花粉症とは、花粉を原因として起こるアレルギー疾患です。特定の花粉によってアレルギー反応が起こると主にくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻の症状、目のかゆみや充血などの目の症状が出現します。
花粉症が自然に治ることはほとんどなく、症状を抑えるためには何らかの治療が必要となります。また、予防対策を行うことである程度は症状を抑えたり発症を防いだりすることができます。
花粉症を引き起こす植物はさまざまで、原因の約70%がスギだとされています。そのほか原因となる植物として、ヒノキ、カモガヤ、カナムグラ、ブタクサ、ヨモギ、ハンノキ、シラカンバなどがあります。
花粉が飛び散る時期は植物の種類や地域によって変わってきますが、花粉症の原因の大部分を占めるスギは2~4月頃、スギの次に多いヒノキが3~5月頃に飛散します。そのため、例年春先にかけて花粉症になる人が増えるのです。
日本において花粉症を有する人の数は正確に分かっていませんが、これまでにいくつか調査が行われました。一例として、2008年の全国疫学調査では花粉症を有する人の割合が29.6%、スギ花粉症においては26.5%と報告しています。また、2016年に東京都が行った調査では都内のスギ花粉症の推定有病率が48.8%となっています。
花粉症は、特定の花粉が原因となって起こるアレルギー反応です。通常ヒトには、細菌やウイルスなどの外敵が入ってきたときに排除しようとはたらく免疫機能が備わっています。しかし、ときに体にとって無害なものまで外敵とみなして免疫機能が過剰にはたらき、体に対して都合の悪い結果をまねくことがあり、これをアレルギー反応と呼びます。花粉症は本来、無害であるはずの花粉によってアレルギー反応を起こし、花粉が侵入した部位(鼻や目など)に炎症が起こっている状態です。
なお、花粉症以外のアレルギー疾患を持っている方、家族が何らかのアレルギー疾患を持っている方は、花粉症にかかりやすいといわれています。
花粉症の典型的な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、目の充血です。人によって症状の程度はさまざまで、症状が軽い人もいれば重い人もいます。また、鼻の症状においてくしゃみと鼻水型、鼻づまり型、その両方の充全型というように症状のタイプが異なることもあります。
上で挙げた症状のほか、花粉によって皮膚が荒れたり、喉のかゆみや痛み、咳などの症状がみられたりする場合もあります。
花粉症の主な治療法として、薬を用いた“薬物療法”、外科的に行う“手術”、少しずつアレルゲンに慣らしていく“アレルゲン免疫療法”があります。
薬物療法では抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ステロイド薬などを使用し、薬の作用によって症状の緩和を図ります。手術では主にレーザー治療を行い、レーザーで鼻の粘膜を焼いてアレルギー反応が起こる場所を減らします。ただし、いずれも一時的に症状を抑えるにとどまり、花粉症を根治できるわけではありません。
花粉症の治療で唯一根治が期待できるのがアレルゲン免疫療法です。この治療ではアレルゲン(花粉症の原因となる花粉)を舌下投与または皮下注射し、徐々に投与量を増やして体をアレルゲンに慣らしていきます。治療期間が長く根気が必要となりますが、花粉症が治る可能性があります。
花粉症の症状がある時に受診に適した診療科は、鼻の症状が強い場合は耳鼻咽喉科、眼の症状が強い場合は眼科がよいでしょう。内科でも診てもらえるため、近くに耳鼻咽喉科や眼科などがない場合には内科を受診するのもよいでしょう。
花粉症の予防に効果がある対策としては以下のようなものが挙げられます。
花粉症を予防するには第一に花粉を避けることが重要となります。外出の際はマスクと眼鏡の着用が効果的で、使用していないときと比べ、鼻や目に入る花粉を1/2~1/3程度まで減らすことができるといわれています。飛散状況についてはテレビなどで確認し、特に飛散の多いときはできるだけ外出を控え、仮に外出する際は花粉を避けるためにマスクや眼鏡を着用しましょう。
