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再生医療に用いられる間葉系幹細胞とは?

再生医療に用いられる間葉系幹細胞とは?
寺井 崇二 先生

新潟大学 大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授

寺井 崇二 先生

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再生医療“という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。再生医療が登場したことで、これまで治療の施しようがなかった病気を治すことができる可能性が出てきています。再生医療に用いられる細胞の1つに間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう)があります。この細胞にはどのような特徴があるのでしょうか。

今回は、間葉系幹細胞を用いた再生医療に携わっていらっしゃる新潟大学大学院医歯学総合研究科 消化器内科学分野 教授の寺井 崇二(てらい しゅうじ)先生にお話を伺いました。

再生医療とは、障害や機能不全に陥った臓器、皮膚や骨などの組織に対して、細胞などを用いて機能の再生を図る医療を指します。たとえば、細胞自体や細胞から作った新たな臓器によって、機能を失った臓器を補うようなイメージです。

近年、特にがんの分野では、分子標的治療薬が登場したことで治療の幅が広がったといえるでしょう。しかし、このような状況下でも治療できない病気がまだまだ存在しており、それが近年、再生医療に注目が集まっている1つの理由であると思います。また、医療技術が進歩し、再生医療で治療できるような体制が築かれつつあることも大きく影響していると考えています。

再生医療に用いられる細胞の1つに幹細胞があります。幹細胞とは、臓器を構築するさまざまな細胞を形成する元となるような細胞です。幹細胞から分化してさまざまな細胞が作られるところをイメージしていただくとよいかもしれません。

幹細胞には主に体性幹細胞、ES細胞、iPS細胞があり、それぞれの細胞には以下のような特徴があります。

  • 体性幹細胞……体の中に存在し、肝臓などさまざまな臓器や組織の元になるような細胞。分裂回数に限りがあり、限られた種類の細胞に分化することができる。
  • ES細胞……さまざまな種類の細胞に分化できる細胞であり、増殖を繰り返す特徴がある。受精卵をもとに作製する必要があるため、実用化のためには倫理的な問題をクリアする必要がある。
  • iPS細胞……2006年に誕生した新しい細胞。ES細胞と同様にさまざまな臓器や組織の細胞に分化する能力があり、ほぼ無限に増殖する能力を持つ。皮膚や血液など患者さん自身の組織から作成することが可能であるため、ES細胞と比較すると実用化しやすいといわれている。

幹細胞の種類

2012年に京都大学の山中 伸弥(やまなか しんや)教授がノーベル医学・生理学賞を受賞したことで、iPS細胞を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。ES細胞とiPS細胞は、体を構成するさまざまな臓器や組織の細胞になりえる万能な細胞です。一方、体性幹細胞は決まった臓器や組織を維持するために存在する点が特徴です。

体性幹細胞の1つに間葉系幹細胞があります。間葉系幹細胞は、骨髄や脂肪組織に存在しており、骨や歯、脂肪組織などの細胞に分化していく点が特徴です。

間葉系幹細胞とは?

このようにほかの細胞に分化するという特徴以外にも、間葉系幹細胞にはサイトカイン*やエクソソーム**を分泌することによって炎症を抑えたり、血管を作ったり、線維化を改善したりする能力があります。臓器の炎症を抑え、状態をメンテナンスする効果が期待できるのです。炎症を止めるような細胞を誘導して、よい結果に導くのが間葉系幹細胞です。

さらに、間葉系幹細胞には、炎症に加えて免疫をも抑える能力があります。この免疫抑制効果のために、ほかの方の組織由来の間葉系幹細胞であっても使用することができるのです。通常、他人の臓器や組織を体内に入れると、異物と判断した免疫が作用しその臓器や細胞を攻撃するようになります。攻撃を受け続けた臓器や組織は、最終的にその機能を失ってしまいます。たとえば、私たちの消化器の領域で行われる治療の1つである肝移植では、ほかの方の肝臓を移植すると免疫が反応して攻撃を行います。このため、肝移植を行った場合には、免疫が作用しないよう生涯にわたり免疫抑制剤を服用しなければなりません。

しかし、他人の組織由来の間葉系幹細胞を体内に入れたとしても、免疫に拒絶されることなく炎症の場所を制御するよう指示を出すことができるのです。非常に巧妙な細胞といえるでしょう。

*サイトカイン:免疫細胞が炎症を生じる際に分泌する液性の因子。

**エクソソーム:免疫細胞など、体内のさまざまな細胞から分泌されるたんぱく質などを内包した膜小胞顆粒。

間葉系幹細胞は、あくまで壊れた細胞を修復するよう指示を出す役割を果たします。たとえば、心臓や肝臓などどこかの臓器にそのまま置き換わることはありません。

間葉系幹細胞は、役割を終えると一定期間で体の中から消えるという特徴があります。これまでの動物実験の結果から、だいたい1週間程で体内から消えると考えられます。

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