概要
硝子体とは眼球の内腔をうめる透明なゼリー状の組織です。水とタンパク質(コラーゲン)からできており、眼球の形態を保つ役割や、外力を分散させるクッションのような役割があります。この硝子体に生じた混濁を硝子体混濁といいます。
原因
混濁が急激に生じる原因として、感染や炎症、出血などがあります。
そのほか悪性リンパ腫や、変性混濁として星状硝子体症、アミロイドーシス、加齢性混濁などがあります。先天性混濁として硝子体血管系遺残などがあります。
症状
びまん性の混濁の場合は、霧視や視力低下の症状が出ます。部分的な混濁の場合は、飛蚊症を引き起こします。
検査・診断
下記のような検査を行います。
- 問診:いつから症状を自覚したか、外傷や手術の既往、糖尿病や高血圧などの全身疾患の有無などを確かめます。
- 細隙灯顕微鏡検査:角膜・強膜の穿孔や角膜炎の有無、前房内の炎症所見や出血の有無を調べます。
- 眼圧検査:炎症が生じた場合には眼圧が上昇することがあります。
- 眼底検査:混濁の色調をみたり、びまん性か部分的か判断したりします。炎症性の混濁は主に白色~灰白色であり、出血性の混濁は黄白色で赤色が混じります。炎症巣や出血源に近い部位で混濁が強くみられます。
- 超音波検査:眼底が透見不良の場合、超音波検査を行い、網膜剥離の有無や硝子体の萎縮程度を確認します。金属製の眼内異物を疑う場合はCT検査を行います。
- 微生物学的検査:感染が疑われる場合は、房水や硝子体液を採取し、細菌などの検査を行います。
- 診断的硝子体手術:悪性リンパ腫が疑われる場合は、診断確定を目的として硝子体手術を行うことがあります。
- 全身検査:内因性ぶどう膜炎が疑われる場合は、血液検査などを行い、内科などと連携を取って原因を精査します。
治療
それぞれの原因によって、治療法は大きく異なります。
術後眼内炎
速やかに抗生物質を投与し、眼内灌流液を併用した硝子体手術を行います。治療が遅れた場合、失明の危険性が高くなります。
内因性ぶどう膜炎
感染を否定した後に、ステロイド薬の全身投与を行います。ベーチェット病が疑われる場合は、コルヒチンやシクロスポリンA、抗TNF-α抗体の投与を行います。
真菌性眼内炎
まず薬剤療法を行います。症状が悪化する場合は硝子体手術を行います。
硝子体出血
自然に吸収されることが多く、止血剤を投与し経過観察を行います。出血が吸収されない場合は硝子体手術を行います。
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