こうさんきゅうせいたはつけっかんえんせいにくげしゅしょう

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

最終更新日:
2021年03月08日
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2021/03/08
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概要

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症とは、気管支喘息アレルギー性鼻炎を有する方において、好酸球と呼ばれる細胞(白血球の一種)が異常に増殖することにより全身の細い血管に炎症が生じ、さまざまな臓器に障害がみられる病気です。国の難病に指定されており、およそ2,000人が治療を受けていると報告されています。

全身の血管が障害されるため、肺炎、神経や胃腸の障害、心筋梗塞(しんきんこうそく)脳卒中などの重篤な病態が引き起されることがあります。そのため、血管の炎症を抑えるために治療では主にステロイドが用いられます。

原因

原因は明らかになっていませんが、気管支喘息アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の方に見られることから、何らかのアレルギー機序が関与していると考えられています。

好酸球の著しい増加が見られるのも特徴です。好酸球は、アレルギーに関連して増加する血球成分の1つです。また患者の半数にMPO-ANCAという好中球に対する抗体が見られることが知られています。しかしながら、どのようなものが原因となってアレルギー反応が誘発されるのか、完全な機序は明らかにされていません。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では、肺、神経、心臓、腎臓など、全身の血管において炎症が生じる病気です。血管に炎症が生じると、血液の流れに支障が生じます。その結果、血管障害が生じた臓器に特徴的な症状が引き起こされます。

症状

気管支喘息やアレルギー性鼻炎

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では、気管支喘息アレルギー性鼻炎をもともと抱えている方に見られます。そのため、喘息に関連した息切れや呼吸困難、喘鳴(ぜんめい)(ぜーぜーという呼吸音)、鼻炎などの症状がみられます。

血管炎

気管支喘息やアレルギー性鼻炎の症状が先行し、その後血管炎に関連した症状が現れます。発症すると熱や倦怠感、体重減少などが見られます。

全身の血管が炎症を起こすと血管からの血液供給が低下するため、全身の臓器に障害が起こることがあります。もっとも多いのが末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)で、手足にしびれやピリピリとした痛みや動きが悪くなる麻痺が生じます。これらの症状は治療後も残ってしまうことがあります。

また、皮膚や消化管などのへの血管が障害を受けると、青あざ皮膚潰瘍(ひふかいよう)、下血、腹痛などの症状が見られることがあります。

重症の場合には消化管穿孔(しょうかかんせんこう)心筋梗塞脳梗塞を発症し、命に関わることもあります。心筋梗塞では胸の痛みや冷や汗、吐き気、胸の圧迫感などを感じることがあります。また、脳梗塞を発症するとけいれんや麻痺、意識障害などの症状が見られることがあります。

検査・診断

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では、気管支喘息アレルギー性鼻炎にかかっていることを確認することが重要です。好酸球が増加していることを確認するために、血液検査も行われます。

そのほか、好酸球の増加や発熱、体重減少などの全身症状、末梢神経障害や青あざ、下血などの臓器障害を確認することも診断には必要な項目です。さらに、影響が疑われる臓器から組織の一部を採取して、顕微鏡を用いて評価することで、病気に特徴的な変化があるかどうかを確認します。

この病気では、心筋梗塞脳卒中などの重篤な状況に陥ることもあります。これら臓器障害に応じて、血液検査や心電図、超音波検査、胸部単純レントゲン写真、頭部CTやMRIなどが適宜検討されます。

治療

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は、血管における炎症でさまざまな症状が引き起こされます。血管に生じた炎症を抑えることを目的に、ステロイドを中心とした治療介入がなされます。症状に応じて免疫抑制剤や生物学的製剤(抗IL-5抗体)などが追加で使用されることもあります。症状が治りにくい末梢神経障害の治療には高用量免疫グロブリン療法が行われます。

治療を始めると半年くらいで症状はよくなります。しかし治療をやめてしまうと再発してしまうことがあるため、症状が一度おさまっても長期の治療が必要です。

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