さいせいふりょうせいひんけつ

再生不良性貧血

最終更新日
2021年11月25日
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2021/11/25
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

概要

再生不良性貧血とは、造血幹細胞と呼ばれる血液細胞の減少により、白血球、赤血球、血小板といった血液成分が減少する病気です。白血球の減少による感染症、赤血球の減少による貧血症状、血小板の減少によるあざや出血など、さまざまな症状がみられます。

再生不良性貧血には先天性と後天性があり、ほとんどが後天性です。また、その中でも原因不明の“特発性再生不良性貧血”が90%を占めるといわれています。先天性の再生不良性貧血はファンコニ貧血と呼ばれることもあります。

国の指定難病の1つで、年間100万人あたり約8人が再生不良性貧血と診断されています。男女比は同じくらいで、どちらも10~20歳代と70~80歳代で頻度が高くなります。

原因

再生不良性貧血は、造血幹細胞が障害され、減少することによって起こります。造血幹細胞とは赤血球、好中球、血小板といった血液細胞の元となる細胞のことで、通常は骨髄中にあり、これらの血液細胞を補給し続けています。

造血幹細胞が障害される原因はいくつかあり、生まれつきの染色体の異常によって起こる場合があります(ファンコニ貧血)。

後天性の場合は薬剤・薬物、放射線などが原因になることがありますが(二次性再生不良性貧血)、多くは原因不明です(特発性再生不良性貧血)。

特発性再生不良性貧血の多くは、免疫細胞が自分自身の細胞を攻撃する自己免疫的な異常によって起こるのではないかと考えられています。

症状

再生不良性貧血では赤血球、好中球、血小板が減少することによって、さまざまな症状が現れます。

赤血球減少による症状

赤血球による酸素運搬が障害されるため、全身のさまざまな臓器で酸素が欠乏します。脳の酸素欠乏によるめまい頭痛、筋肉の酸素欠乏による倦怠感(けんたいかん)、疲れ、心臓の酸素不足による胸の痛みが現れることがあります。また酸素不足を解消するために、息切れや動悸などがみられることもあります。

好中球減少による症状

好中球とは、白血球のうち細菌を殺す役割を持つ細胞です。好中球が減ることで細菌感染症にかかりやすくなり、感染による発熱がみられたり、肺炎敗血症といった重い細菌感染症にかかりやすくなったりします。

血小板減少による症状

血小板は出血を止めるはたらきがあり、血小板が少なくなることで出血傾向がみられるようになります。出血しやすくなると、皮膚の点状出血、紫斑(青あざ)、鼻出血、歯肉出血がみられるようになり、さらに症状が進むと眼底・脳出血、血尿、下血などがみられることもあります。

検査・診断

血液検査によって赤血球、好中球、血小板が減少する汎血球減少と呼ばれる症状がみられた場合に、再生不良性貧血が疑われます。確定診断として行われる検査には骨髄検査があります。また、再生不良性貧血と同様に汎血球減少がみられる病気との鑑別のために、骨髄の染色体検査や脊椎MRI検査などが行われることもあります。

治療

再生不良性貧血の治療は、重症度に応じて免疫抑制療法、造血幹細胞移植、タンパク同化ステロイド療法、トロンボポエチン受容体作動薬、支持療法といった治療が行われます。軽症で汎血球減少が進行していなければ治療をせずに様子を見ることもあります。

免疫抑制療法

造血幹細胞を攻撃しているリンパ球のはたらきを抑えて血液細胞をつくる機能を回復させる治療法です。抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとシクロスポリンと呼ばれる治療薬があります。

造血幹細胞移植

健康な人の造血幹細胞を点滴投与して、患者の造血力を再生する治療です。一方で、移植は体への負担が大きいため、重症の場合やほかの治療法による効果がない場合に行われます。通常、HLA(ヒト白血球抗原)と呼ばれる白血球の型が合うドナーが家族内や骨髄バンクにいることが条件となります。

タンパク同化ステロイド療法

赤血球を増やすはたらきや造血幹細胞の増殖を促す効果があるともいわれています。

トロンボポエチン受容体作動薬

造血幹細胞に作用し、造血力を回復させる治療です。

支持療法

病気の症状を改善する治療のことです。貧血や血小板減少に対する輸血や、白血球を増やすホルモン(G-CSF)の使用、感染症に対する抗菌薬治療などがあります。

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