症状
全身性強皮症、限局性強皮症では、現れる障害の分布や程度は一人ひとり異なります。主な症状は以下のとおりです。
全身性強皮症の主な症状
レイノー現象
全身性強皮症の初発症状です。寒冷や緊張などにより指先の色調が短時間に変化する症状のことで、典型的には白色の後に紫色に変わり、赤色となったのち元に戻ります。手足の末梢の血管が発作的に収縮することにより起こります。
皮膚症状
皮膚硬化は手指の腫れぼったい感じや手指のこわばりから始まり、左右対称に手背、前腕、上腕、体幹に向かって徐々に広がっていきます。初期は浮腫期といって皮膚がむくんでパンパンになり、つっぱり感やかゆみを感じる場合があります。
続いて硬化期になると皮膚が硬くなり、関節が曲がって動きづらくなり(拘縮)、さらに皮膚が黒っぽくなります(色素沈着)。さらに萎縮期になると皮膚は柔らかくなり、色素沈着と脱失が混在する見た目になります。指先の血行障害が強くなると、痛みを伴う潰瘍を起こすことがあります。
臓器障害
内臓の硬化・線維化によって間質性肺疾患、肺高血圧症、腎クリーゼなどを生じることがあります。そのほか、心臓の動きが悪くなることによる動悸や息切れ、消化管の動きが悪くなることによる胸焼け、お腹の張りなどが見られることもあります。
筋肉や関節の症状
筋肉の衰えから筋力の低下、関節の痛みや関節が曲がって動きづらくなる場合があります。
限局性強皮症の主な症状
皮膚症状
限局性強皮症では、皮膚の一部分が斑状、または線状に硬くなります。全身性強皮症では手の指先から左右対称に広がる傾向がありますが、限局性強皮症では通常手の指の硬化が起こることはなく、体のさまざまな部位に左右非対称に症状が現れることが特徴です。
脂肪組織や筋肉の委縮
限局性強皮症が進行すると、皮膚の下にある脂肪組織、腱、筋肉などが萎縮することで見た目の変化が起こることがあります。
脳の症状
限局性強皮症の1つである剣創状強皮症では、顔面に線状の皮膚硬化がみられ、てんかんや片頭痛などの神経症状を伴うこともあります。
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