花粉症のレーザー治療による効果や継続期間、治療にかかる費用とは

花粉症とは、花粉によって生じるアレルギーのことをいいます。くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど鼻の症状と、目のかゆみ・充血など目の症状が一般的ですが、症状が悪化するとだるさや眠気などの随伴症状が生じる可能性もあり、日常生活に支障をきたすこともあります。花粉症の治療方法としては薬物療法がよく知られていますが、症状が重い場合にはレーザー治療など手術が検討されることもあります。本記事では、花粉症の手術の種類や日帰り治療が可能なレーザー治療の効果・注意点などについてお伝えします。

花粉症治療における手術の種類

花粉症の手術には、大きく分けると3種類あります。

粘膜変性手術

軽症～中等症の方向けの治療方法です。鼻の粘膜をレーザーなどで焼き、粘膜を変性させることで鼻の中でアレルギー反応が起きることを防ぎます。

鼻腔形態改善手術

重症の方向けの治療方法で、薬物療法やレーザー治療で効果が得られなかった場合に検討されます。アレルギーによって分厚くなってしまった鼻の粘膜や骨を切除し、鼻の通りをよくします。鼻中隔の弯曲が強い方には鼻中隔を矯正し、鼻の通りをよくします。

鼻漏改善手術

下鼻甲介形成術同様、重症の方向けの治療方法です。アレルギー反応を起こす原因となる神経（後鼻神経）を切断することでくしゃみ・鼻水などの鼻の症状を抑えます。

花粉症のレーザー治療とは

花粉症のレーザー治療（下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術）とは、鼻の粘膜をレーザーなどの熱によって焼いて変性させることで、粘膜でアレルギー反応を起こさなくする治療です。花粉症の症状が薬物療法で改善されない場合に、検討される治療方法です。この治療では、CO₂レーザーなどのレーザーのほか、アルゴンプラズマ凝固装置などが使用されることもあります。

また、花粉症のレーザー治療は局所麻酔をした状態で行うため、治療自体に痛みはほとんどありません。

治療にかかる費用

麻酔の時間を含めても治療時間は1時間程度で、日帰りで治療を受けることができます。健康保険の適用も可能で、3割負担の方の場合およそ1万円程度で治療を受けることができます。

効果と継続期間

レーザー治療を行った場合、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなど鼻の症状がおよそ80％の確率で改善するとされています。ただし、目のかゆみ・充血など目の症状には、効果は現れません。

また、治療の効果継続期間には個人差があり、一般的には1～2年程度で効果がなくなるとされています。ただし、何回でも受けることができる治療であるため、繰り返し治療を受けることで効果を継続させることができます。

花粉症のレーザー治療における注意点

以上のように、花粉症のレーザー治療は鼻の症状への効果が80％程度と高く、日帰りで治療を受けられるなどのメリットがあります。一方、花粉症のレーザー治療を行う際の注意点は以下のとおりです。

花粉が本格的に飛散する前に治療する

レーザー治療では鼻の粘膜を焼くため鼻の中が傷つき、術後数日間はくしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が悪化したように感じます。また、その後は傷が回復していくと同時に、鼻の粘膜にかさぶたが生じ、治療後2週間～1か月程度は治療前よりも鼻づまりがひどくなったように感じます。治療直後のこの時期に本格的な花粉の飛散が始まると、炎症や症状が悪化します。したがって、花粉が本格的に飛散する2週間くらい前までに治療を行うことが望ましいです。

また、治療後は鼻の中の状態が落ち着くまで複数回通院をすることになるため、気になる症状や不安な点があれば受診の際に医師に相談しましょう。

1～2年で再発する可能性がある

花粉症のレーザー治療は症状を抑えるための治療（対症療法）であり、アレルギー反応を根本的に改善する治療ではないため、治療から1～2年経過すると症状が再発する可能性が高いとされています。そのため、治療から数年後に再びくしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が現れたときは、再度治療を受けることを検討する必要があります。また、レーザー治療を行っても思うように効果が現れない場合、他の治療方法を検討したりする必要が生じる場合もあります。

花粉症の症状がある場合は病院を受診

花粉症はアレルギーの原因となる花粉の種類はもちろん、症状の種類や重症度などが人によって異なります。そのため、治療方針もその人の状況に応じて検討される必要があります。現在、花粉症の症状に悩んでいる方は病院を受診し、医師と相談しながら自分の症状に合った治療方法を検討するようにしましょう。