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伝染性膿痂疹
伝染性膿痂疹とは、おもに小児期にみられることの多い細菌皮膚感染症です。膿疱(のうほう)(膿汁のたまった水疱)と、かさぶたを伴う皮膚病変(膿痂疹:のうかしん)が見られますが、小さな切り傷やアトピー...
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皮膚

伝染性膿痂疹でんせんせいのうかしん

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

伝染性膿痂疹とは、おもに小児期にみられることの多い細菌皮膚感染症です。膿疱(のうほう)(膿汁のたまった水疱)と、かさぶたを伴う皮膚病変(膿痂疹:のうかしん)が見られますが、小さな切り傷やアトピー性皮膚炎等のかき傷から広がることが多く、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌といった細菌が原因となります。

膿痂疹は、容易に別の部位に波及していきます。その伝播の様式があたかも火事が周囲に広がる様に似ていることから、一般的には「とびひ」という別称で知られています。

原因

伝染性膿痂疹は、黄色ブドウ球菌とA群β溶血性連鎖球菌という2種類の細菌が原因となります。それぞれ細菌によって皮膚症状が若干異なる部分もあることが知られています。

黄色ブドウ球菌に伴う伝染性膿痂疹(=水疱性膿痂疹)

水ぶくれが主体となるものは「水疱性膿痂疹」で、おもに黄色ブドウ球菌が原因です。黄色ブドウ球菌による伝染性膿痂疹は、夏場に流行することが多いです。やけどを起こすと水ぶくれが生じますが、同じような水ぶくれ(水疱)を引き起こす毒素が、黄色ブドウ球菌によって産生されます。この毒素が原因となり、水疱性膿痂疹が発生します。また、発症原因には、通常の抗生物質に耐性を示す市中感染型MRSA(耐性黄色ブドウ球菌)も、原因菌のうち約30%の割合でみられます。

A群β溶血性連鎖球菌に伴う伝染性膿痂疹(=痂皮性膿痂疹)

かさぶたがメインとなる伝染性膿痂疹を、「痂皮性膿痂疹」と呼びます。「痂皮(かひ)」とは、かさぶたのことです。痂皮性膿痂疹は、A群β溶血性連鎖球菌が原因となって引き起こされ、年間を通して認める傾向があります。水疱性膿痂疹に伴うものより、局所の炎症所見が強いことも多く、発症年齢層も幼児に限らず幅広くなります。

伝染性膿痂疹の発症には、いくつかのリスク要因が知られています。皮膚症状は人から人に伝播することから、たとえば、保育園や幼稚園等の集団生活、フットボールやレスリング等の接触の多いスポーツなどは、伝染性膿痂疹が流行する危険因子です。

また、原因となる細菌は、正常な皮膚バリアが損傷を受けた部位から容易に侵入します。そのため、小さな傷口や、アトピー性皮膚炎・湿疹等のかきむしった痕、虫さされなども、伝染性膿痂疹の原因となりえます。

症状

伝染性膿痂疹の皮膚症状は、痛みを伴う赤い発疹から始まり、水疱を形成します。水疱の中身に徐々に膿が認めるようになり(膿疱と呼びます)、容易に破れます。破れた部位は、湿潤な状況が継続し、最終的にかさぶたが形成され、治癒に向かいます。

典型的な伝染性膿痂疹は皮膚が傷ついた部位から始まり、鼻(鼻いじりをするお子さんに多いです)や、腕(アトピー性皮膚炎をかきむしった痕に多いです)などから症状が始まります。水疱が破れた痕には細菌が大量に存在するため、タオルや自分自身の手を介して、容易に別の部位に細菌がうつり、同様の皮膚症状を発症します。

A群β溶血性連鎖球菌が原因となる伝染性膿痂疹の場合は、炎症所見が強いことが特徴で、痛みの症状がより強い傾向があります。さらに、全身症状として、発熱やリンパ節の腫れ、喉の痛みを伴うこともあります。伝染性膿痂疹の皮膚所見は、基本的に痕を残すことなく治癒することが期待できますが、なかには瘢痕を残すこともあります。

伝染性膿痂疹は、合併症を伴うこともあります。黄色ブドウ球菌による伝染性膿痂疹の場合、毒素が全身に広がり、全身にやけどのような水疱を形成することがあります。この状態を、「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群」と呼びます。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群になると、赤い皮疹を触れると簡単に皮膚がめくれるようになります。また、特にA群β溶血性連鎖球菌は、炎症所見が強い傾向があります。そのため、皮膚の中でもより深くに炎症を引き起こすこともあり、細菌が血液に侵入して全身に細菌が広がることもあります。

全身に細菌が広がると、高熱や血圧低下を示します。さらにA群β溶血性連鎖球菌の場合、伝染性膿痂疹を発症してから数週間の時間をおいて、急性糸球体腎炎を発症することもあります。急性糸球体腎炎になると、まぶたや足がむくんだり、血尿やタンパク尿が出たりすることもあります。

検査・診断

伝染性膿痂疹は、特徴的な皮膚症状から診断されます。合併症の発症が強く疑われるときには、原因菌を同定するための検査(病変部位の細菌培養検査)に加えて、合併症に対する検査を追加で行います。敗血症が疑われる場合には、血液中に細菌が混入していないかを調べるために、血液培養などを行います。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群の場合は、毒素を検出するための検査を行うこともあります。糸球体腎炎については、血液検査では腎機能(クレアチニンや尿素窒素)、溶連菌の抗体検査(ASO、ASKなど)、補体価(C3、C4、CH50)を調べます。また、タンパク尿や血尿を評価するために、尿検査を行うこともあります。

治療

伝染性膿痂疹の治療には、抗生物質が使用されます。軽症(水疱などの病変がおおむね10個以下)の場合、塗り薬での治療を行いますが、皮膚症状が広い場合や全身の発熱症状等を伴う場合には、内服の抗生物質が使用されます。

原因となっている細菌は、処方された抗生物質に対して効果が低いことがあります(耐性菌と呼びます)。この場合、より効果があるタイプの抗生物質への変更が必要になります。また、原因菌によって異なる抗生物質を使用することで、より効果が反映されやすい場合があります。

そのほか、痒みが強い場合には、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が使用され、炎症が強い場合には亜鉛華軟膏が使用されることもあります。

伝染性膿痂疹は、皮膚の接触により容易に伝播します。皮膚症状は痒みが伴いますが、かきむしらないことが大切です。また、原因となる細菌を減らすためにシャワーを浴び、皮膚の清潔を保つことも有効です。

集団生活を通して周囲に広がるリスクもあるため、皮膚症状のある部位に対してしっかりとガーゼ等で保護をすることが求められます。実際の登校に関しては、担当医との相談が必要です。

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