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心臓病と闘う会「心臓リハビリテーションハイキング」2019年秋

心臓病と闘う会「心臓リハビリテーションハイキング」2019年秋
沼田 裕一 先生

横須賀市立うわまち病院 病院管理者、公益社団法人 地域医療振興協会 副理事長

沼田 裕一 先生

目次
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 横須賀市立うわまち病院 心臓病と闘う会では、心臓病の患者さんが病気を克服し、より気軽に楽しく健康が維持できるように、ハイキングやゴルフなど、さまざまなイベントを行っています。

 本記事では、2019年10月26日(土)に開催された“心臓リハビリテーションハイキング”の当日の様子をレポートします。

 横須賀市立うわまち病院 心臓病と闘う会では、2019年10月26日(土)に“心臓リハビリテーションハイキング”を開催しました。神奈川県横須賀市に位置する神明公園から、浦賀港の西にある燈明堂まで約3.6kmの距離を参加者全員で歩きました。

 開会式では、横須賀市立うわまち病院 循環器内科 部長の岩澤孝昌先生より開式の挨拶が行われました。

 

岩澤先生からのご挨拶

 「皆さま、おはようございます。うわまち病院は、2025年夏に本日のハイキングのスタート地点である久里浜へ移転します。スタッフから導入する医療機器に至るまで、さまざまな角度から、よい病院ができるよう計画しています。

 人生には『上り坂、下り坂、まさか』と3つの坂があると言われますが、今回は、平坂をコースに含めて歩きます。体力がある元気な方であれば平坂を難なく登れますが、心臓に問題があると少し困難に感じるかもしれません。そのため、この平坂を健康のバロメーターとして歩いてもらえればとよいと考えています。今日は、スタッフ一同安全に行えるようサポートします。けがなく楽しく、無事に終えられたらと思います。それでは、どうぞよろしくお願いします」

 岩澤先生のご挨拶の後、ハイキングに同行する医師や看護師、管理栄養士、リハビリテーション科の職員など、総勢9名のスタッフ紹介が行われました。このように、さまざまな領域のスタッフが同行するため、普段は聞けなかったことなども気軽に聞くことができます。

 ハイキングの前には、準備体操を行います。太ももの裏側やアキレス腱など、体をしっかり伸ばし、最後に深呼吸をしたら出発です。

ハイキング前には入念にウォーミングアップを

 ゴールの燈明堂を目指して出発です。台風が心配されましたが、当日は暖かく、天候にも恵まれました。

神明公園から出発

 ご夫婦そろって参加されている方もいらっしゃいました。

 「『ハイキングがあるからどう?』と知人に誘われてから、もう5回ほど来ています。このような機会がないと歩かないですからね。前回初めて夫婦で参加して、今日は2回目です。天気が少し心配でしたが、まさかこんなに晴れるとは思っていなかったです」

 咳の症状でうわまち病院を受診したことがきっかけで、ハイキングが開催されていることを知って参加した女性はいきいきとお話してくださいました。

 「このハイキングのよいところは、知らない人と話ができること。いろいろな情報を共有できて楽しいです。人と話すと、『へー! そうなんだ』と新しいことを知ることができます。それに、行ったことのない場所にも行けて、よい刺激になっています」
 

「人と話せて、いろんな情報を共有できる」参加者の声(2)

 同行している1年目の看護師さんにもお話を伺いました。

「ハイキングでは、参加者の歩くスピードが落ちていないか、ハーハーと息切れしていないか、汗のかき具合はどうかなど、気をつけて見ています。

 また、私はまだ1年目なので、分からないことも多いですが、患者さんの立場から看護師にしてほしいことや入院中に知りたかったこと、退院時の不安な気持ちなど、患者さんから普段は細かく聞けないことを聞いたり、気軽に話したりできてよいですね」

 ハイキングのルート選びから関わっている看護師さんにも、お話を伺いました。

「ハイキングのルート選びには、配慮しています。歩道があるか、歩いて安全かなど、スタッフが実際に歩いて下見をしています。患者さんから『このコースはいいね』、『ここの道は通ったことないな』と言われることが楽しみです。

