治療
すでに失われた腎臓の機能を取り戻す治療は、現時点ではありません。しかし、腎臓の機能がある程度保たれていれば、症状もなく暮らしていくことができますので、その後の腎機能低下の進行を抑え、現在の腎臓の機能をなるべく維持し長持ちさせることが目標となります。
原因によって、主に行う治療の内容が異なります。たとえば、高血圧や糖尿病といった生活習慣病が原因の場合には、その状態を良くすることがまず大事です。生活習慣病による慢性腎臓病だと言われていなくとも、高血圧や糖尿病などの病気をすでに診断されている場合には、医師と相談し、内服薬による治療などを行うことが検討されます。膠原病や感染症などの全身疾患が原因の場合にも、そのおおもととなる病気に対する治療を行い、病状を落ち着かせることが治療法になります。慢性腎炎症候群(IgA腎症や膜性腎症など)のような腎臓自体の病気が原因の場合には、ステロイドや免疫抑制剤の服用が検討されます。
加えて、原因がどれであっても共通の慢性腎臓病の治療として、規則正しい生活、食事管理、血圧管理などを行います。生活習慣病があると腎機能低下が速く進むことが分かっていますので、体重を適正に保つ、塩分や糖分の過剰摂取を控える、食べ過ぎない、禁煙する、適度な運動をするなどの適切な生活習慣の維持がとても大事です。
慢性腎臓病が進行し、ミネラルなどのバランスが乱れた場合には、それを整えるべく薬の処方を行います。腎臓の機能がほとんどなくなってしまった場合には、腎臓の代わりをしてくれる治療(腎代替療法)として、血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれかが行われます。
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