とがん

兎眼

同義語
閉瞼不全,兎眼症
最終更新日:
2023年12月04日
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2023/12/04
更新しました
2017/04/25
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概要

兎眼とは、まぶたをうまく閉じることができず、眼球の表面が露出したままになる状態のことです。

兎眼には、夜眠っている間のみまぶたをうまく閉じることができない“夜間兎眼”のような軽症例から、常にまぶたをうまく閉じることができない重症例まで程度はさまざまです。もともとは“ウサギは目を開けて眠る習性がある”といわれていたことからこの名が付きましたが、現在ではウサギも目を閉じて眠ることが分かっており事実とは異なります。

ヒトは目を閉じようとすると眼球が上を向き、角膜が上まぶたに隠れることで傷が付きにくくなる防御機構があります。そのため、兎眼では角膜の下方が外気にさらされやすくなり、ドライアイによる傷が生じやすくなります。軽度の閉瞼不全(へいけんふぜん)の場合には“点状表層角膜症”と呼ばれる可逆性の細かな傷が生じて長期化したり、高度の閉瞼不全になると不可逆性の“角膜混濁”や“角膜不正乱視”などをきたしたりすることで、視力低下につながることもあります。

原因

兎眼を生じる原因は、まぶたを閉じる筋肉が麻痺する“顔面神経麻痺”や、まぶたをけがした後の“瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)”、眼球が収まるスペースである眼窩(がんか)に甲状腺眼症や眼窩腫瘍(がんかしゅよう)などの占拠性病変が生じた際の“眼球突出”および“眼瞼後退”などが挙げられます。

顔面神経麻痺による兎眼

顔面神経麻痺による兎眼は“麻痺性兎眼(まひせいとがん)”と呼ばれることもあり、兎眼の中でももっとも頻度が高いといわれています。顔面神経麻痺の原因としては、脳腫瘍脳梗塞(のうこうそく)の合併症、けがや聴神経腫瘍に対する手術による神経障害などがあります。

また、発症原因が不明である“特発性顔面神経麻痺(Bell麻痺)”も少なくなく、今のところウイルス感染が関与している可能性が考えられています。

眼瞼疾患による兎眼

まぶたのけがや手術の傷あとがひきつれることで生じる兎眼は“瘢痕性兎眼”と呼ばれています。また、組織の瘢痕拘縮に伴って下まぶたが下方に引っ張られたり外側に反り返ったりする“眼瞼外反”という病気が合併していることもあります。そのほか、まぶたが垂れ下がる“眼瞼下垂”の手術治療による矯正が強すぎると医原性の兎眼が生じ、修正手術が必要になることがあります。

眼窩疾患による兎眼

兎眼を引き起こす眼窩疾患としては、甲状腺に関係する抗体が標的となり炎症が生じた結果、眼球周りの筋肉や脂肪に腫れをきたす“甲状腺眼症”や、がんなどの眼窩腫瘍が挙げられます。これらによって眼窩内のスペースが占拠され眼球が前に押し出されると、相対的に眼瞼が後退し、兎眼の原因となることがあります。

症状

兎眼の状態になるとまぶたをうまく閉じることができなくなるため、目の表面が乾き、痛みや違和感を覚える、いわゆる“ドライアイ”の症状がみられることがあります。

また、この状態が長期間持続すると角膜に常に傷が付き続けるほか、角膜ににごりが生じ、視力低下を引き起こす恐れもあります。角膜が濁ることを“角膜混濁(かくまくこんだく)”といい、一度生じると元に戻りにくいため注意が必要です。

検査・診断

兎眼が疑われる場合、まぶたがうまく閉じるかどうかを診察で確かめます。

たとえば、顔面神経麻痺による麻痺性兎眼の場合には、患側の眉毛が上がらず、下眼瞼を含む顔面全体が垂れ下がっていることが確認できます。

また、兎眼では原因に応じた治療が必要なため、原因を突き止めることが大切です。頭蓋内や眼窩内の様子を詳しく見るためにCTやMRIといった画像検査の実施が検討されます。

治療

兎眼が生じた場合、まずは原因に対する治療を行うことが大切です。

たとえば、麻痺性兎眼の場合であれば、病気の状況に応じてステロイドなどによる薬物療法や、眼窩の占拠性病変の場合には摘出治療などが検討されます。

兎眼そのものに対する治療

兎眼は治療を行ってもすぐにまぶたがうまく閉じるようになるわけではありません。そのため、並行して目を保護するための治療を行うことが重要です。

軽症から中等症の兎眼であれば、薬物療法が行われることが一般的で、軽症例では防腐薬の入っていない人工涙液を点眼することによって目の乾燥を防ぎます。中等度の兎眼の場合には、抗菌薬の含まれた眼軟膏を眼表面に塗布して保護します。重症の場合には、より強固に眼球を守る処置を行う必要があり、眼球を守るための医療用ソフトコンタクトレンズを装用する場合があります。そのほか、一時的または永久的にまぶたの一部を縫い合わせて閉瞼しやすくする治療が必要になる人もいます。

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