 また、患者さんが退院された後は関わる機会が減ってしまうので、このようなイベントで元気になった患者さんに久しぶりに会って話せるのはとても嬉しいです」

 燈明堂に到着しました。着いた方から、メディカルチェックが行われました。問診や血圧測定などで、参加者の体調を確認します。

ゴールの燈明堂に到着

ゴールの燈明堂に到着

ゴールの燈明堂に到着

 ハイキング終了後に、岩澤先生より閉会の挨拶がありました。

「本日のハイキングでは、皆さん全員そろって無事ゴールすることができて嬉しく思います。残念ながら、燈明堂は強風で最頂部が壊れており、半径3mほどは近づけない状態でした。歴史では、風で燈明堂が壊れるたびに近辺の方々が修繕しながら守ってきたそうです。

 我々も、これからできる新しい病院を、皆さんと一緒にスクラムを組みながら作っていきたいと思っています。次回の心臓リハビリテーションハイキングも、ぜひ参加してください。今日はお疲れさまでした」

 閉会式の後、管理栄養士の劉大漫さんから、普段の食事のポイントについておさらいする時間が設けられました。

管理栄養士さんから食事のポイントについておさらい

「皆さんは普段から食生活に気をつけていると思います。今日は、どのような食事をとったらよいのか、3点に絞っておさらいしていきましょう。

 1点目は、“主食、主菜、副菜”をそろえて食べることです。米、パン、麺類などの主食は炭水化物で、体を動かすエネルギーになります。肉、魚、卵、大豆製品などの主菜はたんぱく質で、肉や血液の原料になります。野菜やきのこ、海藻類は、ミネラルやビタミン、食物繊維やカルシウムなどを含み、体の調子を整えてくれます。

 バランスが整った食事は健康の土台となるため、これからも意識して毎食“主食、主菜、副菜”をそろえましょう。

 2点目は、血圧が高くなることを予防するため食塩のとりすぎに注意することです。

 食塩をとると、食塩を体に馴染ませるために水がため込まれ、ため込まれた水が血液となり、結果として血液の量が増えます。しかし、血液を流す血管の膨らみには限界があり、血液の量が増えた分、血管へダメージを与えてしまいます。心臓は血液を送るポンプの働きをしているため、食塩のとりすぎは血管の負担、血管の負担はそのまま心臓の負担となります。

 できるだけ心臓に負担をかけないためにも、汁物は1日1杯にして、麺類のつゆは残すようにしましょう。酸味や旬の食材、香辛料を利用すると、ストレスなく減塩できます。

 3点目は、食欲がないときのエネルギー摂取方法の工夫についてです。

 減塩を優先してしまうと、食欲がさらに減退し食事量が減ってしまう可能性が高くなりま す。食事量が減ることで体力が低下し、活動量も一緒に低下します。活動量が低下した分、さらに食欲も湧きにくくなる……というように、低栄養状態の悪循環に陥りやすくなります。

管理栄養士さんから食事のポイントについておさらい

 食欲が落ちたときは、減塩から一度離れましょう。そして、“食べやすいもの、食べたいもの、食べられそうなもの”からエネルギーを確保してみましょう。ジュースやアイス、ゼリーなどでも構いません。

 また、毎日体重を測って、なるべく体重を落とさないようにしていただきたいです。著しい体重減少や、普段通りの動きでも疲れやすくなったりしたときは、体調が悪いというサインです。念のため主治医や看護師に相談してみてください」

 最後に、燈明堂にて参加者とスタッフ全員で集合写真を撮影しました。

集合写真の撮影

 多くの方が参加された“心臓リハビリテーションハイキング2019年秋”は、無事に終了しました。“横須賀市立うわまち病院 心臓病と闘う会”では、心臓病を抱える方をサポートするために、このようなハイキングやゴルフなどのイベントを開催しています。

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  • 横須賀市立うわまち病院 病院管理者、公益社団法人 地域医療振興協会 副理事長

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