りんきんかんせんしょう

淋菌感染症

目次

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概要

淋菌とは、性交渉やそれに類する行為を介して淋菌に感染すると、淋菌感染症を引き起こします。淋菌感染症を発症すると性器に炎症が生じ、痛みや膿が見られるようになります。淋菌は、肛門や咽頭・眼などの性器以外にも感染することがあります。お母さんが感染していると、産道を介して赤ちゃんにも感染することもあります。

淋菌は、性感染症の病原微生物のひとつとして世界的にとても重要な位置を占めており、年間1億人前後の新規発症例があるとも報告されています。日本では報告例は減少傾向にありますが、性活動の活発な20代から30代(特に男性)を中心に年間1万件ほどの報告があります。また、淋菌感染症はHIV感染のリスクを高めるともいわれており、その観点からもとても重であると言えます。

原因

淋菌感染症の原因は淋菌の感染です。淋菌は一定の環境下で長く生きられず、日光や乾燥、消毒等により数時間のうちに感染性がなくなります。一方、患者粘膜(口腔や性器など)では生存可能で、オーラルセックスやアナルセックスを含む性交渉にて感染が拡大します。

粘膜に寄生することが多いという事実を反映し、男性であれば主に尿道に、女性であれば主に子宮頚管に感染します。また、オーラルセックスやアナルセックス等の場合においては、それぞれ口の中や肛門の中にも感染は広がり、さらに淋菌が付着した手で眼を触ることで眼にも感染することがあります。

女性の場合、子宮頚管やそのさらに奥にあたる子宮内膜や卵管にも淋菌が潜むことがあります。また、淋菌に感染した状態で妊娠をすると、赤ちゃんにも影響が及ぶことがあります。

症状

淋菌感染症には、性感染症と母子感染の2種類があります。

性感染症としての淋菌感染症

初期症状

男性が淋菌に感染すると、2日から7日ほどの潜伏期間の後に、比較的自覚されやすい症状が出始めます。具体的には、

  • 尿道周囲に痛み(特に排尿時)や腫れ
  • 尿道口から黄色い膿が出る

などがあります。これらの典型的な症状は、感染者本人から見ても異常だとわかりやすく、早い段階で診断・治療できます。ただし、男性の淋菌感染者のうち約5パーセントの方には自覚症状が出ないこともあり、このケースでは診断・治療が遅れる傾向にあります。

進行後

感染がさらに広がり、前立腺炎や精巣上体炎を引き起こすと、

  • 発熱、陰嚢の発赤・腫脹・疼痛
  • 排尿障害
  • 男性不妊

の症状が現れることもあります。また、治療の遅れが、パートナーへの感染拡大につながることもあります。一方女性においては自覚症状が乏しく、症状が出る人は20~30%です。その症状は、

  • 帯下(おりもの)の増量
  • 膿性の帯下(おりもの)
  • 不正出血
  • 排尿痛
  • 下腹部痛

などが挙げられます。

無症状であることと関連して、さらに奥深くの卵管や卵巣などの臓器にも波及し、パートナーへの感染拡大のリスクは高くなるといえます。卵管炎、骨盤内感染症、異所性妊娠など不妊症の原因になることも注意すべき点です。

母子感染としての淋菌感染症

妊娠中の女性が淋菌に感染すると、胎児にも影響が及ぶことがあります。妊娠中の淋菌感染は、卵管や子宮内膜といった場所に炎症を起こし、早期破水や早産、低出生体重児、さらには流産などを引き起こす危険性があります。 

また、産道にも淋菌は寄生することがあるため、分娩時に新生児へ深刻な悪影響を及ぼすこともあります。新生児が感染を起こすと結膜炎を起こすことがあり、目やにや充血、さらには失明を起こす危険性もあります。また、心内膜炎や髄膜炎、関節炎、尿道炎などに伴う症状がみられることもあります。

検査・診断

淋菌は環境中で、比較的短時間で死滅するため、検査には注意が必要です。また抗生物質でも簡単に死滅してしまうため、検査に際しては抗生物質の内服を避けることが重要です。基本的には尿検査で確定します。女性の場合、子宮頸管から分泌物検査を用いた検査も行います。

迅速キットを用いれば、自宅での検査も可能です。迅速キットは、うがい液や血液等を利用してのキットであり、同じく性感染症としての性格をもつHIVやB型肝炎等も同時に検査できます。ただし迅速キットは精度上問題があります。ひとまずは安心できるかもしれませんが、専門医療機関にて検査することをおすすめします。

治療

淋菌感染症の治療は、抗生物質(点滴、静脈注射、内服薬)にて行います。使用される抗菌剤の代表例として、セフトリアキソン、スペクチノマイシン、セフォジジムが挙げられます。実際にどの抗菌剤をどのように使用するかについては、淋病が確認された部位によって専門医が決定します。

治療効果判定は、抗生物質使用を終了した後、1週間程度の時間をおいてから、再度淋菌に感染していないかを検査します。治療がうまくいっている場合には、淋菌が消失していることが確認されます(治癒確認検査)。また、淋菌感染症の治療は、パートナーも同時に行うことが大切です。2人同時に治療をすることで、お互いに移しあう「ピンポン感染」のリスクをなくします。

淋菌治療における問題のひとつとして、抗生物質に耐性を持った淋菌が増加傾向にあります。これは日本のみならず、世界においても重要な問題として認識されており、抗生物質の適正な使用が対応策のひとつとして推奨されています。耐性を持つ淋菌を発生させないためにも、医師に処方された抗菌剤を使用するようにしましょう。

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