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編集部記事

アレルギー性鼻炎に対する手術の効果と費用

アレルギー性鼻炎に対する手術の効果と費用
岡野 光博 先生

国際医療福祉大学成田病院 耳鼻咽喉科 教授

岡野 光博 先生

目次
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アレルギー性鼻炎とは、アレルギーの原因となる物質が鼻の粘膜から体に入ることで過剰な免疫反応が起こり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が現れる病気です。アレルギー性鼻炎の治療方法としては薬物療法やアレルゲン免疫療法などが知られていますが、症状によっては手術療法が検討されることもあります。このページでは、アレルギー性鼻炎に対する手術療法の種類や特徴についてお伝えします。

アレルギー性鼻炎の手術療法には、以下のような種類があります。

  • アルゴンプラズマ凝固装置やレーザーなどによる粘膜変性手術
  • 下鼻甲介粘膜切除術などの鼻腔形態改善手術
  • 後鼻神経切断術などの鼻漏(びろう)改善手術 など

これらの手術療法は、主にアレルギー性鼻炎の病型(症状のタイプ)や重さによって何を選択するか検討されます。比較的症状が軽い場合は粘膜変性手術を行い、薬物療法では効果が出ない場合や変性手術をしても改善しない場合は、鼻腔形態改善手術や鼻漏改善手術を行います。以下では、それぞれの手術療法についてお伝えします。

粘膜変性手術は、軽度~中等度のアレルギー性鼻炎の人に行う手術治療です。アレルギー反応の場である下鼻甲介(かびこうかい)の粘膜をアルゴンプラズマ凝固装置やレーザーなどによって焼き、表面の神経や分泌腺を凝固変性させることによって、アレルギー反応が起こりにくくします。アルゴンプラズマ凝固装置とはアルゴンガスと高周波電流を流すことにより、粘膜などの組織を凝固変性する装置のことです。

粘膜変性手術は局所麻酔を用いて行うため、痛みはほとんど感じません。また、実際の手術にかかる時間は片側10分程度で出血もほとんどなく、麻酔の時間(約30分)を含めても1時間弱で治療が完了するため入院は不要で日帰りで治療を受けることができます。費用は症状の状況にもよりますが健康保険が適用され、3割負担の方であれば1万円前後です。

術後は1か月程度下鼻甲介の粘膜がかさぶたのような状態になるため、一時的にかえって鼻づまりがひどくなるような印象を受けます。しかし、かさぶたが取れれば鼻の通りがよくなり症状が改善します。鼻づまりは約90%、鼻水は約80%、くしゃみは約70%の人がこの治療をしたことで改善されるといわれています。また、1回の治療で1~2年程度症状が和らぎますが、その後再び症状が悪化してきた場合は繰り返して治療を受けることができます。

鼻腔形態改善手術は重症で鼻閉型のアレルギー性鼻炎の方に行う手術治療です。アレルギー性鼻炎によって下鼻甲介が分厚くなり鼻づまりがひどくなっている人に対し、粘膜や骨の切除などを行い鼻の通りをよくします。鼻中隔(びちゅうかく)弯曲(わんきょく)(曲がり)を伴っている人には鼻中隔を矯正する手術を行います。

鼻腔形態改善手術は鼻の中に内視鏡と呼ばれる小さな医療器具を入れて行います。細かい手術になるので、全身麻酔で行われることが一般的です。手術時間は状況に左右されますがおよそ1時間です。また、術後出血のリスクなどもあり、数日程度の入院が望ましいでしょう。費用は症状や治療の状況によっても異なりますが健康保険が適用され、入院費を含め25~30万円程度です。

鼻漏改善手術は、重症で鼻漏型のアレルギー性鼻炎の方に行う手術治療です。鼻粘膜に分布する副交感神経を切断することによって、アレルギー反応に伴う鼻水を抑えることができます。この手術では知覚神経も切断されることから、くしゃみにも効果があります。

後鼻神経切断術は鼻漏改善手術の代表で、全身麻酔で鼻の中に内視鏡と呼ばれる小さな医療器具を入れて行います。内視鏡下で粘膜の剥離(はくり)を進め、アレルギー反応の原因となる後鼻神経を確認して切断します。なお、切断された神経は放置していると新たに伸びてしまい再びアレルギー性鼻炎の原因となるため、再び神経が伸びることのないよう処置を行うことで再発のリスクを防ぎます。治療時間は両方の鼻を手術した場合で30~40分程度ですが、術後に出血するリスクがあり通常は数日程度の入院が望ましいでしょう。術式によっては退院後に大量の鼻出血をきたすこともあるので注意が必要です。費用は症状の状況にもよりますが健康保険が適用され、入院費を含めて25~30万円程度です。術後は、くしゃみ、鼻水共に80~90%程度の改善が期待されます。また鼻腔形態改善術と一緒に行うこともでき、その場合は鼻づまりの改善も見込まれます。

薬物療法を行っても症状が改善されない人や、鼻の中の粘膜が分厚くなってしまっているなど、鼻の中の形状によってアレルギー性鼻炎の症状が悪化しやすい人などは病院を受診し、医師の指示に応じて手術治療を検討するとよいでしょう。

また、アレルギー性鼻炎は発症の低年齢化が問題となっています。子どもがアレルギー性鼻炎にかかった場合、基本的な治療方針は大人と同様です。ただし子どもには処方できない治療薬があるほか、手術治療においても子どもは顔や鼻が発達段階にあるため、その後の発育に悪影響がないよう、慎重に治療方針を検討する必要があります。子どものアレルギー性鼻炎の症状がひどく、勉強や運動などの日常生活にも支障が生じている場合は病院を受診し、今後の治療方針について医師に相談しましょう。

アレルギー性鼻炎によるくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状は、活動性の低下や睡眠の質の低下など日常生活に支障をきたします。また鼻づまりの原因として、腫瘍など経過によっては命に関わる病気が隠れていることもあります。アレルギー性鼻炎が疑われる症状がある場合、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。耳鼻咽喉科では、鼻の中の状態を診察したうえで必要に応じてアレルギーの原因となる物質を調べ、症状や原因を踏まえて治療方針を決定します。症状が重く、治療薬が効かないと感じる場合や日常生活に支障が出ている場合などは、受診の際に相談するとよいでしょう。

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