くりおぐろぶりんけっしょう

クリオグロブリン血症

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概要

クリオグロブリンという特殊な蛋白(37℃より低い温度で沈殿し、37℃で加温すると再び溶ける性質をもつ免疫グロブリン)が中・小血管の血管に炎症(血管炎)を引き起こしたり、血栓症状を起こしたりする疾患をクリオグロブリン血症と言います。クリオグログリンのタイプによりⅠ型、Ⅱ型、Ⅲ型の3タイプがあります。10万に1人と稀な疾患で、やや女性に多く、50~60歳代に好発します。

原因

Ⅰ型、Ⅱ型、Ⅲ型によって、それぞれ背景となる基礎疾患が異なります。Ⅰ型の代表的な基礎疾患は多発性骨髄腫とマクログロブリン血症で、Ⅱ型のほとんどはC型肝炎の持続感染です。Ⅲ型はしばしば他の膠原病(全身性エリテマトーデスシェーグレン症候群など)や悪性リンパ腫などのリンパ増殖性疾患に伴うことがあります。基礎疾患がなく原因不明で発症することもあり、これを本態性クリオグロブリン血症と呼びます。Ⅰ型が10〜15%、Ⅱ型が50〜60%、Ⅲ型が30〜40%の割合で、Ⅱ型がもっとも多くなっています。

症状

皮膚症状が最も多い症状です。下肢に紫斑や潰瘍を形成します。レイノー現象(手足の末端が白→青→紫などのように寒冷で変化する現象)、網様皮疹(腕や下肢の網目状の赤色〜紫色の皮疹)、寒冷蕁麻疹(寒冷で手足に膨隆状の皮疹が出る)を認めることもあります。関節痛を起こすこともあります。神経の血管に炎症を起こせば、しびれたり、痛みや温度が鈍くなるといった感覚障害を起こすこともあります。腎臓は小血管が多いことから、蛋白尿や血尿を起こし、時にネフローゼ症候群(蛋白が血管から尿に流れ出て、全身が浮腫む状態)や急性腎不全を起こすこともあります。

 

検査・診断

定まった診断基準はありません。血液検査ではCRPが陽性、赤沈が亢進します。血清補体価の低下も高頻度に認められます。血清蛋白分画、血清蛋白泳動、血清中クリオグロブリン測定が診断に役に立ちます。紫斑などになっている皮膚を少し切り取って病理組織することで血管炎を証明したり、腎臓に針を刺して少量の腎組織を取り出して病理検査で膜性増殖性糸球体腎炎を証明したりすることも診断に役に立ちます。また、基礎疾患の有無も検索します。特にC型肝炎に感染していないか血液検査で確認します。C型肝炎ウイルス抗体価が陽性の場合は腹部超音波で肝臓の状態を調べます。クリオグロブリン血症と診断するためには、他の疾患としてその他の膠原病(ANCA関連血管炎IgA血管炎抗リン脂質抗体症候群など)による血管炎および血栓症、クリオフィブリノーゲン血症ではない事を確認する必要があります。かつ定まった診断基準がないため、基礎疾患・症状・血液検査・病理検査を総合的に判断して診断することになります。

 

治療

基礎疾患がある場合は、その治療を優先します。特に最も多いⅡ型でC型肝炎が原因の場合は肝臓専門医と連携して治療を進めていきます。C型肝炎は以前はインターフェロンを基本とした治療でしたが、2014年9月からは内服薬の治療が日本でも承認され、C型肝炎ウイルスの型によって治療薬と期間が異なりますが、12〜24週間で治療できるようになりました。ただし、治療対象となるのは慢性肝炎または初期の代償性肝硬変(肝臓の機能がまだ果たせる段階の肝硬変)であり、処方できる医師も限られています。

Ⅰ〜Ⅲ型に共通して、手足の壊死が迫っている場合や急速に腎不全が進行する場合は大量ステロイド療法やシクロホスファミド(エンドキサン大量療法)などの免疫抑制療法、血漿交換療法が選択肢となります。補助治療として末梢循環改善薬が使われることもあります。

 生活指導としては寒冷環境を避け、手足の保温に努めるようにします。ただし、感覚障害がある場合、温度を感じにくくなっているため、カイロなどを使用すると低温やけどを引き起こし難治性の潰瘍になってしまうことがあるので注意が必要です。高性能の手袋や靴下の着用をお勧めします。

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