また、喫煙は鼻の粘膜を傷つけ、鼻の症状を悪化させます。免疫力の低下によっても症状が悪化します。タバコを控えるとともに、規則正しい生活やバランスの摂れた食事を心がけるようにしましょう。
花粉症のなかでスギ花粉が原因であるスギ花粉症がもっとも多く、花粉が飛散する春先にかけてくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を引き起こします。人によっては症状が強く現れ、生活に大きな支障をきたすことがあります。症状が現れる前から予防対策や治療を始めることによって、シーズン中の症状をより和らげることができるので早めの対応が大切です。
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 講師
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 講師
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門研修指導医・耳鼻咽喉科専門医・補聴器相談医
九州大学病院にて耳鼻咽喉科、頭頸部外科分野の主に鼻科学を担当し、幅広い臨床を行う傍ら、免疫反応やアレルギーについての研究を行う。なかでも花粉症のアレルゲン免疫療法の研究に力を注いでおり、経口免疫療法の確立に向けて活動を進めている。手術においては内視鏡下鼻副鼻腔手術を専門としている。また2018年より脳神経外科と合同で頭蓋底外科チームを結成し、耳鼻咽喉科部門のチーフとして経鼻内視鏡的にアプローチする下垂体や傍鞍部腫瘍の手術を中心に頭蓋底疾患の治療にも携わっている。
村上 大輔 先生の所属医療機関
関連の医療相談が23件あります
花粉症で絶歌免疫療法の治療中ですが、改善が見られない
2.5年前に耳鼻科でポスターを見て、鼻炎の舌下免疫療法を始めました。毎月錠剤を処方され毎日服用していますが、改善された自覚症状はありません。効果が分かりにくいケースもあるかと思いまが、季節要因もありますが鼻炎の症状は悪くなっている感覚があり、症状を抑える飲み薬の量も増えています。 舌下免疫療法で投薬しているスギの成分が鼻炎を起こす方に働いているのではないかと感じます。 3年を目途と言われていますのであと半年くらい残っているのですが、もうそろそろ止めた方がいいのではないかと思います。 耳鼻科の先生は、判断は私自身に委ねる感じで 事務的な口内の観察と私の希望によって処方されている感じです。 続けるか、やめるか何をよりどころに考えたらいいのでしょうか? また、1年ほど前から体のあちこちに湿疹が増えてきました。もともと湿疹はしばしばあったのですが舌下免疫療法で通院している耳鼻科や、かかりつけの皮膚科に何度か相談しましたが皮膚科ではステロイド系の塗り薬を処方され、塗っていれば湿疹は大体治まります。 この湿疹も気になるので、舌下免疫療法の効果が2.5年かけても感じられないならやめた方がいいかもと迷っています。 判断の参考になるアドバイスをいただきたいです。
3、4日前から咳が出始めています。
3、4日前から咳が出ています。 耳鼻咽喉科に受診しました。 花粉症がひどく、その咳からくるものと 診断されました。 咳止めをもらったのですが、効き目が ありません。 別の病気でしょうか、何科に受診すれば良いですか?
夜中の吐き気
こんにちは。 16歳女です。 先月から夕方にだるさ、微熱、吐き気が続き、口内炎が6個出来ていたので先月の中頃病院へ行ってきました。結果は花粉症でした。鼻水が喉の方に流れてしまってると言われました。 1週間分薬を貰いましたが、薬が切れた後も夕方のだるさ、微熱が続いています。 診断を受けてから数日後に急に吐き気に襲われて、微熱もあったので病院で再度見てもらったところ吐き気止めの薬をもらいました。 それから1週間後、今日から2週間前くらいから1度寝ると吐き気で起きてしまう状況が続いています。これも花粉症の症状ですか??
声が出にくい
花粉症で声が出にくくなったり枯れたりすることはありますか?
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「花粉症」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。