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サルモネラ症
サルモネラとは、代表的にはSalmonella entericaと呼ばれる細菌によって引き起こされる感染性胃腸炎を指します。Salmonella entericaは食中毒の一つとして重要な細菌で...
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大腸・小腸

サルモネラ症さるもねらしょう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

サルモネラとは、代表的にはSalmonella entericaと呼ばれる細菌によって引き起こされる感染性胃腸炎を指します。Salmonella entericaは食中毒の一つとして重要な細菌であり、主に汚染された鶏卵や鶏肉を摂取することから胃腸炎が発症します。

厚生労働省から発表されている食中毒統計資料を見ると、年間400〜1,900件ほどの報告があります。カンピロバクター腸炎やブドウ球菌、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオなどと共に、食中毒の原因病原体として重要な位置を占めています。

サルモネラは、数十個の細菌を摂取するのみで下痢や嘔吐などの消化器症状が出現することが知られています。ごくごく少量の細菌のみでも発症することから、学校や福祉施設などの集団発症例を見ることも多い食中毒です。

なお、同じくサルモネラに属する細菌として、チフス菌(Salmonella typhi)やパラチフス(Salmonella paratyphi)も知られています。これらのサルモネラは「チフス」と呼ばれる疾患を引き起こすことが知られています。チフスは主に発展途上国で見ることの多い疾患であり、日本国内で頻度が高く見られるいわゆる食中毒としての発症様式とは異なります。名前は似ている細菌ですが、疾患として区別をすることは重要です。

原因

サルモネラにはいくつかの細菌が知られていますが、一般的に「サルモネラ」というとサルモネラによって引き起こされる食中毒のことを指します。

食中毒を引き起こすサルモネラはSalmonella entericaが代表的ですが、その他Salmonella typhimurium DT105やSalmonella oranienburgなども原因となることが知られています。特に前者については抗生物質に対して効きが悪いことが知られており、今後の動向に注目が集まっています。

食中毒を引き起こすサルモネラは、家畜(鶏、豚、牛)の腸内に広く生息しています。その他、鳥類やスッポン、うなぎなどにも存在する極ありふれた細菌です。 サルモネラに汚染された食べ物を摂取することから感染は成立します。食中毒として多いのは、加熱が不十分な鶏卵の摂取(生卵に限らず、マヨネーズやティラミスなども原因になります)や牛肉のたたきなどが代表的です。

サルモネラ食中毒は、数十個の細菌を摂取するだけでも感染が成立することから、調理器具に付着した細菌が別の食材にうつって感染が広がることもありえます。また、カメなどのは虫類にもサルモネラは存在しており、サルモネラ感染症の重要な発端者になりうることが注意喚起されています。

腸管内に摂取されたサルモネラは、腸管において炎症反応を引き起こします。炎症反応が生じると、腸管粘膜から水分が分泌されるようになり、下痢が生じることになります。また、サルモネラは「cholera toxin-like enterotoxin」を産生することも知られており、この毒素の影響から下痢が生じることもあります。

症状

サルモネラを摂取してから症状が出現するまでの期間には幅があり、5時間ほどの潜伏期間で症状が出現することがあります。その一方で発症までに3〜4日の時間を要することもあります。症状は消化管症状が主体であり、上部消化管症状として吐き気や嘔吐から始まることが多いです。その後時間経過と共に下部消化管にも影響が及ぶようになり腹痛や水様性下痢(一日10回以上になることもあります)が出現します。

感染症としての全身症状として発熱を見ることもあります。多くの場合においては、対症療法のみでも1週間ほどで症状は改善します。小児や高齢者では脱水を起こすことも多いため、重症化することもありえます。

その他、乳児、免疫不全者などにおいては菌血症を併発し、骨や中枢神経、血管などにも感染がひろがる危険性が高まります。小児ではまれではありますが、発症後に関節炎を起こすこともあります。

検査・診断

サルモネラの診断は、便や血液、髄液などを用いて病原体であるSalmonella entericaなどを培養同定することからされます。またサルモネラは集団発生することも多く、患者本人さんの臨床症状に加えて、周囲の発生状況も診断に際して参考になります。

治療

サルモネラによる胃腸炎は、抗生物質の使用をせずとも自然治癒が充分期待できる疾患です。そのため、多くの症例においては、脱水にならないようにする対症療法が主体になります。

下痢や嘔吐に対しては、脱水になる可能性があるため、イオン水などの経口補液が有効です。また水分摂取がままならない場合や脱水症状が強い場合には、点滴で補液が行われることもあります。

一部の患者さん(下痢症状が強いなど)に対しては抗生物質が使用されることもあります。具体的には、ニューキノロン薬、アンピシリン、ホスオマイシンが、年齢や症状に応じて検討されます。抗生物質の使用に関しては、各国の状況により様々な意見があり統一した見解はありません。使用に際しては、担当医の先生との相談が重要になります。

サルモネラは、原因となる食物(生卵や生肉)を摂取することから発症します。少量のサルモネラでも感染症を発症することも知られており、汚染が疑われる食物の加熱は75℃以上で1分以上しっかりと行うことが重要です。また、生肉を調理した包丁やまな板がサルモネラで汚染されることもあります。調理器具の殺菌が不十分な状態でサラダなどを調理すると、野菜に細菌が付着して感染することもあります。したがって、調理器具の清潔や乾燥に注意を払うことも大切です。

カメを始めとした爬虫類に接触することからも、サルモネラに感染することが報告されています。ペットで爬虫類を飼っていることもあるかと思いますが、特に小児で重症化することもあります。サルモネラは食中毒以外の側面を有することを知ることは、不必要なサルモネラ感染症を予防するためにも重要です。