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ウィスコット・オルドリッチ症候群
ウィスコット・オルドリッチ症候群とは、感染のしやすさ、血小板減少、アトピー性皮膚炎様の湿疹の3つを特徴的な症状として呈する、先天性の遺伝疾患です。WAS遺伝子の異常が原因で発症する病気であり、主...
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ウィスコット・オルドリッチ症候群うぃすこっとおるどりっちしょうこうぐん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

ウィスコット・オルドリッチ症候群とは、感染のしやすさ、血小板減少、アトピー性皮膚炎様の湿疹の3つを特徴的な症状として呈する、先天性の遺伝疾患です。WAS遺伝子の異常が原因で発症する病気であり、主に男児に認めることが多い病気です。

病気に関連した症状は乳児期の頃から認めることが多く、感染症を何度も繰り返す(日和見感染症を含めて)、アトピー性皮膚炎が治らない、小さな出血斑(時に頭蓋内出血を発症することもあります)を呈する、といったことから病気が疑われます。

さらに年長になると、自己免疫疾患やリンパ腫を代表とする悪性疾患を発症することもあります。臨床経過に合わせて治療方針は決定され、場合によって骨髄幹細胞移植や造血幹細胞遺伝子治療が行われることもある疾患です。

原因

ウィスコット・オルドリッチ症候群は、WASと呼ばれる遺伝子異常が原因となって発症する病気です。WAS遺伝子は、「WASタンパク」の名称で知られるタンパク質を産生するのに重要な遺伝子です。

WASタンパクは、血液中に存在する細胞(すなわち、赤血球、血小板、白血球)に広く認めるタンパク質です。WASタンパクは、「アクチン」と呼ばれる細胞内タンパク質と強調しながら、細胞の外で起きている情報を細胞の中に伝達するのに重要な役割を果たしています。

白血球は、病原体が体内に入り込んだ際に身を守る役割を担っています。白血球が正常な免疫反応を示すには、いくつものステップが必要になります。そもそも病原体が体内に入ったという情報を白血球が受け取る必要があります。さらに病原体がどこにいるのかを認識することも必要になりますし、病原体がいる場所まで白血球が移動をする必要もあります。

こうした一連の情報伝達がうまくいってはじめて白血球が免疫機能を発揮することができますが、WASタンパクはこの情報伝達にとても重要な役割を果たしていると考えられています。そのほかにも、血小板や赤血球においても正常に機能をするために外界との間で情報のやり取りをすることが求められますが、WASタンパクがこの点において重要な役割を果たしています。

ウィスコット・オルドリッチ症候群では、WAS遺伝子に異常が生じているため、正常なWASタンパクが産生されなくなってしまいます。その結果、血液中の各種細胞が正常活動を果たせなくなっており、各細胞の機能障害に関連した症状(主には血小板と白血球)が引き起こされることになります。

ウィスコット・オルドリッチ症候群は、「X連鎖性」と呼ばれる遺伝形式を示します。男女の性別を決定する遺伝子にはX染色体とY染色体の2種類が知られていますが、この組み合わせに応じて性別が決まります。すなわち男性であれば「XY」ですし、女性であれば「XX」です。WAS遺伝子はX染色体の上に存在しているため、X染色体を1本しか持たない男性では、異常な遺伝子を持つと病気が発生することになります。

一方、女性の場合は2本のX染色体を持つため、1本が異常なWAS遺伝子を有していたとしても、もう片方が正常なWAS遺伝子であれば病気を発症しないことがあります。こうした特徴があり、男児において発症することの多い病気になります。

症状

ウィスコット・オルドリッチ症候群の症状は、乳児期の頃から認めます。血小板や白血球の異常を反映して、それぞれ出血のしやすさや免疫機能の異常を呈します。具体的な症状としては、血液まじりの下痢便、難知性のアトピー性皮膚炎を挙げることができます。

また、中耳炎を繰り返すことも特徴です。 血小板が強く障害を受けている場合には、皮膚の軽度の出血に留まらずに頭蓋内出血を発症することもあります。免疫機能が著しく低下する場合においては、ニューモシスチス肺炎を始めとした日和見感染症を発症することもあります。

年齢を経ると、自己免疫性疾患を発症することも知られており、溶血性貧血、関節炎、血管炎などを見るようになります。また、EBウイルスと呼ばれるヘルペスの仲間のウイルスに暴露される機会が増えることと関連して、リンパ腫を発症するリスクが高まることも知られています。

検査・診断

ウィスコット・オルドリッチ症候群では、血小板と白血球に関連した異常を血液検査で確認することになります。血小板の数は正常よりも少なくなっていますし、大きさも小さめです。白血球に関連して、特にT細胞と呼ばれる白血球の数が減少することも確認されます。

抗体検査をすると、IgGやIgMが低下しており、一方IgEが増加しています。NK細胞と呼ばれる白血球の機能も低下しています。 ウィスコット・オルドリッチ症候群は、WAS遺伝子の異常を原因としています。この異常を確認するために、遺伝子検査を行うこともあります。

治療

ウィスコット・オルドリッチ症候群の治療は、症状に合わせた支持療法と根本治療の2つに大きく分けることができます。 支持療法では、感染症に対しては抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬などの使用、出血に対しては輸血などが行われることになります。湿疹に対してのアプローチも重要です。

根本治療の中心は造血幹細胞移植です。ウィスコット・オルドリッチ症候群は、血液細胞の異常で引き起こされる病気ですので、病気を有さない方の血液と入れ替えることで治癒を図ります。

また、WAS遺伝子の異常が根本にあるため、遺伝子治療を通してこの異常を治そうという試みもなされています。2017年現時点においては標準的な治療とはなっていませんが、今後こうした遺伝子治療も広く導入されることが期待されています。