原因
兎眼を生じる原因は、まぶたを閉じる筋肉が麻痺する“顔面神経麻痺”や、まぶたをけがした後の“瘢痕拘縮”、眼球が収まるスペースである眼窩に甲状腺眼症や眼窩腫瘍などの占拠性病変が生じた際の“眼球突出”および“眼瞼後退”などが挙げられます。
顔面神経麻痺による兎眼
顔面神経麻痺による兎眼は“麻痺性兎眼”と呼ばれることもあり、兎眼の中でももっとも頻度が高いといわれています。顔面神経麻痺の原因としては、脳腫瘍や脳梗塞の合併症、けがや聴神経腫瘍に対する手術による神経障害などがあります。
また、発症原因が不明である“特発性顔面神経麻痺(Bell麻痺)”も少なくなく、今のところウイルス感染が関与している可能性が考えられています。
眼瞼疾患による兎眼
まぶたのけがや手術の傷あとがひきつれることで生じる兎眼は“瘢痕性兎眼”と呼ばれています。また、組織の瘢痕拘縮に伴って下まぶたが下方に引っ張られたり外側に反り返ったりする“眼瞼外反”という病気が合併していることもあります。そのほか、まぶたが垂れ下がる“眼瞼下垂”の手術治療による矯正が強すぎると医原性の兎眼が生じ、修正手術が必要になることがあります。
眼窩疾患による兎眼
兎眼を引き起こす眼窩疾患としては、甲状腺に関係する抗体が標的となり炎症が生じた結果、眼球周りの筋肉や脂肪に腫れをきたす“甲状腺眼症”や、がんなどの眼窩腫瘍が挙げられます。これらによって眼窩内のスペースが占拠され眼球が前に押し出されると、相対的に眼瞼が後退し、兎眼の原因となることがあります。
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