こうさいもうようたいえん

虹彩毛様体炎

監修:

概要

虹彩毛様体炎とは、ぶどう膜と呼ばれる虹彩(いわゆる“茶目”)、毛様体、脈絡膜のうち虹彩と毛様体に炎症が生じる病気のことで、ぶどう膜炎に含まれます。発症すると、目の充血がみられるほか、目が痛む、光を見るとまぶしい、目がかすむ、飛蚊症(ひぶんしょう)(目の前にごみが飛んでいるようにみえる状態)などの症状が現れます。

虹彩毛様体炎の原因は多岐にわたり、ウイルス感染や外傷などによる一時的な症状のこともあれば、サルコイドーシスベーチェット病などの病気の症状の1つとして現れることもあります。基本的に治療はステロイド薬の目薬や瞳孔を拡げる目薬を用いた薬物療法を行いますが、炎症が強い場合にはステロイド薬を注射することもあります。

イラスト:PIXTA/加工:メディカルノート
イラスト:PIXTA/加工:メディカルノート

原因

虹彩や毛様体に炎症が生じる原因はさまざまであり、ウイルスや細菌、真菌などの感染、サルコイドーシスベーチェット病といった自己免疫疾患潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)クローン病などの腸の病気、関節リウマチ若年性特発性関節炎強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)に伴うもの、外傷などが挙げられます。また、原因がはっきり分からないケースもあります。

自己免疫疾患:免疫が異常をきたし、自分の細胞や組織を攻撃してしまう病気。

症状

虹彩毛様体炎を発症すると、角膜周囲の結膜に放射状に充血(毛様充血)が現れるようになります。また、目に痛みを感じたり、光を見るとまぶしく感じたりするようになります。そのほか、視力が低下したり、目がかすんで見える、飛蚊症によりごみが飛んでいるように見えるといった見え方の異常を引き起こしたりすることがあります。

検査・診断

虹彩毛様体炎が疑われる場合には、以下のような検査が行われます。

細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)、眼底検査など

虹彩や毛様体の炎症の重症度などを評価するため、目に光を当てて顕微鏡で詳しく調べる細隙灯顕微鏡検査や、目の奥(眼底)を観察する眼底検査などの一般的な眼科検査を行います。

血液検査、画像検査

虹彩毛様体炎は、ほかの病気によって引き起こされることもあるため、原因となる病気がないかを確認するために血液検査や画像検査を行うことがあります。

前房水検査

ウイルスへの感染などが原因と考えられる場合には、前房水(角膜と水晶体の間にある液体)を採取して調べる前房水検査を行うことがあります。

治療

虹彩毛様体炎の基本的な治療は、炎症を抑えて、虹彩と水晶体の癒着を予防または治療する薬物療法です。炎症を抑えるためにはステロイド薬が含まれた目薬を使用しますが、炎症が強い場合にはステロイド薬を注射することもあります。一般的に虹彩毛様体炎に対してステロイド薬の飲み薬を使用するケースは少ないですが、強い痛みなどを伴い重症な場合には飲み薬が使用されることがあります。

虹彩と水晶体の癒着を予防・治療するためには、瞳孔を拡げる目薬が使用されます。癒着して時間が経った場合などは目薬での効果が期待できず、経過観察となることもあります。また、虹彩の縁が全て癒着した場合、手術など癒着を解除するための処置が必要になることもあります。

また、ウイルスや細菌、真菌の感染が原因と判明した場合には、抗ウイルス薬や抗菌薬も使用して治療する必要があります。

予防

虹彩毛様体炎は原因が多岐にわたります。ほかの病気によって引き起こされるものについては、原因となる病気に対する適切な治療の継続が必要です。

なお、虹彩毛様体炎は進行すると周辺の組織にまで炎症が広がることがあるため、目の充血や痛みなど気になる症状がある場合は、できるだけ早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

最終更新日:
2025年03月17日
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2025/03/17
更新しました
2017/04/25
掲載しました。

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