こうちゅうきゅうげんしょうしょう

好中球減少症

最終更新日:
2024年10月17日
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2024/10/17
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概要

好中球減少症とは、血液中の好中球の数が1,500/μL以下と異常に少ない状態を指します。

好中球は白血球の一種で、真菌や細菌の感染を防ぐ重要な役割があります。しかし、遺伝子変異や病気、細菌の感染、薬の影響などによって好球中の数が減ったり、好中球が作られる速さより消費する速さが上回ったりして正常値を下回ることがあります。

好中球が減少すると体の抵抗力が低下するため、感染症にかかるリスクが高くなり、好中球が著しく減少している場合は命に関わる可能性もあります。

治療では、好中球減少の原因となる薬を服用している場合は中止するほか、感染症が原因の場合は抗菌薬の投与を行うなど、原因に応じた対応が行われます。

原因

好中球減少症は、生まれつき発症する先天性のものと、生まれた後にさまざまな原因で発症する後天性のものに分けられます。

先天性好中球減少症

先天性の好中球減少症はまれな病気です。多くは原因不明ですが、以下の遺伝子の異常によって発症する場合があるといわれています。

  • ELA2……タンパク質分解酵素であるエラスターゼの生産に関わる遺伝子
  • HAX1……アポトーシス(細胞死)を抑制する遺伝子

後天性好中球減少症

後天性好中球減少症の原因としては、薬の影響や病気などが挙げられます。

中でも薬剤が原因となるものは多く、抗がん薬をはじめ、解熱鎮痛薬や抗甲状腺薬、胃薬、精神安定薬、抗菌薬、降圧薬、抗血小板薬などで好中球減少症を発症する可能性があります。好中球減少症を引き起こす疾患としては、ビタミン欠乏症再生不良性貧血急性白血病などがあります。また、膠原病は体内で好中球を破壊する抗体が産生されることがあり、好中球減少症を発症することもあります。

症状

好中球減少症には特有の症状がないため、多くの場合は感染症などにかかった際の血液検査をきっかけに好中球減少症であることが判明します。一般的に、好中球の数が1,000/μL(マイクロリットル)以下になると感染症にり患しやすくなり、500/μL以下に低下すると敗血症などの重症感染症にかかりやすくなります。

そのほか、好酸球減少症では口や肛門の周囲に潰瘍(かいよう)が生じたり発熱したりするほか、細菌性肺炎を発症するケースもあります。

薬剤性の場合は、発熱に加え、発疹(ほっしん)やリンパ節の腫れなどを伴うこともあります。

潰瘍:皮膚や粘膜の表面が炎症を起こして深く傷ついた状態。

検査・診断

好中球減少症は、血液検査を行い、好中球の数が1,500/μL以下に減少している場合に診断されます。

血液検査のほか、発症の原因を特定するため問診を行い、症状や薬の使用歴などを確認します。

肺炎敗血症などの重症の感染症が疑われる場合は、X線検査、CT検査や血液培養検査などが行われることもあります。このほか、遺伝性の疾患が疑われる場合には、大学病院や小児医療センターで遺伝子検査が行われることもあります。

治療

軽症の場合、特別な治療はせず経過観察となることがあります。

治療が必要な場合は、病態や原因に応じた治療が行われます。薬剤が原因の場合には、原因となる薬剤を中止します。感染症が原因の場合には、原因となる病原体に有効な薬剤を使用します。自己免疫疾患が原因の場合には、免疫抑制薬や副腎皮質ステロイド薬を用いた薬物療法が行われることもあります。

なお先天性の場合や好中球の産生が低下している場合には、好中球を増やすために“G-CSF製剤(顆粒球コロニー形成刺激因子製剤)”という薬が用いられることもあります。

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