院長インタビュー

透析治療と高度な一般診療で90年・地域に貢献する、西陣病院

透析治療と高度な一般診療で90年・地域に貢献する、西陣病院
葛西 恭一 先生

西陣病院 院長

葛西 恭一 先生

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京都市上京区にある西陣病院は、1934年に西陣の地で開設され、現在では22の診療科をもつ地域密着型の病院です。この地域の2次救急を担いつつニーズに合わせた医療を提供しており、特に透析治療では京都屈指の50年の歴史と実績を持っています。また同院は、同じ法人が運営する透析専門のクリニックや特別養護老人ホームと機能的に連携し、患者さんを途切れずに診る体制を整えています。そんな同院の役割や今後について、院長である葛西 恭一(かっさい きょういち)先生に伺いました。

当院は、京都市営地下鉄烏丸線今出川駅から直線で西に約2キロの距離にあります。診療科目22科に加え画像診断センター、透析センター、消化器内視鏡センターがあり、一般診療と透析医療を中心に質の高い医療を提供しているほか、京都府から2次救急医療施設の認定を受け入院や手術を要する重症の患者さんを24時間365日受け入れ、地域の中核的な医療機関として患者さんに信頼される医療を提供し続けています。

当院は今年(2024年)で90年の歴史を持っています。1972年には腎臓科を設置し、厚生省(当時)の指定医療機関として血液透析治療を、京都ではかなり早いタイミングで開始しました。現在は透析病床を京都でも屈指の133床持つ透析センターにて、血液透析や腹膜透析、シャント造設といった透析治療を行っています。

透析治療には専門性を発揮した“チーム医療”が有効とされています。当院では患者さんとご家族を中心に、医師、看護師、臨床工学技士、管理栄養士、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、臨床検査技師といった専門スタッフがチームとなり、より専門性を発揮できるチーム医療を提供しています。

また、当院は慢性腎臓病CKD)の治療にも力を入れています。CKDの治療は継続いただくことが重要になります。そこで当院では通常のCKD外来のほか、認定看護師による透析指導や生活習慣の改善指導等を行うCKD看護外来も設け、敷居が低く継続しやすいCKD治療を提供しています。

当院は同じ京都社会事業財団に属する“にしがも透析クリニック”との強い連携を行っています。

“にしがも透析クリニック”は自宅から通院されている患者さんへ透析治療を行っているほか、併設する特別養護老人ホーム“にしがも舟山庵”に入所中の維持透析治療が必要な方に安定した透析治療を行うという全国的にも珍しい取り組みを行っています。また“にしがも透析クリニック” “にしがも舟山庵”の透析患者さんで入院が必要になった場合は、当院は総合病院である強みを活かし、当院に入院して頂いて透析治療に合わせ他の病気の治療を行うことができます。

当院の消化器内視鏡センターは2016年に開設され、現在9名の内視鏡専門医(指導医5名)と9名の看護師(内視鏡技師5名)が内視鏡検査と治療にあたっています。2022年の検査の実績は上部消化管内視鏡検査胃カメラ)が年間2205件、下部消化管内視鏡検査大腸カメラ)は年間1880件でした。手術実績も豊富で、内視鏡的食道・胃粘膜下層剥離術35件、内視鏡的大腸ポリープ切除術891件、内視鏡的大腸粘膜下層剥離術40件、内視鏡的胆道ステント留置術121件を行っています

当院では低侵襲(体に負担が少ない)治療に力を入れています。そもそも当院は、患者さんの負担が大きい開腹・開胸手術に代わり、腹腔鏡下手術(体に小さな孔を開け、そこから患部を写すカメラと手術器具を入れて行う手術)を初期から行ってきており、とくに当院の医師が全国に先駆けて単孔式腹腔鏡下手術専用の器具を開発し、それが普及したことで、単孔式腹腔鏡下手術の分野では全国的に名を知られています。

現在当院では消化器癌を中心に肛門、ヘルニア、胆石など様々な臓器の手術を年間500例近く行っており、胆石の100%、大腸癌の80%、胃癌の50%、ヘルニアの50%程度を腹腔鏡手術で行っています。2022年度の主な手術実績は腹腔鏡下胆嚢摘出術98件、 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術70件、腹腔鏡下結腸直腸悪性腫瘍切除術63件となっています。

当院は透析や腎臓病治療、腹腔鏡下手術の他にも、糖尿病内科や循環器内科、呼吸器内科、整形外科など各科に強みがある病院です。当院ではそんな各科の医師全員が一つの部屋で机を持ち、各科の垣根が非常に低い環境のもと横の連携が取れた治療を展開しています。これは当院の大きな特長だと自負しています。

高齢化が進んだ現在、1人の患者さんが複数の病気を持っていることは珍しくありません。当院のように各科のコミュニケーションが取れていれば、そのような患者さんに対して当院一丸となってタイミングよく複数の疾患を治療できるため、患者さんやご家族の方にとってもとても良いことだと考えています。

当院は京都市の北西部の医療の質の向上に貢献し、地域の皆さんにより安心して暮らしていただきたいと考えています。その一環として、当院以外の施設や医院で働いている方々に対し認定看護師4名による出張研修会を行っており、大変好評をいただいています。“感染対策の基本を知り、実践に活かそう”や“ケアマネージャーとして必要な認知症の知識”といったテーマで知識やスキルをお伝えしているので、ご興味があれば当院の地域医療連携課にお気軽にご連絡ください。

葛西先生

当院は“地域に密着した良質な医療を提供する”ことを基本方針とし、全職員が理念である“愛の精神”で患者さんの立場に立った医療を目指しています。特に私が力を入れているのは、高度な急性期から回復期、慢性期までの切れ目の無い治療を提供することにより、地域にとって必要な病院であり続けることです。

その具体的な例として、今年(2024年)はさらにリハビリ環境を充実させるために西館屋上に屋外歩行ができるリハビリ施設を作る工事を行っており、現在、クラウドファンディングで資金の一部を募っています。(クラウドファンディングは2024年2月9日で終了しております)今後も地域の皆様から信頼される病院であり続けるよう、当院の職員はもちろん他の医療機関とも連携し患者さんのための医療を行っていく所存です。

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