結果、かかりつけ医がさらに詳しい検査などの必要があると判断した場合には、適切な医療機関への紹介もできます。また、医療機関へ紹介された場合は、かかりつけ医から紹介状をもらうことができます。そのため、紹介先の医療機関では、待ち時間が短縮されてスムーズに診療を受けることができるなどのメリットがあります。医療機関にとっても、医療の機能分担ができるというメリットがあります。ぜひ、この記事を読んでいただいた方々には、かかりつけ医をお持ちいただけたら幸いです。

当院は県民に信頼され、心あたたまる総合病院をめざしています。これからも患者さんや、患者さんのご家族に納得していただける医療を継続的に提供してまいりますので、今後とも当院をよろしくお願いいたします。

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    橋爪 泰夫 先生

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