ぼはんしょう

母斑症

最終更新日:
2024年10月23日
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2024/10/23
更新しました
2017/04/25
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概要

母斑症とは、生まれつき皮膚に母斑と呼ばれるあざが生じることに加え、神経や心臓、目、脳などほかの器官や臓器にも病変が生じる病気の総称です。

具体的な病気には以下が挙げられ、症状や原因、治療方法などはそれぞれ異なります。

原因

母斑症の多くは遺伝子異常によるものですが、それぞれの病気によって原因の詳細は異なります。

結節性硬化症

ヒトの遺伝子は染色体上にあります。染色体は23の対になっており、そのうち9番目と16番目の染色体上にあるTSC1遺伝子、TSC2遺伝子に異常があると、結節性硬化症を引き起こすと考えられています。

神経線維腫症1型

神経線維腫症1型は、17番目の染色体にあるNF1遺伝子に変化が生じることによって発症すると考えられています。

スタージ・ウェーバー症候群

スタージ・ウェーバー症候群も遺伝子変異が報告されていますが、原因となる遺伝子についてはまだ確定されていません。

巨大色素性母斑

巨大色素性母斑は、色素性母斑が広範囲に広がったものです。色素性母斑は、皮膚の中に存在する母斑細胞と呼ばれる細胞がメラニン色素を産生することで生じます。

症状

病気によって現れる症状は異なります。

結節性硬化症

結節性硬化症では、年齢とともにさまざまな症状が現われます。

生まれつきみられることの多い症状として心臓の腫瘍が挙げられますが、次第に小さくなることもあります。また、出生直後から白いあざ(白斑)が確認されることがあります。

乳幼児期には、てんかんが生じることが多いといわれています。てんかんは結節性硬化症患者の50%以上に起こるといわれており、てんかんに伴って精神発達遅滞などの症状が起こる方もいます。また、早ければ乳幼児期から顔(特に頬のあたり)の皮膚に赤い糸くずのようなしみがみられることもあります。

学童期ごろには腎臓に嚢腫や腫瘍が生じ、腎機能の低下や高血圧などの症状が現れるほか、成人期には手や足の爪の周囲に固い腫瘍ができることもあるといわれています。

神経線維腫症1型

神経線維腫症1型では、生まれたときから皮膚にカフェオレ斑と呼ばれる茶色いしみが6個以上確認されることが多く、年齢とともに増えることがあります。そのほか、思春期頃から神経線維腫と呼ばれる良性の腫瘍が確認されたり、目や骨、脳神経などにも異常がみられたりすることがあります。

スタージ・ウェーバー症候群

スタージ・ウェーバー症候群では、生まれつき顔にポートワイン母斑と呼ばれる赤や赤紫色のあざが確認されることが一般的です。また、顔を含む頭部に左右差が生まれ、噛み合わせなどに異常が生じる人もいます。

そのほかにも、神経症状として運動麻痺や片頭痛、てんかんなどがみられます。また、目の症状として視力や視野に障害が出る人もいます。

巨大色素性母斑

巨大色素性母斑では、生まれつき皮膚の広範囲に黒いあざがみられます。生まれたときは頭部で9cm以上、体幹で6cm以上のものと定義されていますが、大人では直径20cm以上になることもあります。

場合によっては悪性黒色腫と呼ばれる皮膚がんが発生することもあります。

検査・診断

病気によって以下の検査を行います。

結節性硬化症

結節性硬化症が疑われる場合は遺伝子検査を行います。TSC1遺伝子またはTSC2遺伝子の異常が発見されれば確定診断となります。また、症状をもとに診断を行うこともあります。

神経線維腫症1型

神経線維腫症1型はカフェオレ斑や神経線維腫があればほぼ確実となり、そのほかの症状も観察したうえで診断を行います。

スタージ・ウェーバー症候群

スタージ・ウェーバー症候群が疑われる場合は、症状の確認や画像検査、遺伝学的検査などを行い、ほかの病気との見分けをつけながら診断します。

巨大色素性母斑

生まれつき大きな茶色〜黒色のあざがあり、1歳時点で頭部なら9cm以上、体幹なら6cm以上が目安で、大人になったときに20cm以上となる場合に巨大色素性母斑と診断します。

治療

病気によって以下の治療を行います。

結節性硬化症

遺伝子異常による病気のため根本的な治療はなく、症状に対する治療を行います。

具体的には、手術治療や遺伝子の異常なはたらきを抑えるmTORC1阻害薬による薬物療法のほか、てんかんに対しての薬物療法などを検討します。

神経線維腫症1型

神経線維腫症1型に対する根本的な治療はありませんが、早期から治療を行うことで症状の進行を抑えられる可能性があります。皮膚の症状に対しては手術治療で腫瘍を取り除いたり、しみに対してレーザー治療を行ったりすることもあります。

スタージ・ウェーバー症候群

てんかんに対しては薬物療法を行いますが、薬物療法のみで不十分な場合は手術治療を検討します。

顔のポートワイン母斑に対しては、レーザー治療が行われることがあります。そのほか、目の症状には眼圧を下げるための薬物療法や手術治療を行うことがあります。

巨大色素性母斑

巨大色素性母斑では、母斑を手術で切除します。手術は複数回に分けて行う分割切除術やレーザー治療、シリコンでできた袋を皮膚の下に挿入して伸ばした皮膚を移植する組織拡張器挿入術、皮膚剥削(ひふはくさく)術によって浅く削りとった皮膚の一部を人工的に培養し、シート状にした皮膚のようなものを移植する自家培養表皮移植術を組み合わせた治療法などが行われることがあります。

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