花粉症は花粉との接触が原因でくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどを起こすアレルギー疾患です。日本では3000万人以上が花粉症に悩まされているともいわれています。
一般的に、一度花粉症を発症すると、自然に治ることは少ないとされています。そのため、花粉症シーズンには花粉症対策を行い、できるだけ花粉症の症状が出ないようにする必要があります。それでは、自分でできる花粉症対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
花粉症の対策は、原因である花粉との接触をできるだけ避けることです。そのうえで、薬物治療を中心とした対症療法を行います。
花粉症は一度症状が強くなってしまうと、これらの対策を行っても十分に症状を抑えることが難しくなるので、花粉が飛び始めてすぐか、飛び始める少し前の時期から対策を始める必要があります。花粉についての情報が流れ始めたらすぐに対策をとれるよう、自分の症状の原因となる花粉の種類を病院で調べておくことも大切です。
花粉症は、花粉が鼻や目の粘膜などに付着し、アレルギー反応を起こすことで症状を引き起こします。広く知られている対策方法としてマスクや眼鏡の着用があり、正しく使用することで花粉への防御効果が期待できます。
マスクや眼鏡の装着は、花粉症の症状が起きやすい鼻や目を花粉から守るために効果的です。花粉が入り込む隙間が少ないほど、花粉をブロックする効果が高いため、ドラッグストアなどに売っている花粉症用マスクや花粉症用眼鏡は特に有効といえるでしょう。
一方で、これらのグッズが必ずしも手元にあるとは限らないほか、呼吸がしづらい、見た目が気になるなどの理由で使用をためらう人もいるかもしれません。その場合は、普通のマスクや眼鏡でもある程度効果は期待できます。
普段からコンタクトレンズを使用している人は、花粉症の時期は使用を避けるようにしましょう。目の症状がひどくなると結膜が炎症を起こし、レンズと結膜や角膜がこすれてダメージを受けることがあります。目に花粉が入るのを減らすためにも、なるべく眼鏡を装着するようにしましょう。
花粉症治療薬には内服薬、点鼻薬、点眼薬などさまざまな種類があり、症状に合わせて選ぶことができます。病院で医師の診察を受けて処方してもらうことがもっともよいですが、病院に行く時間がない場合などは、薬局やドラッグストアでも買うことができます。薬によって効果や副作用の出やすさが異なりますので、購入する際は薬剤師に相談するようにしましょう。
花粉症対策の効果を高めるために、日常生活で注意することがあります。
花粉症治療薬は、医師の指示や使用説明にしたがい、正しく使用するようにしましょう。いったん症状が治まっても、使用を中止することで症状が再び現れることもありますので、花粉飛散情報を参考にし、シーズンを通して使用を続けるようにしましょう。
花粉の飛散状況を日々チェックし、多く飛ぶ日はできるだけ外出を避けるようにしましょう。
花粉が多い日は窓を開けないようにして、家の中に花粉が入ってこないようにしましょう。洗濯物は外に干さず、室内干しにした方がよいでしょう。
また、外出から帰宅した際には髪や衣服に付着した花粉をできるだけはらい落してから部屋に入るようにしましょう。洋服ブラシを使うと、効果的に花粉を落とすことができます。
空気清浄機は、花粉にも効果があります。花粉は部屋の低いところに落ちやすく、溜まりやすいので、空気清浄機は床付近に置き、床上を吸引するような機種を選択するとよいでしょう。また、部屋の外から入ってくる花粉を減らすために、玄関や部屋の出入り口付近に置くとよいでしょう。
免疫力の低下を防ぎ、粘膜の状態を健やかに保つためバランスの良い食事を摂り、規則正しい生活、適度な運動をするなどストレスをためない生活を送ることが大切です。過労や睡眠不足が続く場合は生活を見直し、体調を整えるようにしましょう。
花粉症に対して対策を取りながらうまく付き合っていく必要があります。医師の診察とセルフケアの両方を活用しながら、自分に合った対策をとるようにしましょう。セルフケアを行っても症状が改善しない場合は、耳鼻咽喉科、眼科、アレルギー科などに相談するようにしましょう。
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 講師
九州大学病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 講師
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門研修指導医・耳鼻咽喉科専門医・補聴器相談医
九州大学病院にて耳鼻咽喉科、頭頸部外科分野の主に鼻科学を担当し、幅広い臨床を行う傍ら、免疫反応やアレルギーについての研究を行う。なかでも花粉症のアレルゲン免疫療法の研究に力を注いでおり、経口免疫療法の確立に向けて活動を進めている。手術においては内視鏡下鼻副鼻腔手術を専門としている。また2018年より脳神経外科と合同で頭蓋底外科チームを結成し、耳鼻咽喉科部門のチーフとして経鼻内視鏡的にアプローチする下垂体や傍鞍部腫瘍の手術を中心に頭蓋底疾患の治療にも携わっている。
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