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治療と仕事の両立支援とは?治療しながら働くためにできること

治療と仕事の両立支援とは?治療しながら働くためにできること
有賀 徹 先生

独立行政法人労働者健康安全機構 理事長 学校法人昭和大学 名誉教授

有賀 徹 先生

目次
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がんなどの病気と診断され、「治療をしながら仕事を続けると、職場に迷惑をかけてしまうかもしれない」と離職される方は少なくありません。こうした方々が離職をしなくても、治療と仕事の両立ができるように支えるための「両立支援」という取組をご存知でしょうか。

今回は、両立支援の取組を推し進めている労働者健康安全機構 理事長の有賀徹先生に、両立支援の具体的な取組やメリットなどをお伺いしました。

治療と仕事の両立を支援する、両立支援とは?

治療をしながら仕事をしている方を支えるための取組

両立支援とは、病気の治療をしながら仕事をしている方を支えるために、労働者健康安全機構が行っている取組です。

がんと診断されてから3か月経過するまでに、3割近くの方が離職されているというデータがあります。離職の理由は「仕事を続ける自信がなかった」「会社や同僚、仕事関係の人々に迷惑をかけると思った」という声が8割以上を占めており、やむをえず離職される方は少なくありません。

両立支援は、そうした理由で離職を考える方々が、治療を続けながら同じ職場でいきいきと働き続けることができるように支えることを目的としています。

両立支援制度を導入している企業もある

労働者健康安全機構では企業に両立支援制度の導入を推進するために、両立支援制度のメリットや導入方法をお伝えするセミナーを事業主に向けて開催しており、すでに両立支援制度を導入している企業もあります。事前に両立支援の基本方針や対応方法などのルールを作成しておき、全労働者に周知しておくことで、労働者が病気を患ってしまったときに上司に伝えやすい、ほかの労働者の理解と協力を得やすいといった環境づくりができます。

両立支援はどのような方が利用できる?

両立支援の対象となる方

現在、両立支援の対象となっている方は、がん、糖尿病、脳卒中、その他難病など、反復・継続して治療が必要となる疾患の患者さんです。また、メンタルヘルスが不調な方も対象となります。今後は、全疾患に対象を広げていく予定です。

両立支援を利用してほしい方

働く意欲はあるが、治療をしながら働くことに自信がない方

少子高齢化で働く世代が減少している日本では、働く意欲がある方は非常に貴重な人材です。

「仕事を続けたいが病気のことを会社にどう伝えればいいか分からない」、「治療に合わせた短時間勤務や休暇の取得が難しい」、「職場の理解や協力が得られない」というように、働く意欲はあるが治療をしながら働くことに自信がない方に、ぜひ利用していただきたいと思っています。

仕事を優先して、治療がおろそかになっている糖尿病の方

今後さらに両立支援を活用していただきたいのは、糖尿病患者さんです。糖尿病が進行すると、失明に至る糖尿病網膜症や、脳卒中や心臓病を引き起こす動脈硬化といったさまざまな合併症*を引き起こします。そして、それらの合併症は、時間をかけてゆっくりと進行していきます。

しかし糖尿病と診断されても、あまり自覚症状もなく、仕事が忙しくて病院に行く時間がないという理由で、治療がおろそかになったり、中断されたりしてしまう方がいらっしゃいます。糖尿病の患者数は急速に増加していることから、治療よりも仕事を優先してしまう糖尿病患者さんは、今後も増加すると考えています。このような方を減らすためにも、両立支援をさらに広く知っていただき、多くの方に活用していただきたいと考えています。

*合併症…ある病気や治療によって引き起こされる別の症状

両立支援を利用するには?どんな支援が受けられる?

まずはお近くの産業保健総合支援センター、または労災病院へ

両立支援の利用を検討している患者さんや、企業に両立支援制度の導入を検討している事業主や担当者の方は、以下どちらかの窓口にお越しください。相談料や利用料は無料です。

  • 47都道府県にある「産業保健総合支援センター」
  • 労災病院に併設する「治療就労両立支援センター」または「治療就労両立支援部」
両立支援コーディネーターの役割
両立支援コーディネーターの役割

これらの窓口には、両立支援を利用される患者さんと、医療機関、企業の三者間の情報共有を行い、患者さんの業務の調整などを行う「両立支援コーディネーター」が配属されています。

たとえば、週2日、通院による抗がん剤治療が必要な場合、医療機関からの病態の情報や、患者さんの要望などを両立支援コーディネーターが企業側に伝えます。その情報をもとに、患者さんが週2日、仕事を休んでも支障が出ないよう、企業側が業務調整を行います。

企業が実際に導入した制度の例をあげると、時間単位の年次有給休暇、傷病休暇・病気休暇、フレックスタイム制度、在宅勤務、療養後のお試し出勤制度などがあります。

両立支援を利用するメリット

患者さん側のメリット

両立支援を受けることで、「治療のために休みが必要である」「患者さんにはこういった症状が出る」といった医療機関側からの情報を企業側にお伝えすることができます。そのため、職場の方々から病気に対する理解と協力が得られ、仕事と治療の両立がしやすくなります。また、仕事を継続することで安定的な収入を得ることができます。ほかにも、働くことでやりがいを感じ、人とのつながりも感じることができるといったメリットがあります。

企業側のメリット

人手不足に悩む企業が多い昨今、企業としては労働者に離職されてしまうと大きな痛手です。しかし両立支援制度を導入し、労働者が治療を続けやすい環境になることで離職率が減少し、継続的な人材確保が可能になります。

また企業が多様な働き方を受け入れることで、社会の変化に柔軟に対応している企業であることを労働者に示すことができます。これによって、労働者のモチベーションが向上し、人材の定着や生産性の向上につながります。

さらには、経済産業省が推し進めている、「健康経営*」の実現にもなります。

*健康経営…企業側が労働者の健康管理について戦略的に実践すること