院長インタビュー

地域に開かれた企業立病院としての使命と進化――関西電力病院の取り組み

地域に開かれた企業立病院としての使命と進化――関西電力病院の取り組み
滝 吉郎 先生

関西電力病院 院長

滝 吉郎 先生

目次
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関西電力病院は、関西電力グループによって運営されている企業立病院でありながら、地域住民に開かれた総合病院として発展を続ける病院です。かつては企業職員向けの施設としての側面が強かったものの、現在は地域の救急医療や専門診療を担う中核的な病院としての役割を果たしています。

梅田にほど近い場所にあり、福島区を中心に大阪市内西部エリアをはじめ、尼崎市など県境を越えた地域からも多くの患者さんが来院しており、その利便性と診療体制の充実が広く支持されています。関西電力病院の強みや取り組みについて、院長の滝 吉郎(たき よしろう)先生にお話を伺いました。

外観
病院外観(関西電力病院ご提供)

当院は、関西電力健康保険組合の病院として“社員の福利厚生と地域医療への貢献”を目的に1953(昭和28)年に創立されました。その後は関西電力株式会社が運営する病院となり、長らく企業職員向けの病院としてその健康を守ってきた当院ですが、地域に開かれた総合病院へと大きく舵を切ったのは2003年頃のことです。

当時は救急指定病院ではありませんでしたが、救急指定のない病院では研修医の確保も難しいため、救急指定を取得し救急部門を設けて外科系をはじめとした診療体制の拡充に取り組んできました。同時に生活保護受給者の受け入れ(生活保護法指定医療機関)や診療科の新設にも取り組み、外科、脳神経外科、心臓血管外科、形成再建外科といった専門診療を充実させました。

さらに、2013年には建て替えにより新病院が完成し、同時に医療機器の充実なども図ったことで、診療の質と利便性が大きく向上しました。現在は大阪府がん診療拠点病院としての指定を受け、包括的ながん医療にも取り組んでいます。

内観
病院内観(関西電力病院ご提供)

当院では、脳神経内科、糖尿病内科、循環器内科、消化器内科などの内科系診療科に加えて、外科系の高度な手術にも力を入れています。

脳神経内科ではアルツハイマー型認知症不眠症など、近年注目されている加齢に伴う疾患に力を入れており、“睡眠覚醒外来”も開設しています。糖尿病内科には、アジア糖尿病学会や日本糖尿病協会などの理事長を務めており、当院の総長でもある清野 裕 (せいの ゆたか)先生がおり、GLP-1受容体作動薬の臨床に力を入れて取り組んでいます。
循環器内科ではカテーテル治療を中心に、急性期にも対応できる体制が整っており、心筋梗塞狭心症といった重症例にも迅速に対応することが可能です。また、消化器内科は内視鏡技術の高い医師がそろっていることから、がんの早期発見や内視鏡治療がスムーズに行われています。

外科分野では、当院が長年注力してきた肝胆膵外科や神経内分泌腫瘍(しゅよう)に対する診療が特徴的です。全国的にも知名度の高い専門の医師が在籍し、ガイドライン作成にも関与するなど、学術的にも意義ある取り組みを行っています。
また、形成外科では、指の切断に対する再接着術や顔面の形成手術にも対応しており、“24時間切断指の治療を受け入れる体制”が整えられている点は、関西圏でも希少です。耳鼻咽喉科や眼科といった診療科にも手術の上手な先生が在籍しており、どの診療科でもレベルの高い治療を受けられると自負しています。

ダビンチ
手術支援ロボット ダヴィンチ(関西電力病院ご提供)

手術支援ロボット“ダヴィンチ”を導入したことで、泌尿器科や婦人科領域の手術の低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)化も一層進みました。泌尿器科では放射線治療装置(リニアック)によるIMRT(強度変調放射線治療)も行っているので、低侵襲かつ高度な治療が可能です。また整形外科領域では、建て替えと同時に術中CT装置の“O-arm(オーアーム)”を導入しました。これは手術中に高精細な画像を撮影できる装置で、整形外科手術の精度を飛躍的に高めることができ、診療に大変役立っています。

企業立病院としてスタートした当院は、現在では地域に開かれた“公共性の高い病院”として、さまざまな連携・発信活動を進めています。その中でも“中之島クリニック”や“中之島クリニックレディースプラザ”との連携体制は、健診から治療まで一貫して患者さんを支える動線となっています。

中之島クリニックは当院に隣接しているクリニックで、人間ドックや各種健診を実施しており、その後のフォローアップ先として当院を第一選択肢として案内いただいています。また女性専用の健診施設であるレディースプラザからは、婦人科・乳腺領域の患者さんをご紹介いただいており、がん検診から治療までスムーズな流れが構築できています。

特に婦人科領域ではダヴィンチによるロボット支援下手術も活用されており、がん治療や子宮筋腫卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)などの手術も低侵襲で行える体制を整えています。今後は乳腺外科との連携も強化し、女性が安心して通院・入院できるような“レディース病棟”などもつくれたらと構想中です。

どんなに技術や設備が整っていても、住民の皆さんに知られていなければ意味がありません。私たちは“企業病院”という固定観念を打破し、誰もが気軽にかかれる総合病院として認識してもらうため、院内外への情報発信にも力を入れています。医師やスタッフによる情報発信、啓発活動、地域医師会との連携研究会なども活発に行われており、地域の医療ネットワークのハブとしての役割も果たしています。

当院は福島区の中心に位置し、JRや阪神、京阪などの複数の路線が乗り入れる駅からも直結しています。中之島美術館や関西電力本社のすぐそばという立地で、アクセスのよさは抜群です。今後の地域展望という点でも、福島区は人口の増加が見込まれているエリアで、医療需要もさらに高まることが予想されています。私たち医療機関側もそれに応えていく体制づくりが求められるでしょう。

当院ではこれまで、救急体制の整備、外科系診療の強化、新病院への移行、研究所の設立など、一つひとつに着実に取り組んできました。これからも急性期の中核病院として地域に開かれた医療を推進してまいります。どうぞお気軽にご相談、ご来院いただければと思います。

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