はったつしょうがい

発達障害

目次

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概要

発達障害とは、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症(学習障害)などを含む幅広い概念を指します。

感染症や遺伝子の異常による疾患が原因となることもありますが、原因不明のことがほとんどです。

症状に合わせた理解や支援を行うことが重要な疾患です。また、自閉スペクトラム症の方にみられることのある易刺激性や注意欠如・多動症には保険診療で薬物療法が用いられることもあります。

原因

発達障害は、原因不明というケースがほとんどです。

ただし自閉スペクトラム症の一部は、胎児期の風疹感染(先天性風疹症候群)や脆弱X症候群、結節性硬化症、フェニルケトン尿症などに合併することがあります。

なお、かつて小児期に接種するワクチンの一部が自閉スペクトラム症に関連するという報告がなされ、英国と米国を中心にそれらの予防接種が差し控えられたことがありました。しかし、現在では予防接種と自閉スペクトラム症の関連は否定されています。

症状

自閉スペクトラム症

臨機応変な対人関係やコミュニケーションが苦手であること、興味や活動が偏り反復的で融通が利かないことが特徴です。

以前は「広汎性(こうはんせい)発達障害」ともいわれ、自閉症・アスペルガー症候群などの下位分類に分けられていました。近年では、これらの下位分類を設けず、自閉スペクトラム症という単一の概念になっています。

注意欠如・多動症

注意が散漫であることや、落ち着きがなく衝動的な行動をとることなどの特徴があります。注意の問題が主となる場合、落ち着きのなさや衝動性の問題が主となる場合、両者が混在する場合があります。

限局性学習症(学習障害)

全体的な知的発達に遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算または推論する」などの能力のうち一部の取得と使用に困難を認める状態です。読字障害(ディスレクシア)、書字表出障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)、などに分類されます。

検査・診断

発達障害は原因不明の発症がほとんどであり、特徴的な症状から診断を行います。

何らかの病気が原因と考えられる場合は、それぞれ検査を行います。

たとえば、結節性硬化症が原因と考えられる場合は、各臓器の腫瘍など随伴する症状のほか、TSC1、TSC2遺伝子の異常により診断します。また、脆弱X症候群はFMR1遺伝子の異常により発症することが知られています。

フェニルケトン尿症のように、新生児マススクリーニングの対象疾患になっているものもあります。

治療

自閉スペクトラム症

特性が個性のひとつと捉えられ、置かれた環境により社会生活を送ることができる方もいれば、逆に生きづらさを感じ社会から孤立してしまう方もいます。

早期発見を行い、主として教育的アプローチによって社会参加に必要なスキルを身につけることを支援します。また、保護者など周囲の方が接し方を工夫することも大切です。

注意欠如・多動症

本人が生活しやすい社会を作ることが支援となるため、カウンセリングや心理療法、教育プログラムを行います。保護者など周囲の方々が適切な接し方を学ぶためのペアレント・トレーニングも行われています。

また、抗ADHD薬を用いることもあります。

学習症(学習障害)

症状に合わせた理解と支援が重要です。苦手な教科課題を無理に反復練習させると、かえって苦手意識を強め、意欲と自己肯定感を下げてしまうおそれがあります。近年では、読字が苦手な生徒のために教科書を音読する機能を備えたIT機器などが開発されており、それらを補助的に用いることで、苦手ではない領域の学習を保障するなどの工夫が行われています。