まんせいじんぞうびょう

慢性腎臓病

同義語
CKD
俗称/その他
慢性腎不全
最終更新日:
2021年04月16日
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2021/04/16
更新しました
2021/03/24
更新しました
2017/12/05
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概要

腎臓は腰の辺りに位置するソラマメのような形をした150g程度の臓器で、左右に1つずつあります。腎臓は毎日血液をろ過して体の中の不要な水分や老廃物を尿として体の外へ排出しています。腎臓というと尿を作る臓器という印象があるかもしれませんが、尿を作る中で血圧の調整、ナトリウムやカリウム、カルシウムなどのミネラルバランスの維持、酸性とアルカリ性のバランスの調整を行い、さらに赤血球を作るホルモンの分泌、健康な骨のために重要なビタミンDの活性化を行うなど多くの役割があります。

慢性腎臓病(CKD)は、何らかの原因によって腎臓の機能が低下する病気です。慢性腎臓病という名前は聞き慣れないかもしれませんが、20歳以上の8人に1人いると考えられており、新たな国民病といわれることもあります。腎臓のはたらきが健康な人の60%以下に低下する(eGFRが60ml/分/1.73m²未満)か、あるいは尿中にタンパク質が漏れ出るといったなんらかの腎臓の異常が、3か月以上続いた場合に診断されます。

病気の重症度によって症状は異なりますが、腎臓の機能が低下するほど、体に水や老廃物がたまることによる体の不調が起き、ミネラルバランスが保てなくなり、貧血になりやすくなります。腎臓の機能がほとんどなくなると、自分自身の力で尿を作ること、ミネラルなどのバランスをとることができなくなるので、血液透析や腹膜透析、腎移植などの腎代替療法が必要になります。

年をとるほど腎機能は低下するので、高齢になるほど慢性腎臓病の人が増えます。また、腎臓自体の病気に加え、肥満や高血圧糖尿病脂質代謝異常メタボリックシンドローム膠原病(こうげんびょう)、先天性の病気などが慢性腎臓病を引き起こします。慢性腎臓病は、腎臓の機能低下にとどまらず、心筋梗塞(しんきんこうそく)脳卒中のような心血管疾患を引き起こす危険因子であることが分かっています。

原因

慢性腎臓病の原因は、多岐にわたります。慢性腎臓病は、加齢や生活習慣と深く関わっており、1つの原因だけでなく複数の原因によって腎機能が低下している場合もあります。慢性腎臓病の原因としては、以下のようなものが考えられます。

症状

慢性腎臓病は、重症度によって症状の出かたが異なります。軽症の場合には、無症状のことがほとんどです。しかし、腎機能の低下が進むと、むくみ、夜間尿(夜間に何度もトイレに行きたくなる症状)、倦怠感(けんたいかん)、食欲の低下、吐き気、手足のしびれなどの症状が出ます。さらに進むと、肺に水が溜まり、息苦しさが出てきます。

検査・診断

慢性腎臓病は、軽度の場合には自覚症状はほとんどないため、検査で見つけることが重要です。実際に、健康診断人間ドックをきっかけに慢性腎臓病であることが分かる人も多いです。慢性腎臓病の一般的な検査には以下のようなものがあります。

尿検査

腎臓病では、尿の中に血液やタンパク質がもれ出ることがあります。医療機関で検査をすると、もれ出ている血液やタンパク質の量を測定することができます。ただし、発熱や激しい運動、姿勢の変化などで尿検査に異常が出ることもあるので、医療機関で何度か測定して確認することが重要です。

血液検査

腎臓の機能を調べるために、血液中の尿素窒素(BUN)とクレアチニン(Cr)を測定します。慢性腎臓病の重症度を診断するための推算糸球体ろ過量(eGFR)は、年齢、性別、クレアチニンの数値で計算します。eGFRの数値が、60(ml/分/1.73m²)未満の時に慢性腎臓病が疑われます。

画像検査

超音波検査や腹部CT検査などで、腎臓の形や大きさ、腫瘍(しゅよう)や結石の有無などについて調べます。

腎生検

腎機能低下を引き起こしている明確な原因を診断するためには、腎生検がもっとも有効な検査方法です。腎生検では、一般的にうつぶせの状態で背中から腎臓に向かって細い針を刺し、腎臓の組織の一部をとります。採取した腎臓の組織を顕微鏡で詳しくみることで、腎機能低下の原因を探ります。腎生検は入院して行う検査です。

治療

すでに失われた腎臓の機能を取り戻す治療は、現時点ではありません。しかし、腎臓の機能がある程度保たれていれば、症状もなく暮らしていくことができますので、その後の腎機能低下の進行を抑え、現在の腎臓の機能をなるべく維持し長持ちさせることが目標となります。

原因によって、主に行う治療の内容が異なります。たとえば、高血圧糖尿病といった生活習慣病が原因の場合には、その状態を良くすることがまず大事です。生活習慣病による慢性腎臓病だと言われていなくとも、高血圧や糖尿病などの病気をすでに診断されている場合には、医師と相談し、内服薬による治療などを行うことが検討されます。膠原病や感染症などの全身疾患が原因の場合にも、そのおおもととなる病気に対する治療を行い、病状を落ち着かせることが治療法になります。慢性腎炎症候群(IgA腎症や膜性腎症など)のような腎臓自体の病気が原因の場合には、ステロイドや免疫抑制剤の服用が検討されます。

加えて、原因がどれであっても共通の慢性腎臓病の治療として、規則正しい生活、食事管理、血圧管理などを行います。生活習慣病があると腎機能低下が速く進むことが分かっていますので、体重を適正に保つ、塩分や糖分の過剰摂取を控える、食べ過ぎない、禁煙する、適度な運動をするなどの適切な生活習慣の維持がとても大事です。

慢性腎臓病が進行し、ミネラルなどのバランスが乱れた場合には、それを整えるべく薬の処方を行います。腎臓の機能がほとんどなくなってしまった場合には、腎臓の代わりをしてくれる治療(腎代替療法)として、血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれかが行われます。

予防

慢性腎臓病の原因は多岐にわたるので一概にはいえませんが、高血圧糖尿病、肥満などの生活習慣の乱れに関連する病気は腎臓の機能低下を引き起こすリスクになるだけでなく、腎機能低下の速度も上げることが分かっています。そのため、慢性腎臓病の予防として毎日の生活習慣の見直しをすることは有効です。たとえば、体重を適正に保つ、塩分や糖分の取りすぎを控える、食べ過ぎない、禁煙する、適度な運動をするなどが慢性腎臓病の予防法として挙げられます。腎臓を悪くする可能性のある解熱鎮痛薬や漢方などの飲み過ぎを防ぐことも予防法の1つといえます。

また、慢性腎臓病は進行するまで無症状であり、さらに、進行し失われた腎機能は取り戻すことができないため、定期的に健康診断を受けて腎臓の状態をチェックすることも慢性腎臓病の大事な予防法の1つといえるでしょう。

実績のある医師

周辺で慢性腎臓病の実績がある医師

一般社団法人 ミエルカクリニック 代表理事

やまかわ たかふみ

LSクリニック東京―「3年前に診ていたら…」 という後悔をなくしたい

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東京女子医科大学 腎臓小児科 講師

みうら けんいちろう
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聖路加国際病院 副院長/腎臓内科部長

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国立国際医療研究センター病院 腎臓内科 血液浄化療法室統括医

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