症状
ILAR分類では7つの病型に分けられますが、発熱や皮疹を伴う全身型、関節炎が4箇所以下の小関節炎型、関節炎が5箇所以上の多関節炎型(リウマトイド因子陽性ないし陰性)で全体の90%以上を占めます。どのタイプにも共通して認められる症状としては、慢性的な関節の炎症が挙げられます。炎症のために関節が、痛む・赤くなる(発赤)・腫れる・熱をもつ・動かしにくいなどの症状がみられます。関節炎が長期に及ぶと関節の変形や体全体の成長障害が引き起こされることもあります。
全身型の特徴としては、急な発熱 (弛張熱または間欠熱) と発疹があります。熱は寒気を伴い急上昇し、40℃を越えることもありますが、解熱剤などを使わなくとも一過性に解熱します。典型的な発疹はサーモンピンク疹といわれ、発熱時に薄紅色の皮疹が出現し、解熱すると消退するのが特徴です。その他、胸膜炎や心膜炎、肝脾腫を伴うこともあります。
また、全身型の場合には重症化すると、免疫細胞の一種であるマクロファージが活性化することにより「サイトカインストーム」といわれるいろいろな炎症性サイトカインが過剰に産生される状態(マクロファージ活性化症候群)が生じます。この状態では白血球や血小板が減少し、血液が血管内で異常に固まりやすくなり、全身の様々な臓器に障害が生じ、生命の危険にさらされる合併症を起こす可能性があるため注意が必要です。
関節炎は指の小さい関節から手や膝などの大きな関節にも起こりますが、関節炎型の中でも小関節炎の場合、膝などの下肢の大きな関節に炎症が起きやすい傾向があり 、虹彩毛様体炎といわれる眼病変の合併がときにみられます。一方、多関節炎の場合、左右対称に同じ関節で炎症がみられることが多く 、手や指の小さな関節をはじめ、肘・足・膝に加え首や顎の関節でも炎症が認められます。リウマトイド因子陽性の多関節炎では、関節の可動域制限や変形を認める頻度が高くなります。また、微熱・倦怠感・食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。
医師の方へ
「若年性特発性関節炎」を登録すると、新着の情報をお知らせします