沖縄県糸満市に位置する医療法人以和貴会 西崎病院(以下、西崎病院)は、1981年に糸満クリニックとして開業して以来、病院機能や診療科を充実させ成長を続けてきた病院です。
医療法人以和貴会グループ間の連携を生かし、医療分野だけにとどまらない地域貢献に尽力する同院の特徴や取り組みなどについて、院長の山城 清二先生にお話を伺いました。
当院は、1981年3月に糸満クリニックとして開院し、“あなたの幸せがわたしの幸せです”をモットーに、地域の皆さんに質の高い医療サービスを提供できるよう努めてまいりました。現在は150床のうち120床を療養病床として運用しており、ケアミックス病院(複数の病床機能を備える病院)として地域医療を支えています。
現在、少子高齢化はこの国の大きな課題となっていますが、この地域も例外ではありません。当院は高齢化が進むこの地域の医療に貢献するべく、外来部門の充実をはじめ、人間ドック・健診センター・透析センターの立ち上げや、新しい検査機器の導入など、地域のニーズに応えるための医療体制強化に取り組み続けています。
また当院は、医療・介護・福祉分野のシームレスな連携(継ぎ目や垣根のない連携)が行える病院でもあります。医療連携としては、高度急性期医療を担う病院などで急性期治療を終えた患者さんや、かかりつけの先生方から紹介された患者さんを積極的に受け入れ、回復や療養のための体制を整えております。
介護や福祉分野との連携は、当院が所属する医療法人以和貴会グループのスケールメリットを生かして取り組んでいます。以和貴会グループの介護老人保健施設サクラビアを併設しているだけでなく、同グループのデイサービスセンターや在宅総合センター、訪問介護ステーション、特別養護老人ホーム、障害者支援施設などさまざまな介護・福祉関連施設と密に連携し、スムーズな移行や引き継ぎを行っています。
なお、2025年度内を目安に同グループのウェルネス西崎病院との統合を予定しています。併設の介護老人保健施設サクラビアを隣地に増築移転し、空いたスペースにウェルネス西崎病院が入り、統合する形となります。統合後は210床のケアミックス病院+介護医療院15床として運営する予定です。
当院は内科・外科・整形外科・外科・泌尿器科・皮膚科・耳鼻咽喉科・美容皮膚科・リハビリテーション科・健診センターなどを有しており、内科を中心とした幅広い診療科で実施しています。最近から総合診療科を加えて、在宅医療も行っています。
内科は外来患者さんを含めてもっとも患者さんが多い診療科であり、風邪症状や腹痛・吐き気など一般的によくみられる病気の診療はもちろん、高血圧や高脂血症、心臓病、糖尿病などにも対応しています。
泌尿器科は、地域の高齢化の進行にともない患者さんが増加している診療科で、前立腺肥大症や頻尿・尿失禁、尿路系のがんなど泌尿器科全般の診療を行っています。
尿道から内視鏡を挿入する膀胱鏡検査では検査時の痛みを軽減するため、やわらかく曲げやすい“軟性膀胱鏡”を使用しています。
腎臓内科の人工透析センターでは維持透析だけでなく新規透析導入も可能で、外来通院透析・入院透析両方を実施し、さらに旅行や帰省などの臨時透析にも対応するなど“透析を必要とする地域の方に、安心していただける透析治療体制づくり”に努めています。
当院のように、慢性期医療を中心に提供している病院でありながら美容皮膚科も有しているというケースはなかなか珍しいかと思いますが、美容皮膚科で提供する医療は“年代を問わず、心身ともに美しく輝きたいと願う患者さんのお手伝いができる、明るい医療”であると考えています。
医療脱毛をはじめ、医療機関だからこそできる治療を提案いたしますので、お肌などに関するお悩みはぜひ当科にご相談ください。(*美容皮膚科は自由診療です)
患者さんが満足できる医療サービスを提供するためには、スタッフ全員がやりがいを持って生き生きと働ける環境をつくることが大切だと考えています。
そのため当院では、医師や看護師をはじめとしたスタッフ向けの勉強会や研修会などを積極的に開催したり、外部から講師をお招きして講演会などを行い、医療や地域に関する関心・知識を深める“西崎病院活性化プロジェクト”を実施したりしています。
今後もこうした取り組みを積極的に推進し、“仕事をしながら成長していける病院”としてやりがいを見出せるようサポートをしながら、よりよい医療サービス提供の実現を目指していく所存です。
当院では、誰でも気軽にご参加いただける“西崎健康教室”を、外来待合室にて不定期開催しています。予約なしでご参加いただけますので、興味のあるテーマの健康教室が開催された際はどうぞお気軽にお越しください。
また当院では、学生向けの体験学習の機会も多く設けており、看護学校への入学が決まっている学生向けの看護体験や、県内高校生を対象としたふれあい看護体験、中学生の職場体験学習などを実施しています。
地域の高齢化が急速に進行する今、地域医療を守るためにもっとも大切なことは“地域住民の皆さんが、自分自身で健康づくりや健康管理を意識し、健康寿命をできるだけ延ばすこと”だと思っております。
もちろん私たち医療従事者もできるかぎりのサポートはしてまいりますが、患者さん自身が健康に対する意識を持っているか・いないかで、同じ病気でもその後の状態が大きく違ってくるケースは少なくありません。地域の皆さんにはぜひ“自分で自分の健康を守る”という意識で、健康的な食事を心がける、体を動かす機会をつくる、他者との交流を持ち社会性の維持・向上に努めるといったことを心がけていただきたいと思います。
私たちがよりよい医療提供を目指して努力を続け、地域の皆さんが健康に関する意識をしっかり持つ、この二人三脚で、この地域の医療に明るい未来をつくっていきましょう。
*医師や提供している医療の内容、および本文中の数字は全て2025年1月時点のものです。