かたいかいよう うったいせいかいよう

下腿潰瘍・うっ滞性潰瘍

別名
下腿皮膚潰瘍,下腿難治性皮膚潰瘍
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

下腿潰瘍とは、主に膝から下の脚の皮膚に生じる潰瘍のことです。原因はさまざまですが、多くは下腿の血液循環が悪化する(うっ滞)ことによるものです。

下腿には、静脈にコブができる静脈瘤が発生しやすく、下腿潰瘍の多くは静脈瘤により血液や組織液などの体液がうっ滞することで引き起こされます。このため、静脈血のうっ滞による下腿潰瘍はうっ滞性潰瘍とも呼ばれます。

下腿に高度なうっ血が生じると、出血や皮膚炎を起こしやすく、これらが下腿潰瘍の発生源になると考えられています。下腿潰瘍は一度発生すると治療が難しく、完治までに長期の治療を要することもまれではありません。そのため、潰瘍が発生する前の段階で適切な対処を行うことが重要です。

原因

下腿潰瘍の7~8割は、静脈瘤の形成によって下腿の血液循環が悪化することが原因です。このようにして生じる下腿潰瘍を、うっ滞性潰瘍と呼びます。

静脈は体を循環した血液を心臓に戻すはたらきをします。しかし、足の静脈では、立っているときや座っているときに重力に従って血液が下方へ戻ろうします。このため、足の静脈には「弁」があり、血液の逆流を防ぐ仕組みが備わっています。

しかし、加齢や長時間の立ち仕事などが原因となって「弁」の構造が壊れると、下腿の血管に血液が逆流して溜まりやすくなり、静脈が拡張してコブのようなふくらみが生じることがあります。

このふくらみが静脈瘤です。静脈瘤ができると、そこにさらに血液がたまりやすくなり、高度なうっ血を生じます。うっ血した下腿は皮膚炎を引き起こし、わずかな刺激が加わることで潰瘍を形成します。

その他の原因としては、閉塞性動脈硬化症や血管炎などの血管病変や、糖尿病痛風などの代謝性病変、クリオグロブリン血症などの血液疾患、外傷皮膚がん、感染症などが挙げられます。

 

症状

下腿潰瘍・うっ滞性潰瘍は、初期の段階では下腿の痛みやだるさ、むくみ、夜間のこむら返りが生じ、うっ血が悪化すると皮膚炎を生じます。下腿の下1/3の内側に好発します。

病変部位には紅斑やカサカサした分厚い角化物質、かさぶたが散在し、うっ滞した血管からフィブリンが漏れ出すことでジュクジュクした状態が混在します。また、赤褐色の色素沈着が生じるのも特徴です。

これらの症状が生じた部位の皮膚はバリア機能が破綻しており、ほんの少しの刺激でも潰瘍を形成しやすくなります。潰瘍は浅く大きく形成されますが、細菌や真菌感染を起こしやすく、それが潰瘍の発生や悪化につながることもあります。

検査・診断

下腿潰瘍・うっ滞性潰瘍の診断で大切なのは、視診による静脈瘤の確認です。静脈瘤は立った状態で大きくなるため、立った状態での評価が行われます。しかし、なかには視診ではわからない静脈瘤もあり、下記のような検査が行われることもあります。

画像検査

造影剤を用いて下肢の血管を造影し、CT検査を行う方法が一般的です。血管の蛇行や静脈瘤、血管の詰まりなどを詳細に確認することが可能で、手術前の検査にも用いられます。

また、簡便に行える超音波検査で血流を評価することもありますが、血管の詳細な描出には造影CT検査のほうが優れています。

ドップラー聴診検査

超音波ドップラー聴診器を用いて、下腿の血流を評価する検査です。立った状態で下腿の血流を聴くと、逆流音や貯留音などを聴き取ることができます。

また、代謝性疾患や血液疾患などによる、うっ滞が原因ではない下腿潰瘍を鑑別するために、種々の血液検査や画像検査、皮膚の生検、培養などが行われることもあります。

治療

下腿潰瘍・うっ滞性潰瘍の治療では、潰瘍そのものの完治を目指すことはもちろんのこと、原因となっているうっ血などを改善することも必要となります。

潰瘍への治療は、適度な洗浄と壊死組織の切除、創部の圧迫や被覆です。創部の被覆では、潰瘍の大きさや深さ、浸出液の量、感染の有無などに合わせて外用薬や被覆材が使われます。また、感染による炎症が高度な場合には、抗生剤の内服により治療します。

下腿のうっ血を改善する方法としては、下腿の挙上や弾性ストッキングの着用などがあります。これらの対処でも改善せず、潰瘍の再発や悪化がある場合には、原因となる静脈瘤に薬剤を注入して固める硬化療法や、静脈そのものを切除するストリッピング手術、静脈瘤より高位の静脈を縛って静脈瘤への血流を途絶えさせる高位結紮術などが行われます。

また、近年では静脈内にカテーテルを挿入してレーザーで焼き切る血管内治療も行われています。この治療は、体への負担が少なく、高い治療効果を得ることができることから注目されています。

 

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