膀胱炎は主に細菌感染によるもので、排尿時の痛み、頻尿、残尿感、尿意切迫感(急に起こる我慢出来ないような強い尿意)などの症状を特徴とする病気です。女性によくみられ、また男女ともに再発することが多く、年に何度も再発を繰り返すことも珍しくはありません。では、なぜ膀胱炎は再発することがあるのでしょうか。
本記事では膀胱炎を繰り返す原因や再発予防にできることについて詳しく解説します。
膀胱炎を繰り返す原因は、薬の効き目が悪い、発症しやすい生活習慣がある、背後に病気が隠れているなど多岐にわたります。
膀胱炎はさまざまな原因によって発症しますが、原因の大部分を占めるのが細菌感染によるものです。大腸菌などの細菌がおしっこの出口(尿道口)から侵入し、尿道を通って膀胱に達し、膀胱内の粘膜に炎症を起こします。細菌が原因となっていることから、主に抗菌薬の内服によって治療を行いますが、原因菌の種類と抗菌薬の相性が悪い場合は完治せず、再び症状が出てくることがあります。抗菌薬を決められた通りに服用しない場合も同様です。いずれにしても、膀胱内に細菌が残っていれば再発する可能性があります。
細菌感染による膀胱炎では、さまざまな生活習慣が発症の誘因になります。主な誘因として、下痢や便秘、水分摂取不足、排尿の過剰我慢、性行為などが挙げられ、細菌が侵入しやすくなったり細菌が膀胱内で増殖しやすくなったりして、感染する可能性が高まります。また、疲労やストレスなどによって体の抵抗力が落ちているときもかかりやすくなります。このようにさまざまな生活習慣が発症の誘因になっていることから、再感染するとされています。
また、女性の膣内にはデーデルライン桿菌という常在菌がいて、膣内を強い酸性に保ち、雑菌などが増殖するのを防いでいます。しかし、生理中や妊娠中、閉経後はエストロゲンの低下によってデーデルライン桿菌が減少することで、膣内で細菌が増殖しやすく、その細菌が膣から尿道口に入り込み、膀胱炎にかかりやすくなります。
膀胱炎は単独で起こるだけでなく、病気が原因で起こることもあります。主な原因には尿路結石、前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿路の腫瘍などが挙げられ、膀胱に尿がたまりやすくなるなどして膀胱内で細菌が増殖しやすくなります。病気が原因となっているので、その病気が治らない限り、膀胱炎が再発する可能性があります。病気が原因で起こる膀胱炎は、比較的高齢の男性に多いといわれています。
膀胱炎は細菌感染以外で起こることもあります。そのひとつが原因不明の“間質性膀胱炎”と呼ばれるものです。細菌感染による病気ではないため、抗菌薬を使用しても症状は改善しません。間質性膀胱炎では、ストレス(仕事、睡眠障害、気温の変化など)によって免疫力が低下したり、ある種の食品を摂取することで症状が悪化したりする場合があるとされています。根本的な治療法がないために再発が多いのが現状です。
細菌感染を原因とする膀胱炎では、原因菌の約3/4が大腸菌によるものです。そのため、まず大腸菌に対して効果のある抗菌薬が処方され、通常3~7日間ほどで治癒します。治癒しない場合は薬を変更し、内服治療が続けられることが多く、内服治療で効果がみられない場合には点滴治療も考慮されます。
何らかの病気が原因で起こる膀胱炎に対しては、背後にある病気の治療が必要です。細菌感染以外で起こる間質性膀胱炎においては、全ての患者さんに効果がある治療法がなく、症状を和らげる、あるいは消すことを目標とする治療(対症療法)が行われます。治療法として、抗ヒスタミン薬や抗うつ薬などの薬を用いたり、薬の効果が出なければ膀胱水圧拡張術(膀胱の中に水を注入して水圧で膀胱を広げる手術)が行われたりすることもあります。
膀胱炎の大半が細菌感染によるものであることから、膀胱炎を防ぐためには尿道口から細菌を侵入させないこと、膀胱内で細菌の増殖を防ぐことが重要です。具体的な感染予防策としては以下のことが挙げられます。
膀胱炎はよくある病気ですが、背後に何らかの病気が隠れていることもあります。いずれにしても、再発を繰り返している場合には、放置せずに病院を受診するようにしましょう。また、自己判断で治療を中断することによって再発を繰り返すこともあるので、医師の指示に従って治療や通院を続けるようにしましょう。
横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 泌尿器科部長・准教授、田園都市レディースクリニック 臨時職員
横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 泌尿器科部長・准教授、田園都市レディースクリニック 臨時職員
日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医・泌尿器科指導医日本生殖医学会 生殖医療専門医日本癌治療学会 会員日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本生殖医学会認定 生殖医療専門医(泌尿器科)の一人であり、男性不妊治療の専門家。横浜市の不妊相談などを担当し、男性不妊の啓発活動に努めている。また、横浜市立大学附属市民総合医療センターの生殖医療センター部長を務める。同センターは泌尿器科、婦人科に日本生殖医学会認定 生殖医療専門医(泌尿器科)が在籍しており、パートナーと一緒に治療を受けられる神奈川県内の施設である。
湯村 寧 先生の所属医療機関
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