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再生不良性貧血ってどんな病気? 原因や症状、治療法について解説

再生不良性貧血ってどんな病気? 原因や症状、治療法について解説
臼杵 憲祐 先生

NTT東日本関東病院 血液内科

臼杵 憲祐 先生

目次
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再生不良性貧血とは、血液中の白血球、赤血球、血小板(けっしょうばん)が減少することで、めまい頭痛などが現れる病気です。再生不良性貧血の治療法は、重症度や年齢、他にかかっている病気などを考慮し、決定されます。具体的にどのような治療法があるのでしょうか。

今回は、NTT東日本関東病院 血液内科の臼杵(うすき) 憲祐( けんすけ)先生に、再生不良性貧血の原因や症状と共に、主な治療法についてお伺いしました。

再生不良性貧血とは、血液中の白血球、赤血球、血小板が減少することで、めまい頭痛、疲れやすさなど、さまざまな症状が現れる病気です。

めまい
写真:Pixta

白血球、赤血球、血小板は、骨髄(こつずい)の中にある造血幹(ぞうけつかん)細胞(さいぼう)からできています。再生不良性貧血は、この造血幹細胞が何らかの原因で障害されることによって、赤血球、白血球、血小板がうまくつくられなくなった結果、起こると考えられています。

再生不良性貧血には、生まれつき遺伝子の異常があるために発症する先天性のものと、生まれつきではなく何らかの原因によって発症する後天性のものがあります。

このうち再生不良性貧血の多くは、後天性のものであることが分かっています。後天性の再生不良性貧血の原因として薬剤や放射線が挙げられますが、多くは原因不明であると考えられています。

なお、原因不明のものは特発性再生不良性貧血と呼ばれ、自己免疫反応によって起こると考えられています。自己免疫反応とは、本来、細菌など異物からの感染から体を守る免疫機能が、自分自身の細胞を攻撃してしまうことを指します。

再生不良性貧血は、特に10~20歳代の若年と70~80歳代の高齢で発症しやすいという報告があります。

白血球、赤血球、血小板には、それぞれ次のようなはたらきがあります。

〈主なはたらき〉

  • 白血球:細菌感染などから体を守るはたらき
  • 赤血球:酸素を全身に運ぶはたらき
  • 血小板:血液を止めるはたらき

細菌感染などから体を守るはたらきのある白血球が減少すると感染しやすくなり、肺炎敗血症*などの感染症を起こしやすくなります。

また、体中に酸素を送るはたらきのある赤血球が減少することで、酸素が不足することによる症状が現れるようになります。たとえば、脳への酸素が減少することで、めまい頭痛が起こることがあります。また、心臓のはたらきが悪くなり狭心症のような症状が現れることもあります。

血液を止めるはたらきのある血小板が減少すると出血しやすくなり、鼻血や紫斑(しはん)(皮膚内の出血のこと)が現れることがあります。さらに、脳出血を起こし、命にかかわることもあります。

*敗血症:何らかの感染症によって命にかかわる臓器障害が現れる状態。

再生不良性貧血は、なかなか消えない紫斑や長引く風邪をきっかけに受診することで、発見されることがあります。たとえば、長引く風邪のために受診し、血液検査をした結果、病気が見つかることがあります。

医師
写真:Pixta

再生不良性貧血の治療には、支持療法、免疫抑制療法、トロンボポエチン受容体作動薬、移植療法、タンパク同化ステロイド療法、による薬物療法などがあります。再生不良性貧血の治療法を決定するためには、患者さんの重症度や年齢、他にかかっている病気などを考慮します。

支持療法とは、根治的治療ではなく症状を改善するために行う治療です。

具体的には、減少している赤血球と血小板を補充するための輸血、白血球を増やす効果が期待できるサイトカインの投与(サイトカイン療法)を行うことがあります。また、感染を起こしたときには、抗菌薬などを用いて症状を改善する治療を行います。

鉄過剰症を防ぐために

赤血球の輸血を繰り返すことによって、赤血球の中に含まれる鉄が過剰に血液内に溜まった結果、鉄過剰症が現れることがあります。鉄過剰症では、心不全糖尿病が現れることがあります。このような状態を防ぐために、鉄を体の外に排出する除鉄薬によって治療を行うことがあります。

免疫抑制療法とは、薬によって造血幹細胞を阻害しているリンパ球を抑え、白血球や赤血球、血小板のはたらきを回復させる治療法です。また、近年は、トロンボポエチン受容体作動薬と呼ばれる新たに効果が期待できる薬が登場しています。この薬と免疫抑制療法を組み合わせることで、治療効果が高くなるという報告もあります。

移植療法の1つである骨髄移植とは、異常が生じている骨髄細胞を、正常な骨髄細胞に入れ換える治療法を指します。骨髄移植は治癒を目指すことができますが、合併症を起こし重症化する可能性もあります。

タンパク同化ステロイド療法では、薬の投与によって、赤血球の産生を刺激するホルモンを分泌させるとともに、造血幹細胞にはたらきかけ細胞の増殖を促す効果があると考えられています。

再生不良性貧血の予後は、患者さんの重症度によりさまざまですが、近年は効果が期待できる治療法が登場しているため改善してきています。

ただし、免疫抑制療法を受け状態が改善した患者さんは、骨髄異形成症候群*急性骨髄性白血病、発作性夜間ヘモグロビン尿症**と呼ばれる病気に移行する可能性があることが分かっています。そのため、免疫抑制療法による治療後には定期的に血液検査を受けていただき、これらの病気の早期発見に努めることが大切です。

発作性夜間ヘモグロビン尿症について、詳しくは次のページをご覧ください。

*骨髄異形成症候群:白血球や赤血球、血小板をつくるはたらきのある造血幹細胞に異常が生じ、正常な血液細胞がつくられなくなる病気。

**発作性夜間ヘモグロビン尿症:赤血球が血管内で破壊されることによって、貧血やヘモグロビン尿(コーラ色の尿)などが現れる病気。

臼杵先生

再生不良性貧血の患者さんには、定期的に血液検査を受けていただきたいと思います。中には、症状があまり現れないまま突然重症化するケースもあるからです。定期的な検査によってご自身の状態を確認し、必要があれば治療を受けていただくことが重症化を防ぐことにつながります。

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