かくまくえん

角膜炎

最終更新日:
2021年06月15日
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2021/06/15
更新しました
2017/04/25
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概要

角膜は、黒目の部分を外側から覆う、薄く透明な組織です。光が目に入るとき最初に通過する場所で、光を屈折させるはたらきがあり、目でものを見るために重要な役割を果たします。角膜は通常、病原体が簡単に侵入できないよう守られていますが、何らかの理由で角膜を守る機能が弱まると、病原体に感染し角膜が炎症を起こすことがあります。

感染の原因となる病原体は、細菌、真菌、ヘルペスウイルス、アカントアメーバなどさまざまです。主な症状は、目の痛み、大量の目やに、大量の涙、白目の充血などですが、重症化すると、角膜が濁って視力に影響したり、角膜に穴が開いて失明したりすることもあります。

角膜炎は、原因となる病原体を明らかにし、それぞれに応じた薬剤を目薬などの形で投与することで改善します。しかし、なかには治りにくいものや進行の早いものがあるため、日頃から異物が目に入らないよう目を保護したり、コンタクトレンズを正しく使用したりして角膜炎を予防することが大切です。

種類

角膜炎は炎症を引き起こしている病原体の種類によって、“細菌性角膜炎”、“真菌性角膜炎”、“アカントアメーバ角膜炎”、“ヘルペス性角膜炎”などに分けられます。

細菌性角膜炎

目に入ったごみや砂、コンタクトレンズなどによって角膜についた傷から細菌が侵入して感染し、炎症を起こすものです。細菌の種類によっては進行が早く、放置すると失明してしまう危険があるため、すぐに治療を開始する必要があります。

真菌性角膜炎

植物が角膜を傷つけたり、ソフトコンタクトレンズを交換せずに連続使用したり、免疫抑制剤を長く使っていたりする場合などに、カビ(真菌)が角膜に感染して起こります。細菌性のものと比べて、症状が出るまでに時間がかかるのが特徴です。

アカントアメーバ角膜炎

川や沼、公園の砂、洗面所などに存在する、アカントアメーバという微生物に感染して起こる角膜炎です。コンタクトレンズを正しく使用しなかった場合に感染することが多いといわれています。ほかの角膜炎と比べて目の痛みが激しいのが特徴です。

ヘルペス性角膜炎

ヘルペスウイルスというウイルスへの感染によって起こる角膜炎です。ヘルペスウイルスは体の中に潜伏する性質があるため、一度治っても体調不良やストレスなどをきっかけに再発することがあります。

原因

黒目の部分を表面から覆う“角膜”という透明な組織に、細菌やカビ(真菌)、ウイルス、微生物などが感染して炎症を起こした状態が角膜炎です。角膜は普段、病原体が簡単に侵入できないように守られていますが、表面に傷がついたり、涙が不足したり、免疫が低下していたりすると感染しやすい状態となります。よくある原因の1つとして、コンタクトレンズの不適切な使用(決められた期間以上に長く使用する、正しい方法で洗えていないなど)が挙げられます。

角膜に傷がつく原因としては、ごみや砂、植物の枝葉、コンタクトレンズなどが挙げられます。涙は角膜を守るはたらきをしているので、ドライアイで涙が不足している場合は角膜炎を起こしやすくなります。また、別の病気の治療でステロイド剤や免疫抑制剤を使用しているときは、病原体への抵抗力が落ち角膜感染症にかかりやすくなることがあります。

角膜炎の原因となる病原体は、目に入った異物や不衛生なコンタクトレンズ、不衛生な目薬などから角膜に移り感染します。病原体の1つであるヘルペスウイルスは、過去に水痘(すいとう)帯状疱疹(たいじょうほうしん)口唇ヘルペスにかかったのち、体の中に潜伏していたものがストレスや体調不良がきっかけとなって再び活性化し角膜に感染することがあります。

症状

目の痛みや異物感、目やにが大量に出る、涙が出る、白目が充血する、まぶたが腫れるなどの症状が現れます。角膜が白く濁って視力が低下したり、普段よりまぶしさを感じやすくなったりすることもあります。進行すると、角膜が薄くなって穴が開いてしまうことがあり、場合によっては失明する危険性があります。また、治療により原因となる微生物が取り除かれても、角膜の濁りが残ってしまう場合があります。

細菌性角膜炎や真菌性角膜炎では、強い目の痛みや大量の目やにが見られることが多く、角膜が白く濁ったり、白目が充血したりする場合があります。細菌性角膜炎では症状が比較的強く、進行が早いのが特徴です。アカントアメーバ角膜炎では、夜眠れないほどの激しい痛みが現れるのに対し、ヘルペス性角膜炎では比較的痛みが少ないといわれています。また、ヘルペス性角膜炎は一度完治した後に、ストレスや体調不良をきっかけに再発することがあるのが特徴です。

検査・診断

角膜炎は、問診、症状、角膜の状態の確認によって診断されます。どのような病原体に感染しているかを調べるために培養検査が行われることもあります。

問診では、症状、発症のきっかけ(目を傷つけるようなできごと、コンタクトレンズの使い方など)、悪化の仕方や進行の速さ、再発かどうかなどが確認されます。ステロイド剤の使用、免疫抑制剤の使用、ストレス、感染症流行地への旅行なども角膜炎の発症と関係する可能性があるため、心当たりがあれば問診で伝えるとよいでしょう。

角膜の状態は、“細隙灯顕微鏡”という装置を用いて確認します。検査では、座った状態で目に光を当て、医師が顕微鏡で拡大しながら目の状態を観察します。細隙灯顕微鏡検査によって、角膜の表面や内部の様子を詳しく知ることができます。また、角膜の感覚が正常かどうかを調べるために、ナイロンの糸で角膜を刺激する“角膜知覚検査”が行われます。ヘルペス性角膜炎では感覚が低下しやすいため、特にこの検査が診断のうえで重要となります。

感染している病原体の種類を確認する際には、“培養検査”が行われることがあります。この検査では、角膜の表面をこすり取って培養し、どの種類の病原体が増えてくるかを調べます。

治療

角膜炎では、感染している病原体を明らかにし、その種類に応じた薬剤(抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬など)を目薬や塗り薬の形で直接目に投与する治療法が基本となります。重症化した場合には飲み薬や点滴によって全身に投与することもあります。角膜に濁りが残るなどして視力の異常が続く場合や、進行して角膜に穴が開いてしまった場合には、角膜移植が検討されることがあります。

細菌性角膜炎は進行が早く、治療せずに放置していると角膜に穴が開いたり失明してしまったりする可能性があるため、早期の治療が大切です。真菌性角膜炎は、進行が遅い一方、治療にも時間を要することがあります。アカントアメーバ角膜炎には特効薬がなく、抗真菌薬や消毒液を点眼したり、感染している角膜の表面を少し削ったりするなど、さまざまな方法を組み合わせて治療しますが、ほかの角膜炎と比べて治りにくいとされています。

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