院長インタビュー

堅実な先進医療で患者さんに選ばれる東京慈恵会医科大学附属病院

堅実な先進医療で患者さんに選ばれる東京慈恵会医科大学附属病院
小島 博己 先生

東京慈恵会医科大学附属病院 病院長

小島 博己 先生

目次
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東京都港区にある東京慈恵会医科大学附属病院は、全国から患者さんが集まる大学病院です。2020年には外来棟の大規模なリニューアルを行い、医療体制を刷新しました。従来の地域医療やER型救急だけでなく、大学病院として先進的な三次救急に取り組む同院の地域での役割や今後ついて、病院長である小島 博己(こじま ひろみ)先生に伺いました。

当院は1882年の開設から約140年間にわたり、日本の中心にある大規模な大学病院として新しく、高度な医療を提供してきました。近年では、2001年に開設した母子医療センターを大学病院直結の独立型母子医療センターとして大幅にリニューアルし、2020年から新体制でスタートを切っています。

患者さんは全国から受け入れていて、特に医療技術に強みのある外科、泌尿器科、整形外科や耳鼻咽喉科をはじめ各診療科に、担当医師を指名して来院される方も多くいらっしゃり、改めて当院の存在意義を実感できて大変うれしく思います。

当院のある東京都港区は近隣の地域から通勤してくる方が多く、昼間人口が全国ナンバーワンです。高齢化率も約17%に止まり、若者が多い街なので活気にあふれています。そんな東京都港区と当院は包括的に提携していて、地域の産業医との連携にも積極的です。そうした地域ネットワークや首都圏の中心にある立地を活かし、大きな災害が発生した際には率先して医療に貢献していきたいと考えています。

当院は昨今のコロナ禍を通じて“重症患者に対応できる病院が少ない”という東京都からの呼びかけに応じ、2023年の3月に三次救急医療機関として救命救急センターとなりました。現在も救急のICU(集中治療室)の整備を進めつつ、命に関わる救急の患者さんを受け入れています。港区周辺で特定機能病院(高度の医療の開発、研修を実施する能力を備えた病院)としての機能を持ちながら三次救急を行う医療機関はないため、当院がその任を引き受け、地域の皆さまに貢献していきたいと考えています。

現在は毎日50人ほどの患者さんと約20台の救急車を受け入れているほか、都心に位置する救急医療機関として海外からの患者さんも積極的に受け入れており、自動翻訳機も活用して多言語に対応しています。救急室内には13室のベッドを用意し、初期診療から経過観察までトータルに患者さんをサポートしています。

当院は特定機能病院であり、各診療科でさまざまな高度医療を行っています。たとえば、当院の肝胆膵外科では担当教授の池上徹先生を中心に生体肝移植の手術を行っており、優れた成績を内外に発表しています。循環器内科と心臓外科を中心としたハートチームは、大動脈弁閉鎖不全症に対する大動脈弁形成術や大動脈弁狭窄症に対するTAVR(TAVI、経カテーテル大動脈弁置換術)などで国内で見ても非常に多くの症例となっています。

また、東京慈恵会医科大学の学風、そして当院の伝統として各科の医師同士のコミュニケーションが良好で、閉鎖的なところがないことが挙げられます。このような雰囲気は、例えば糖尿病が進行して血管が損傷している場合や、喘息による発作のリスクを抱えたまま手術しなければならない場合など、合併症があり手術が難しいといった患者さんを各科で連携して治療する場合に大きなメリットとなります。

母子医療センターは、生殖医療、周産期医療、小児疾患への医療を胎児から思春期、成人まで一貫して提供しています。治療にあたっては大学病院だからこそできる質の高い医療を提供しており、たとえば新生児集中治療室(NICU)では体重1,000g以下、ときには500g程度の本当に小さな超低出生体重のお子さんの全身管理を24時間体制で行い、なにかあれば新生児集中治療チームや小児科が協力して治療にあたります。余談になりますが、実際にNICUを見に行くと、思わず涙が出てしまうくらい小さなお子さんを、ナースを含め産婦人科と小児科がお互いに協力し合って新しい命とお母さんへ献身的に対応する姿には、本当に頭が下がる思いです。

また救命救急の治療はもちろんですが、赤ちゃんとご家族のQOLの向上にも配慮しています。例えば、入院中における病棟内でのファミリーケアやソーシャルワーカーを交えた社会的サポートのほか、臨床心理士による心理的なサポートにも注力しています。さらにハイリスク出産にも万全の医療体制で臨み、首都圏における母子医療の中核拠点としての責務を全うしています。

昔の患者さんはかかりつけの総合病院で色々な病気を診てもらっていましたが、現在は診療科によって患者さんが病院を選ぶ時代です。だからこそ当院としては、各科の医療レベルをさらに底上げし、院内のシームレスな連携が必要になってくると考えています。

2020年にリニューアルした新外来棟でも“患者さんに優しい、高度医療・未来医療に対応できる外来”というコンセプトのもと、従来の病院構造にとらわれず診療科同士が連携しやすいような空間作りに励みました。これによって患者さんは院内を移動しやすくなり、よりスムーズで質の高い診療を提供できるようになったと思います。ちょうど新外来棟のリニューアル後にコロナ禍となったのですが、十分に広く清潔な空間が厳密な感染対策につながり、パンデミック下においても安全な医療を提供することができました。

海外の方向けにも医療を提供できるような体制作りを進めています。例えば、当院が運営する新橋健診センターで病気をしっかり診断することにより、海外からの患者さんも安心して来院して頂けるようになればと考えています。

韓国や台湾など近隣諸国の医療技術も数年以内に日本に迫ってくるような勢いです。しかしながら、日本ほど誠実な手術を受けられる国はないと思います。世界中で困っている患者さんのためにも、グローバルな視野を持って病院を運営していきたいと考えています。

当院を含め日本の大学病院は切磋琢磨して日々医療技術を磨いています。昨今のコロナ禍においても堅実な医療体制の底力が発揮されたように思います。近年、当院は外来棟のリニューアルや東京都から三次救急の認可を受けるなど、従来の大学病院としての機能を越えた医療体制を確立しようと邁進してきました。そのような中でも、当院開設からの指針にしている“病気を診ずして病人を診よ”というモットーを忘れず、これからも患者さん一人ひとりに対して誠実な医療を提供していきたいと思います。

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