やくぶつせいかんしょうがい

薬物性肝障害

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

薬物性肝障害とは、薬物が肝臓にダメージを与えることで、さまざまな症状を引き起こす病気です。薬物には、人体に有害な毒物や化学物質のほかに、治療を目的とした処方薬やサプリメントなども含まれます。このように、本来なら健康のために使われる薬物が肝障害を引き起こすこともあります。

薬物性肝障害の多くは軽度にとどまり、経過は良好です。ただし、まれに劇症化して命に関わることもあるため、早期発見、早期治療が重要です。

原因

薬物性肝障害が起こる原因は大きく分けて、3つあります。

中毒性

薬物自体や、その薬物が体内で分解されてできた物質自体が肝臓にダメージを与えるものを指します。

原因となる薬物は、一部の解熱鎮痛薬や抗がん剤などが知られています。服用後すぐに肝障害が生じるのではなく、長く飲み続けることでダメージが蓄積して発症します。

アレルギー性

特定の薬物に対してアレルギー反応が起こり、その結果として肝障害が引き起こされるものを指します。すべての薬物で起こりえますが、特に抗菌薬による肝障害が多く、発症は内服後数週間以内がほとんどです。

異常代謝性

遺伝的に、ある種の薬物を体内で分解することができず、肝臓に過度な負担がかかり肝障害を起こすものを指します。発症時期は、服用後1週間から1年、それ以上と幅があります。原因となる薬物には、一部の抗結核薬や抗てんかん薬が挙げられます。

症状

薬物性肝障害は、肝臓の細胞自体にダメージを与えるものと、胆汁がうっ滞するものがあります。どちらも発熱や全身倦怠感、食欲不振などの肝障害による自覚症状は軽度なことが多いです。胆汁がうっ滞する薬物性肝障害の場合、皮膚が黄色くなる黄疸や皮膚のかゆみが出ることがあります。

また、アレルギー性のものでは、蕁麻疹などのアレルギー症状が肝障害より先に現れることが多いという特徴があります。

薬物性肝障害の大半は自覚症状がなく、肝機能検査を行って初めて発見される傾向があります。しかし、一部の解熱鎮痛薬や痛風薬、抗がん剤などによる薬物性肝障害はまれに劇症肝炎に進行することがあり命にも関わるため、早期診断と早期治療が求められます。

検査・診断

医療機関では、肝障害が生じる前に服用した薬物内容の確認が行われます。また、肝障害を起こし得る別の病気を除外するための検査も行われます。

血液検査

血液検査では、白血球のなかの好酸球と呼ばれる細胞の増加がみられます。

また、血液検査により肝障害の程度など、肝機能を調べることもできます。胆汁がうっ滞するタイプでは、ビリルビンやγ-GTPなどの胆道系酵素の上昇もみられます。

他の病気ではないことを確認するために、肝炎ウイルスマーカーを調べることもあります。

薬物感受性試験

アレルギー性が疑われる場合、リンパ球培養試験やパッチテストなどが行われます。

腹部超音波検査、腹部CT検査

肝障害を生じる病気がないか調べるために、超音波検査などの画像検査が行われます。

治療

原因となる薬剤の中止が重要です。黄疸や重い肝障害がある場合には、入院して安静を保ち、栄養療法を行います。栄養療法では、肝臓の負担を減らすために低たんぱく、低脂肪の食事が用意されます。

また、薬物療法が行われることもあります。薬物療法では、肝臓の細胞を安定化させるための注射剤や、胆汁の排出を促すための内服薬などが使用されます。

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