症状
レビー小体型認知症の症状の程度には個人差がありますが、前提として日常生活に支障をきたすような認知機能の低下がみられます。また、初期には目立ちにくい傾向がありますが、進行とともに記憶障害が現れます。
レビー小体型認知症の症状は、特有の“中核的特徴”と、高齢者にみられやすく診断の一助となる“支持的特徴”に分けられます。
中核的特徴
認知機能の変動
レビー小体型認知症では、物忘れや“いつ”“どこ”などの状況の把握ができなくなる、会話の理解が難しくなるなどの認知機能の低下がみられます。ただし、物忘れの症状は病気の初期段階では目立ちにくい場合もあります。
また、レビー小体型認知症による認知機能の低下は調子にムラがあることが特徴で、1日や1週間などの短い期間の中でも調子がよいときと悪いときがあります。
幻視
レビー小体型認知症に特有の症状で、初期段階から現れやすいものとして“幻視”が挙げられます。この症状は高頻度に繰り返し現れる傾向があり、ほかの認知症では初期段階にみられないことから、病気の区別に役立つことがあります。
レビー小体型認知症における幻視の症状は夜間に起こりやすく、“(実際にはいないのに)知らない人がそこに立っている”“壁に虫がたくさんいる”“物が人の姿に見える”など、具体的な内容であることが特徴です。
レム睡眠行動障害
レム睡眠行動障害とは、睡眠時に夢を見て大きな声を出す、暴れるなどの異常行動がみられることをいいます。人間の睡眠は、夢を見る“レム睡眠”と大脳を休める“ノンレム睡眠”を繰り返しますが、この異常行動はレム睡眠のときに起こることが特徴です。
レビー小体型認知症の患者の中には、認知機能の低下などが認められる前にレム睡眠行動障害が生じる人もいます。
パーキンソン症状
パーキンソン症状とは、パーキンソン病でみられるような運動障害のことをいいます。具体的には、体が固くなり動きにくくなる、動きが鈍くなる、手足にこわばりやふるえが生じるなどの症状が挙げられます。ただし、高齢になると目立たないことがあります。
支持的特徴
そのほか、以下のような症状がみられる人もいます。
- 抗精神病薬が強く効きすぎてしまう
- 姿勢が不安定になる
- 転倒を繰り返す
- 失神
- 一時的にボーッとして無反応になる
- 自律神経障害(便秘、立ち上がった際の立ちくらみ、尿失禁)
- 過眠
- 嗅覚が鈍くなる
- 幻覚
- 妄想
- 無気力で何もする気がない(アパシー)
- 不安
- うつ状態
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