院長インタビュー

障害を抱える方の機能回復と社会復帰を目指す富山県リハビリテーション病院・こども支援センター

障害を抱える方の機能回復と社会復帰を目指す富山県リハビリテーション病院・こども支援センター
影近 謙治 先生

富山県リハビリテーション病院・こども支援センター 前院長

影近 謙治 先生

目次
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富山県リハビリテーション病院・こども支援センターは、富山県を中心に障がい者や高齢者の機能回復と社会復帰を目指す医療機関として活躍しています。

同院のリハビリテーションにおける考え方や、子ども、大人、障がい者などを分け隔てなく、シームレスに医療を提供する取り組みについて、病院長の影近(かげちか) 謙治( けんじ)先生にお話を伺いました。

富山県リハビリテーション病院・こども支援センターの診療体制

当院では、子どもから大人までご利用いただけるシームレスな医療を提供しています。体だけでなく心に障害をお持ちの方もご利用いただけます。ご家族だけで介護をするのが難しい方は、通所リハビリテーションや短期入所、デイサービスなども利用可能です。

当院が掲げるシームレスな医療とは、子どもや大人というように年齢で分けることなく、将来的に就労の可能性のある方から介護を必要とする方までをサポートする医療です。

また、体や心に障害を持った方が、できるだけ自宅で生活できるように、介護する方の負担を軽減するために短期入所を実施しています。患者さんの在宅復帰をサポートすることにとどまらず、症状が悪化したときにも支援できるような体制整備に努めています。

当院は、リハビリテーションと医師の治療が同時に受けられる病院です。リハビリテーションは、身体障がい者だけでなく心身障がい者のサポートも行っています。一人ひとりの障害の程度に合わせた治療を実施しています。日本リハビリテーション医学会認定のリハビリテーション専門医やリハビリテーションの専門知識を有する職員が、患者さんの状態に合わせたリハビリテーションをすすめることができます。

理学療法科では、脳卒中脊髄損傷など体の機能が低下した患者さんの状態に合わせて、社会復帰できるまでサポートしていきます。一般的な歩行や日常的な動作など不自由のない生活を送れるようにリハビリテーションを行います。リハビリテーションの一環として、“ロボットスーツHAL”や“歩行練習アシストロボット(トヨタウェルウォーク)”などを使った治療を取り入れることも可能です。

作業療法科では、食事や着替え、トイレなど日常生活を送るために必要な動作ができるようにサポートします。細かな針仕事や、絵の具を使って絵を描くなど、自分が興味を持っている趣味から始めることで、やりがいを感じると同時に生きがいを見出すこともできます。

脳卒中などの病気で、話すことや読むことが難しくなった失語症の方に、ご家族やご友人と交流ができるように訓練を行います。また、食べ物がうまく飲み込めない嚥下障害の方は、どんな食べ物や食べ方がその方に合っているかなどを食事の様子から確認します。さらに、失語症や構音障害の方には、適切で円滑なコミュニケーションのとり方を提案するなど、一人ひとりの症状に合わせて機能回復を目指した計画を立てています。

発達障害てんかん、自閉症などの病気を抱えるお子さんに対する治療や各種支援に取り組んでいます。幼い頃から治療を始めることに力を入れ、できるだけ入所だけではなく通所で治療を続けることを目指しています。また、在宅で治療や支援が必要な方は、ご家族の事情に合わせて短期で入所することも可能です。

近年、老老介護といった介護を受ける方だけでなく、介護をする方の高年齢化が問題となっています。障害を持った方が自宅に帰った後も、ご家族の状況に合わせて短期入所を利用することも可能です。

医師や看護師、リハビリテーションスタッフなど、それぞれの専門知識を持った職員が治療や看護を提供しています。それぞれの診療科の専門家をそろえ、速やかに診察を受けられるよう尽力しています。

リハビリテーションが必要な患者さんは、悪くなってしまった機能を回復するだけが目標ではありません。患者さんの立場に立って、これからどうしたいかを患者さんと一緒に考えていきます。一人ひとりの心や体の状態に合わせて、少しでも回復していけるような治療を心がけています。

富山県リハビリテーション病院・こども支援センターのスタッフたち
富山県リハビリテーション病院・こども支援センターのスタッフたち

2019年11月現在、当院は内科をはじめ15の診療科があり、それぞれの診療科にある垣根を取り除き、ひとつのグループとして活動しています。また、子ども、大人などを分けることなく、平等にリハビリテーションや治療を受けていただける施設です。職員は、さまざまな病気を抱える患者さんと接することで得た経験を自分の糧にすることができます。

子育てをしながら働きたい職員のために、院内保育所“ことり保育園”を開設しています。昼間(月曜日~土曜日)だけでなく夜間(週1回予定)のお預かりもしています。対象は0歳6か月~小学校就学前までの子どもです。

影近謙治先生からのメッセージ

まずは、興味のあることを見つけてください。従来の既成概念にとらわれず、自分なりの新しいアプローチなどで何かひとつ目標が見つかれば、将来どんどん道が開けていくと思います。私はリハビリテーション科の医師という仕事を選びました。それは「患者さんの役に立つんだ」という信念を持っているからです。特にリハビリテーションは、人の人生に関わっていく仕事です。自分が担当した患者さんが、リハビリテーションを経て、学校や仕事に復帰していく様子を見ることができる、とてもやりがいのある仕事です。

これからは、医師だけでなくコメディカルも専門的な知識を求められる時代です。当院は、リハビリテーション専門病院なので、けがや病気をはじめ、障害を抱える幅広い年齢の患者さんに出会います。専門知識を持った職員は、今後さらに必要とされる時代になっていきます。職員の皆さんには、患者さんの心にも寄り添うことができるリハビリテーションを提供するために、自己研鑽に努めていただきたいです。

リハビリテーションが必要な患者さんは、大変なこともあるかと思いますが、一緒に頑張っていきましょう。私たちは、開院以来、心や体に障害を持った方と一緒に歩んでいます。機能回復だけでなく、その先の人生に希望を持って生活を送れるようにサポートしていきます。

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  • 富山県リハビリテーション病院・こども支援センター 前院長

    影近 謙治 先生

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